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『今度、話したいことある。』
「…..?別にいいけど。」
不思議そうな顔をして、首を傾げる若井。
なにも疑ってない。そんな若井がアホらしい。
すると、スマホがポケットの中で振動した。
「んー….あ、そろそろ仕事の時間….。」
「….え?もうそんな時間?」
そうだよ、と笑う若井の頬を撫でる。
付き合ってるの?とよく聞かれるが、別にそんなことはない。
若井は苦笑しているけれど、俺は気にしている。
大好き、なのに。
ひどく、胸が痛くて。
九年前、あんなに気にしていなかったものが、どうして今になって。
それから約二週間。
約束していた、若井と話す日。
少し疲れた表情をする若井が、ゆっくりと家の中に入ってくる。
「なんでそんな疲れてんの。」
「んー?….いや別に。んでさ、話したいことって何?」
早く帰りたい、そんな表情をする若井。
俺が座るソファの横を、とんとんと叩くと、素直に横に座ってくる。
少し戸惑う若井の瞳に問いかけた。
「んね、若井。九年前のこと、覚えてる?」
「九年前の、こと?何それ。」
やっぱり覚えてないの?
そんなところに、胸の奥がちくっと痛む。
「….?なに、どういうこと?」
「….若井さ、九年前に、俺って変なの?って聞いてきたことあったじゃん。….あれ。 」
若井の大きな瞳が、まん丸になる。
すると、若井が微小して、俺の瞳に目を合わせた。
「….あれ、覚えてるんだ。忘れてたと思ってたのに。」
んなわけないじゃん、と若井との距離を詰める。
若井が瞳を伏せて、少し悲しそうに呟いた。
「….もう好きな人を傷つけたくないのに。」
「….は?」
俺の少し重い声に、若井の肩が少し揺れた。
はっと口を抑えて、目を逸らす若井。
「何それ?ねえ、どういうこと?」
「あ、えっと。ちが、」
「何、ねえどういうことってば。」
俺が手を握り詰め寄ると、若井がきゅっと唇を結んで。
「違うってばッ!!忘れて、お願い。」
そう、大きな声を出した。
俺が戸惑っていると、若井のスマホが振動しだした。
『涼ちゃん。』
スマホの画面にそう記されていた。
「あれ、涼ちゃん。」
「….若井。いいよ出てきて。」
「あ、うん….。」
若井はおずおずと部屋の隅に向かって行き、電話に出た。
一人、ソファの上。
何でか、ひどく悲しい。泣きたい。
….どうしよう。ああダメだ。
すると、若井が俺の肩をとんとんと叩いてきた。
少し気まずそうに、目を伏せている。
スマホの画面から、涼ちゃんの「元貴」という声が聞こえてきた。
その電話を受け取り、ゆっくり口を開く。
『あー、元貴?もしもし。』
「….もしもし。どうしたの涼ちゃん?それも若井のケータイで。」
#独り言
ゆぅ。
427
#いらすと部屋
すぴか💫🎩🩷
485
『…..特に用はないけど、笑 ちょっと聞きたいことあって。』
「何?手短に済ませてね。」
涼ちゃんの気まぐれ電話に呆れながらも、電話に付き合う。
すると、涼ちゃんの口から、とんでもない言葉が飛び出た。
『はいはーい。….ねえ元貴ってさ、若井のこと、好きなの?』
「….ほぁ?」
身体の動きが止まり、一瞬気まずい空気が流れた。
コメント
3件
第4話読みました!若井くんの「もう好きな人を傷つけたくないのに」って言葉、はっとさせられた…。9年前の伏線がどう繋がるのか気になりすぎる。最後の涼ちゃんの電話「若井のこと好きなの?」で時間停止したのもわかるわ。このもどかしい関係性、続きが待ちきれないです!