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―――数日後
私は、毎日見舞いに来てくれるるいのおかげで、飽きずに病院生活を送れていた。
全治3ヶ月とまだまだ遠い道のりだが、できる限り尽力しているつもりだ。
だけど、色んな人達に迷惑をかけている事はよく自覚している。
そんな中でも、るいは毎日来てくれるんだ。
だいぶ るいと一緒に居るという事や、その空間に慣れてきた。
彼との最初の出会いは「チャラい人」っていう印象が強すぎたけど、いざ付き合ってみると全然違った。
根っこから優しくて、性格がすごく良い。
意外としっかりしているし、とても素敵なヒトだと思う。
―――いつの間にか、本当に付き合ってるみたいになってた。
―――私も少し、堕ち始めていたのかも知れない。
だから、今るいと付き合っている理由は、甘い物を食べたいからじゃない。
確かに甘い物は大好き。
だけど、それ以上にるいは大切なモノだって。
かけがえのない存在がいる幸せを、彼が教えてくれたのかな。
最初は、悪く言うと「偽彼氏」がいるという感覚でいた。
でも、付き合い始めると本当に好きになっていた。
人の知らない部分を知ることで、こんな幸せが訪れるなんて………
こんなハプニングが起きてしまったものの、今私は最高の気分。
この幸せを噛み締めていこう。
私はそう思った。
____しばらくして
今日も、るいが私の病室にやって来た。
「おはよう、るな」
優しく甘い声色が響いた。
私もたまらず声を出す。
「おはようっ、るい!」
前は声が不調だったのだが、今では容態も良くなってきている。
だから、このように元気に返事ができるんだ。
本当はキツイ生活だけど、できるだけるいの前では明るく振る舞っている。
―――だが、偽りというのはいつしかバレてしまうものだ。
るいはすぐ、私の異変に勘付いた。
「……るなさ、無理してるだろ」
「えっ?」
「そんな事無いよ!元気だよ〜!」
「………」
しばらく沈黙が続く。
そして、るいが口を開いた。
「せめて、俺の前では無理すんなよな」
「そのままのるなで良い」
「るい………」
「それが……」
「それが?」
「一番―――」
「……」
「かっ――」
「か…?」
“可愛いから”