テラーノベル
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翌日、俺は普通に仕事をしていた。社会人になって3年目、俺はもう25歳。亮平と音信不通になって6年、亮平は今頃26歳。付き合っていた頃は俺はまだ10代で、時の流れが、亮平に会えていない年月と現実を知らせてくる。
今日の分の仕事が終わり、いつも通り電車を待っていた。ふと周りを見回すと、ずっと会いたかった、ずっと探していた、あの姿が見えたような気がした。それを確認したくて、あの人の名前を呼びながら夢中でその人に近付く。
目「…亮、平?」
俺の声が届いたのか、その人は俺の方を見る。目が合った瞬間、本当に亮平だ、という事に気付いた。嬉しくて、泣きそうで、少しでも話がしてくて、亮平に近付いていく。
もう少しで手が届きそうだった。…でもその手は届かなかった。
阿「…ッ!」
亮平はその場から逃げた。 無我夢中で追いかけた。でも、帰宅ラッシュの人の波に飲まれて見失ってしまった。
大学に通って、首席で卒業して、理科の教員をしている。教員になって4年目の今、地元に戻ろうと決心して、最近、地元に帰ってきた。今は地元の高校に配属になって、沢山の生徒達と楽しく仕事をしている。
いつも通り電車を待っていた。今日も何事もなく終わるはずだった。でも、少し遠くから聞こえる聞き覚えのある、一生忘れる事のない大好きな声が聞こえてそっちを見てしまった。
目「…亮、平?」
もう一生会わないと誓ったのに、何で少し期待して見てしまったんだろう。
阿「…ッ!」
もう少しで手が触れそうだったのに、俺はその場から逃げた。
…
帰宅ラッシュに紛れて、何とか会わずに逃げる事ができた。でも、俺の目からは涙が止まらない。
阿「なんでこんなにッ、涙…止まらないのッ…泣」
阿「…止まれよ…、自分で、決めたんじゃん、泣」
あの時、もう一生会わないと誓ったのは俺なのに、何で俺の前に現れるの?どうして俺の手を掴もうとするの?
阿「…会いたいッ、よ…泣」
俺はとうとう泣き崩れて、その場に座り込んでしまった。俺の横を過ぎ行く人達が俺を見て避けて通っていく。とても恥ずかしい事なのに、涙は止まってくれなかった。
…
宮「…あれ、阿部じゃない?」
渡「…え?でもこの時間じゃ電車に乗ってるんじゃ…、」
宮「…え、泣いてる?」
渡「涼太ッ!行くぞ!」
…
渡「阿部ちゃん?」
宮「阿部?」
阿「…ッ翔太?、舘さん?泣」
渡「どうしたんだよ?こんな所で。」
阿「ッ俺…泣」
宮「一旦俺達の家行く?」
渡「そうだな、連れて帰ろう。」
宮「阿部、行くよ、」
宮「翔太、佐久間も呼んどこう。((ボソ」
渡「おう、((ボソ」
…
阿「…何でッ、何で…、泣」
宮「阿部?大丈夫?」
阿「…ッ泣」
渡「涼太、コーヒー。」
宮「ありがと、」
渡「阿部も、カフェラテ。」
阿「…ありがとう…泣」
ピーンポーン
渡「来たか、」
宮「入って良いよー!」
佐「お邪魔しまーす!」
渡「阿部ちゃんが…、道端で泣いてて。」
宮「佐久間が、ずっと仲良いから、助けになってくれるかなって、」
佐「そゆことねー!阿部ちゃん?大丈夫?」
阿「…佐久間…、泣」
佐「何があったか、全部話せる?ゆっくりで良いから。」
阿「…うん。泣」
俺はさっき蓮に出会ってしまった事、逃げてしまった事を佐久間に話した。
阿「…会いたくなかったのに…、泣」
佐「…それが、本心?」
阿「…俺、は…、蓮に会いたい。…でも、」
渡「会えば良いんじゃないの?今の話聞いてる限りだけどさ、 」
阿「…。」
佐「阿部ちゃん?言うよ?」
阿「…うん。」
佐「あのね、蓮っていう人は、阿部ちゃんの元彼なんだ。6年前、阿部ちゃんが振ったの。」
宮「…だから、会いたくない?」
渡「でも、会いたいって。」
佐「…それには理由があって…、」
阿部ちゃんとは中学生の頃から仲が良くて、ずっと親友だった。だから、阿部ちゃんが付き合った、っていう蓮の事も俺はよく話を聞いていた。そのうち、俺も蓮と仲良くなって、蓮の友達のラウや康二と5人で遊ぶ事もあった。
そして、俺っちと阿部ちゃんは同じ大学に入学した。蓮達とは離れてしまったけど、それでも亮平は蓮と付き合っていた。
俺っちと阿部ちゃんが大学2年生になって、暫くしてあの事件は起こった。
βであるはずの阿部ちゃんが、ヒートらしき症状で倒れたんだ。俺っちもβだから、ヒートとかあんまり詳しくなかった。周りに居たαの人達がフェロモンに当てられて阿部ちゃんの方に近付いてくる。
俺はその人達を食い止めながら、救急車を呼んだ。
…
病院に着いて、阿部ちゃんの症状も落ち着いて、担当医の方が検査結果を発表しに来た。
岩「阿部さん、初めまして。今回、阿部さんを担当する事になりました、第2性研究医の岩本です。」
阿「お願い、します…。」
岩「結果からお伝えすると、阿部さんの第2性がβからΩに変わっています。阿部さんの体は今、Ωなんです。」
阿「…えっ…、」
岩「急な事でびっくりですよね。実は、年に1、2件ですが、そういった事例が出ているんです。」
阿「…もう、戻らないんですか?」
岩「…残念ながら。」
阿「…ッ、」
岩「俺は、第2性研究医です。ずっと研究してるんです。なぜ変化するのか、治す方法は無いのか。…でも、見つからないんです。今の技術では、どうする事も出来ません、」
阿「…佐久間、」
佐「蓮に連絡しよう?蓮なら、きっと受け入れてくれるって、」
阿「待って…、自分から伝える、から、今は黙ってて欲しい。」
佐「本当に?大丈夫?」
阿「…うん。」
岩「阿部さん?大丈夫ですか?」
阿「正直、しんどいです。…先生、俺、どうすれば良いんですか?泣」
阿「…助けて下さい…泣」
岩「今の俺には、何も出来ないんです、本当にごめんなさい…、」
岩「でも、阿部さんの心を助ける事は出来ます。…辰哉、」
深「阿部さん、こんにちは。初めまして、」
阿「ッ泣」
深「私、精神科医の深澤辰哉、と申します。阿部さん、一緒に乗り越えましょう?何でも相談乗りますから、」
阿「…うわぁぁぁぁぁ泣」
…
深澤さんの助けもありながら、阿部ちゃんは検査含め1週間で退院した。
その間、蓮には何も伝えなかった。
𝕊𝕠𝕣𝕒☁️🫧💙
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