ボーン ボーン
時計の針が9:00を指す。
白梨家では家庭教師を雇い勉強を行う。だから、私は学校などという場所に行ったことはない。
今日もお父様が雇った家庭教師、森山に勉強を教わる。さすがに毎日顔を合わせると飽きてくるが…
「お嬢様、聞いておられますか?そこは副詞が打消しの意味を含んでいるので、お嬢様の訳し方では間違いになってしまいます。ですから、この場合ジョンは人生で料理をほとんどしたことが無い…となります。」
ジョンが料理をしたかどうかなんて、私からしたらどうでもいい。
そんなことより、明日の舞踏会のことで頭の中が埋め尽くされている。
人生で初めての舞踏会。ドレスを着て衣装で着飾る。
女性として生まれたからには、必ずこなさなければならない享楽の1つであり、社交界への華々しい入り口。
「わかっているわ、森山。今日はあまり頭が働かなくて集中することができないの。だからあまり広い範囲にしないでもらえる?」
「わかりました…そうしましたら、本日はお嬢様の苦手な範囲の勉強とでもいたしましょうか。」
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