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目の前にそびえ立つ“二つの扉”。 一方はこの世界に繋がる温かな光。
もう一方は、異なる“現実”――かつてモルグがいた世界に続いている。
三人は静かに扉の前に立ったまま、なかなか一歩を踏み出せないでいる。
リバが口を開く。
リバ「モルグ様、もし……もし貴方が向こうに行ってしまったら、私は……」
感情を抑えきれず、拳を握るリバ。
ザラも複雑な表情で言う。
ザラ「オレは……この世界こそオレの居場所だと思ってた。
でも、お前がいなくなったら、全部色褪せちまう気がするんだ」
モルグはうつむきながら心の中で葛藤する。
(僕がもし戻ったら、この世界で築いた絆も、みんなの笑顔も全部“思い出”になるだけなのか?
でも、もし帰らずにここで生きるなら……失った友人や向こうの“自分自身”とはどうやって決着をつければいい?)
観測者の静かな声が響く。
観測者「選びなさい。
去る者は次なる人生の扉を、残る者はこの世界での未来を切り開く。
どちらが善でも悪でもない。ただ、心の“本音”に従うことが資格となる」
モルグは、リバとザラの手を取り、絞り出すように言った。
「……僕は、みんなにもう一度“ありがとう”って伝えたい。
元の世界に戻る日が来たとしても、この世界での思い出も、気持ちも、絶対に忘れない」
リバ「私は……どこにいても、貴方の幸せを願っています。
そのためなら、私自身の選択も後悔しません」
ザラが照れ臭そうに笑う。
「ったく、最後まで面倒見てやるからな。どっちを選んでも、オレはオレの道を歩くぜ」
温かな沈黙。
三人はそれぞれ自分の心と向き合い、ゆっくりと“決断”を固める。
観測者「十分です。運命の分岐が、今、始まる……」
その瞬間、二つの扉が強く輝きを放った。
三人はついに、自分の道を決めるべく、一歩を踏み出す――。