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❍ 69 ◇こんなキスは知らない
唇でハムキスが終わるとまた手を取られ、左側のベッドに腰掛けるよう、
誘導された。
これで立っていた時に比べると、ふたりの唇の位置が少し近づいたように感じた。
私は次の彼の動きを察知して、腰掛けていたお尻の位置をずらし、
彼の顔の正面に向き合えるように座り直した。
そして、目を閉じた。
ここからしばらく私たちは何度もキスを交わした。
最初は、唇を軽く啄みなぞるように──次に少し力を入れて
彼の唇が私の唇をしっとりと、ねっとりと絡めとっていく。
次に舌が入り、強く吸われる。
そして、一旦離れたかと思った彼の唇が、熱心に嚙みつくかのような
荒々しさで、私の唇にまとわりつく。
『こんな長いキスははじめて……。いっ、いつ終わるのかしら?』
そう頭の中で考えていたはずなのに、そのあとすぐに私はキスだけで
官能の入り口に立っていた。
『こんなキスは知らない……。座っているのが辛い』
興奮しそうで、そんな自分が怖かった。
『どっ、どうなるの? 興奮して先走ったその後で、もしも蒼馬さんが途中で行為を
やめてしまったら、恥ずかし過ぎるじゃない?』
そう思い、気持ちを余所に向けて気を逸らそうとしたけれど、
それは成功しなかった。
身体から力が抜けそうになった頃……。
「なんか、かわいい」と彼が囁いた。
人をこんな風に煽っておきながらの悠長な台詞に、私はどうにか
なりそうだった。
身体が疼いてしようがない。
このまま、ベッドに横たわり楽になりたいと思った。
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