TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

バスの中は、夜明けまでが何倍にも長く感じられるほど静かだった。

毛布の中で目を閉じても、さっきの扉の音と、あの声が頭から離れない。

💜の足音が消えてから、もう一時間は経っただろうか。

時計なんてないから、ただ心臓の鼓動だけを数えて時間を測るしかなかった。

ときどき、外で何かが崩れるような小さな音がする。

風かもしれない。でも、違うかもしれない。

そのたびに、毛布の中で全員が固まった。

――そして。

コン……コン……

また扉を叩く音。

僕の心臓が一気に跳ね上がった。

さっきの“それ”が戻ってきたんじゃないか。

毛布越しに、隣の子の手がぎゅっと僕の袖をつかむ。

「……俺だ、💜だ。開けてくれ」

その声は、確かに💜の声だった。

低くて、落ち着いていて、昼間と同じ声。

扉の外からは、もう一つの声も聞こえた。

「……大丈夫なん、?」

震えているけど、聞き覚えのある声。

――🩵だ。

扉を開けると、冷たい空気と一緒に、二つの影が滑り込んできた。

💜の肩には、薄い毛布をかけられた🩵。

顔はすすで黒くなっていて、髪は灰をかぶったみたいに白くなっていた。

でも、間違いなく、本物の🩵だった。

「……大丈夫か?」

僕がそう聞くと、🩵はかすかに笑ってうなずいた。

その目には疲れと安心が入り混じっていた。

💜はバスの奥に🩵を座らせ、水筒を手渡す。

「道は安全じゃなかった。でも……こいつ、まだ生きてた」

そう言って、ほんの少しだけ口元を緩めた。

それは、今まで見たことがないほど安堵した笑顔だった。

毛布の中で、子どもたちが小さな声で「よかった」とつぶやき合う。

夜の冷たさはまだ残っているのに、バスの中はほんの少しだけあたたかくなった。

外では、相変わらず風がガラスの破片を転がしていた。

でもその音は、もうさっきほど怖くはなかった。

この作品はいかがでしたか?

64

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚