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「ディオ。さっきお姉さんが虚構の世界へ行ったと言ったわよね? どういうこと?」
ディオはボサボサ頭を掻いて、
「皆それぞれ寝ているのじゃが、誰でも夢という虚構の中にいる。寝たままで日常生活を送っているのじゃ。わしはそう考えるのじゃ」
「え? 私たちは今ここにいて、何も不思議なことなんてないわよ」
呉林が見るからに動揺した。
私はこの世界の人が寝ていてみんな夢(虚構)を見ているという仮説を呉林姉妹に話した。
「えーと……」
呉林が珍しく混乱する。
目の前に大きい階段が現れた。ロココ式の階段だった。4人は下へと降りる。
霧画が解り易く呉林に話し、何とか呉林は立ち直った。
「それでは何故、今の人類は夢あるいは虚構を見ているのかしら」
霧画もディオの仮説に感心している。それは素晴らしい思考力からくるものであろう。
私は呉林姉妹にディオの言う空気の話をした。
「凄い。私と姉さんでもそこまで考えなかったわ」
「ほんとよね。凄いわ。場所が南米なら有り得るわ。その仮説が当たっていればこの白い城は南米に行くことが直観だけでなく確定するもの」
あの呉林姉妹が驚いている。私は何やら予め知っているための高揚感が出てきた。
「じゃが、現実なんて最初の一度きりで、それからは全て虚構の世界かも知れない」
「現実を守る神の力が最初から無効化されるなんて、恐ろしいとしか思えなくなるわ」
霧画が唸る。
「現実を神が与えてくれているとして、その力を破壊しようとはシャーマンはかなり残酷じゃな。しかし、現実も残酷じゃ。どちらも残酷過ぎる。……死ぬほど空腹になると餓死をするのと同じじゃ」
ディオの言葉に霧画が目を見開き、
「でも、夢の世界の方が毎日、何百万、何千万と生命が死んでいるの。夢の中で生命を失うという夢はありふれているから。それが、現実になると人類は完全に死滅するわ」
「夢の世界でも現実の世界でも良いことがある。両者を天秤に掛けると、どちらが得か一目で解るはずじゃ」