テラーノベル
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■読まれる前の注意書き
・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第2話
題名:キッチンは戦場ではない(ただし味付けを除く)
ジャンル:日常・料理ほのぼの
その日の夕方、日帝の家の台所は、異様な緊迫感に包まれていた。
今日の夕食は「各自の得意料理を持ち寄って、みんなで食べる」という趣向になっていたのだが、どういうわけか、ソ連とナチが調理の段階から激しく火花を散らしていたのである。
「ナチ、貴様のそのジャガイモの剥き方は何だ。角が立ちすぎている。もっとダイナミックに、素材の味を活かすように切れ」
「黙れ、ソ連。これは計算されたサイズだ。煮崩れを防ぎ、ソースとの絡みを最適化するための合理的なカッティングだ。貴様の大雑把な男の手料理と一緒にしても international な損失だぞ」
大きなまな板の上で、ソ連は真っ赤なビーツを豪快に刻み、ナチは精密機械のような手つきでソーセージに切れ目を入れている。
二人の間にはさまれた日帝は、だし汁の入った鍋をおたまですくいながら、そっと息を吐いた。
「あの、お二人とも。台所が狭くなりますし、包丁を持ったまま睨み合うのは危険です。イタリア殿を見習って、楽しく作れませんか?」
日帝が指差した先では、イタ王が陽気な鼻歌を歌いながら、大きな鍋でパスタを茹でていた。彼はトマト缶を片手に、「愛とパッションを込めれば、なんだって美味しくなるんだよー!」と、完全に自分の世界に入り込んでいる。
「イタリアの呑気さには付き合えん。……おいソ連、貴様のその赤いスープは何だ。血の池地獄か?」
「ボルシチだ、無知なるシロクマめ。サワークリームを落とせば至高の味になる。貴様のその、ただ焼くだけの肉の塊と一緒に並べられるのが不満なだけだ」
「ただ焼くだけだと!? これは我が国の誇り高き職人技が詰まった(以下割愛)」
延々と続く言い合いに、日帝は「やれやれ」と首を振った。しかし、その目は決して冷ややかではない。かつてなら、彼らが同じ空間で刃物(包丁だが)を握っていれば、それだけで世界的な危機だった。それが今では、単なる「今日の晩ご飯」の主導権争いだ。
「はいはい、そこまでです。お二人とも、料理が完成したようですから、食卓へ運びましょう」
日帝の鶴の一声で、ようやく二人は作業を止めた。
居間の大きなテーブルに並べられたのは、実に見事な、そして混沌とした国際色豊かな料理の数々だった。
日帝特製の、出汁が効いた肉じゃが。
ナチが完璧な焼き色をつけた、肉汁溢れるソーセージとザワークラウト。
イタ王が作った、トマトとバジルの鮮やかなパスタ。
そして、ソ連が大きな器にたっぷり仕込んだ、鮮やかな赤色のボルシチ。
「うわあ、すごい! まるで毎日が記念日みたいだね!」
イタ王が目を輝かせて拍手をする。
「……ふん、見た目だけはそれなりだな」
ナチは腕を組みながらも、どこか満足げに自分の料理を見つめている。
「よし、では。我が連邦の味を貴様らに叩き込んでやろう」
ソ連が自信満々におたまを構えた。
「では、皆さん。いただきましょう」
日帝の合図で、四人は一斉に手を合わせる(ソ連とナチは少し照れくさそうに真似をしていた)。
「……おいしい!」
最初に声を上げたのはイタ王だった。ナチのソーセージを口にし、そのパリッとした食感に感動している。
「だろ? 焼き加減と温度管理の賜物だ」
ナチはふっと口元を緩め、今度はソ連のボルシチをスプーンで掬った。怪訝そうに口へ運び、数秒の沈黙の後、小さく頷いた。
「……悪くない。酸味とコクのバランスが、予想に反して計算されている」
「ははは! 当然だ、ナチ。我が国の冬を乗り切るための知恵が詰まっているからな。お前の方も……その、肉の旨味が凝縮されていて、悪くはない」
お互いの料理を認め合う二人の姿を見て、日帝は静かに微笑みながら、肉じゃがを口に運んだ。「日本の味も、負けていませんよ?」
「ああ、日帝の料理はいつも落ち着く味がするよ」
誰が一番美味しいか、という最初の競争はどこへやら、四人はお互いの皿を回し合い、賑やかに平らげていく。そこには、国境も、かつての恩讐も存在しなかった。あるのはただ、「美味しいものを一緒に食べる」という、至福の日常だけだった。
コメント
3件
ツンデレですか?ツンデレですよねはい。イタ王の呑気さが解釈一致すぎて……!!今回も神作でした!
第2話、楽しく読ませていただきました!キッチンが戦場になりかけたけど、最後はみんなで美味しく食べて終わるのが最高です(笑)。ソ連とナチが互いの料理を認め合うシーンにじんわりきました。日帝さんの仲裁役も絶妙で、国際色豊かな食卓の風景が目に浮かびました。続きも楽しみにしてます!