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人生で二度もウェディングドレスを着ることになるとは。女優じゃあるまいし。


でも。


……よかった。


椅子に座り、鏡に映る自分を見る。……うん。今日の主役は間違いなくわたしね。こころもからだも整えてきたんだもの。


六月。四月には離婚から無事、100日間が経過し、四月三日に入籍した。……式は。身内だけのお食事会に。


新婚旅行はこれから。詠史も連れて、イタリアに行く。夏休みを利用して。


最初の結婚では、自分の意志で衣装を選ぶことが出来なかった。……でも、今回は、才我さんとふたりで決めた。ビスチェタイプの、お胸が強調されるデザインは、ちょっと派手かな、とも思ったけれど、主役なんだもの。このくらいいいじゃない? と思ったのだ。


ここでドアのノック音がする。「はい」と返事をすると、


「……有香子……すごく綺麗だ……」


白いタキシード姿のあなたが立っていた。


あなたのその姿が滲んで見えた。わたしたち、……遠回りをしたけれどもちゃんと、幸せを捕まえられたよね?

「ありがとう」とわたしは微笑んだ。スタッフのかたが気を利かせてお部屋を出て行ったので、才我さんとふたりになる。……彼は。椅子に座るわたしの後ろに回り、そっとむき出しの肩を包むと、


「……本当に。泣いちゃいそうなくらいに、綺麗だ」実際泣きそうな顔であなたは言う。「有香子。ずっとずっと一緒にいようね……幸せになろう」


「……うん」その、あなたの手に自分の手を添えて、わたしは、「……長かった食事制限もやっとこさ終わりが見えてきましたね。お疲れ様でした。今日は、食べたいだけ食べましょう」


別に元々太っているわけではなかったが、なんとなく、暗黙の了解でお互い制限をした。がっつくのはこれから。がっつき合うのもこれから。


「……さぁ。行こう」


あなたの手を取りわたしは立ち上がり歩き出す。まだ見えないバージンロード。知らない、銀河に輝くきらめく未来が、目の前に広がっていた。


申し訳ないですが、許しません。

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