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「んー、でも、間違ってないでしょ?」
「……うん、間違ってないよ。ごめんなさい、真衣香。勝手なことして」
坪井の真衣香への問いかけに答えたのは神妙な面持ちの優里だった。
「私、坪井くんは、芹那のことを知ったらすぐに真衣香から逃げ出すと思ってた」
「……どうして?」
聞き返したのは真衣香だ。
優里は、言葉を探すように少し目を泳がせてから、ゆっくりと答えた。
「当時の芹那から聞いてたイメージしか持ってなかったから……」
当時の、という言葉に反応したのは坪井だった。
「へえ、当時ね。大事な友達巻き込むには情報古すぎるんじゃない? ちなみにどんな?」
優里をどこか煽るように坪井が言うと、一瞬だけそこに視線を合わせ無言で睨みつける優里。
しかし表情とは異なり、落ち着いた声でゆっくりと坪井の問いに答えた。
「……助けてくれなかったし、何の言葉もかけてくれなかったし、芹那をいじめてた女と付き合えってみんなで詰め寄った時も、何の反応もなくて……軽く、いいよって言ってたって」
優里の声が途切れたところで、今度は坪井が口を開いた。
出てきたのは心底鬱陶しそうな声だ。
「まあ、間違っちゃいないんだけど」
「……最後まで何考えてるかわからなかったって」
付け加えられた言葉に、坪井はグラスに入っているアイスコーヒーをストローで飲み込みながら頷く。
「はは、それは今も言われる。てか、従姉妹同士ってそんな仲良いの? 俺親戚少ないからわかんないんだけど」
首を小さく横に振った優里が言った。
「……ううん。今、そこまで芹那と関わりがあるわけじゃないの。この前も久々に会って」
坪井の鋭い視線を浴びて、避けるよう俯きながら続ける。
「泣かせたり、ヨリ戻したり意味わかんない真衣香の彼氏と……芹那から聞いてた坪井くんが同じ人だってわかって」
そこで言葉を区切った優里は、顔を上げ真衣香をジッと見た。
「芹那みたいに傷つく前に別れさせなきゃって……思って」
「優里……」