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貴 女 の 晴 れ 姿 。
どこまでも広がる青空のもと、
貴女は人生で一番の晴れ姿を魅せる。
花があしらわれた真っ白なドレスに、
そのふわふわした髪の毛を綺麗に結って。
「斗真。ありがと、来てくれて」
ふと聞き慣れた、透き通った声がする。
「勿論来るに決まってるじゃん。綺麗だね」
「ふふ、ほんと? ありがと!」
悪戯っぽく笑う貴女。
俺は貴女の幼馴染で、昔からの付き合いだ。
その綺麗だね、に恋愛的な意味が含まれているとも知らずに、今日貴女は結婚をする。
伝えたかった
好 き だ よ 。
このたった4文字が言えない。どれだけ勇気がないのか。
でも、貴女を困らせたくなかった。
せっかく、愛する人を見つけたのに、俺から想いを伝えちゃ、駄目だと思った。
「好 き だ よ」
と呟いてみる。
嗚呼、やっぱ駄目だな、笑
そのウエディングブーケを青い空へ放す。
「……あ」
俺の手の中に鮮やかな花がすっぽりと収まった。
俺が取ってしまった。
こういうのは、友達とかが取るべきなのだろう。
「次は斗真だー!」
その明るい声で貴女が言う。
…俺には次なんてものはないけれど。
叶わぬこの恋を、愛を、心にしまっておく。
「おめでとう、美空」
「ありがと!!」
その好きな人の世界で一番綺麗なドレス姿を目に焼き付ける。
その隣は俺が良かった、なんて。