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一方、警察署では
ポテトは割れた花瓶に接着剤をつけながら、考え込んでいた。
「それにしても、あのカオリさんはいったい何者なんでしょうか?
カオリさんがいなければ、バーナードさんもヴィクターさんも何も話してくれなかったと思います」
ジョセフはドーナツを頬張りながら、
「ふむ…それについては俺もずっと気になってる。あのカオリ、
昔はサーカス団でVIP客相手に大儲けしてたらしいぞ」
ポテトは目を丸くして、
「VIP客ばっかりって…何をやってたんですか?小さいカバンに入るとか?」
ジョセフは鼻で笑いながら、
「お前、カバン芸でVIP相手に儲けられるか?俺だったら即帰るね」
ポテトは腕組みして首をかしげる。
「でも、カオリさんってそんな悪そうには見えなかったですけどねぇ…」
ジョセフは遠い目をしながら言った。
「あのヴィクターがカオリに興味を持つなんて、きっと何かヤバいネタがあるんだろうさ」
ポテトはふと真剣な顔になり、
「ネタ…実は握りが上手いとか?」
ジョセフは一瞬絶句してから、
「バカか!ネタってのは、そういうネタじゃねえ!もっとこう…深刻なやつだ!」
ポテトは苦笑しながらも、「そうですかねえ?」と呟いた。
しばらくして、ポテトが突然声を潜め、
「先輩…もしかして、あの仮面の下になにか恐ろしい秘密が隠されてるんじゃ…?」
ジョセフは大げさに首を振りながら、
「お前、またホラー映画見すぎたな?仮面の下に何があるってんだ、ジェイソンじゃあるまいし」
ポテトは小声で、
「いや、目が3つとか、口からミミズが出るとか…」
ジョセフはカオリの以前の姿を思い出していた。薄汚いメイド服を着て、言葉も話せない
手や足にはグルグルと包帯がまかれ、目には正気がなかった。
「そ、それは怖いな・・」
ポテトはゾクリと背筋に寒気を感じ、少し小声で、
「だってカオリさん、昔『蛇女』って呼ばれてたんですよ?絶対なにかありますよ!」
ジョセフは肩をすくめてドーナツをかじり直しながら一言。
「ま、ミミズ女だったら、俺は全力で退散するけどな」
「ぼ、ボクも逃げちゃうかも」
気を取り直してポテトは続けた。
「それで、先輩!あの3年前のこと、何かわかりました?」
ジョセフは椅子をギシギシさせながら肘掛けにもたれ、
「確かにシオンとグループのリーダーは恋人同士だった。名前はリック」
「リックですね」ポテトはメモ帳を取り出してカタカタ走り書きを始める。
ジョセフはわざとらしく咳払いしながら声を低くした。
「聞いて驚け、そいつ、ドラッグの売買で派手に稼いで、毎晩クラブで騒いでたらしいぞ」
「へえ、リッチなリックということですね」とポテトがウキウキしながら感想を漏らす。
ジョセフは一瞬、呆れた表情を見せたが、続けた。
「そのリッチなリックがドラッグのせいで命を落としたということだ」
ポテトの目がキラリと光り、
「うわぁ…この話、映画みたいですね!」
「まあな…」とジョセフは呟く。
「調書には、シオンもサリーもドラッグビジネスのことは何も知らなかったって書いてあるが、どうだかねえ」
ポテトはペンをくるくる回しながら、「なるほどです」と曖昧に相槌を打つ。
「で、そのドラッグがさ、どこにも見当たらなかったんだ。リックの部屋も捜査したがな」
ポテトは真剣な顔で考え込み、
「もしかして…リックさん、全部使っちゃったとか?」
ジョセフはドヤ顔で首を振り、
「バカ言え。そいつは売人でもあったんだぞ?全部使ったら、商売あがったりだろ」
ポテトは納得いかない様子で首を傾げる。
「じゃあ、そのドラッグ、どこ行ったんですかねえ?…ポケットの中とか?」
ジョセフは額を押さえながらため息をついた。
「そんな見つかりやすとこに隠すかよ」
ジョセフは話を続けた。
「結局、事故として処理されて、不良グループも解散した。だが、それも表向きの話だ。
消えたドラッグと亡くなったリーダーの復讐のために、
不良グループはシオンとサリーを探していたとも噂されている」
ポテトはメモ帳を閉じながら、ぽつりと呟いた。
「もしかして、その中にルーカスがいるとか?」
ジョセフは机をトントンと叩きながら、
「ああ、可能性はあるな。」
ポテトは深いため息をつきながらジョセフを横目で見た。
「はぁ~…エイミーは見つからないし、怪しいルーカスは逃がしてしまうし…」
チラッとジョセフに視線を送る。
ジョセフは慌てて咳き込みながら、「んぐっ!ゴホッ!あ、あれは仕方なかったんだ!ほら、
イザベラがさっさと羽を入れたって話してくれれば、こんなことにはならなかったんだよ!」と自己弁護に走る。
ポテトは半眼で呟いた。「いやぁ、これは警察の失態と言われるやつですねぇ」
ジョセフはムッとしながら、「見つければいいんだろう!」と言い訳がましく返した。
「…エイミーの行方はワトリーに任せておくとしてだな!」と突然話題を変えたジョセフに、
ポテトは眉をひそめる。
「じゃあ、シオンさんの殺害方法についてはどうするんですか?エイミーが犯猫じゃないとしたら?」
ジョセフは腕を組んで大袈裟に頷きながら、
「そ、そこもだな!うん、そこもワトリーが今調査中ってことだ!」と目を泳がせる。
ポテトはあきれた顔で続けた。「…不良グループの中に犯猫がいる可能性は?」
ジョセフは困ったように鼻をこすり、「話の流れ的にはありそうな感じはするけどな?
ま、まあとにかく明日ワトリーが聞きに行くってさ!」と強引に逃げ切ろうとする。
ポテトは呆れ顔のままボソッと漏らした。「先輩、全部ワトリー任せじゃないですか…」
「さーて、今日は夜勤だしピザでも頼むか!」ジョセフは軽い調子で話を終わらせ、椅子をギシギシと揺らす。
ポテトはその場で肩を落としつつも、心の奥に拭いきれない不安を抱えていた。