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rd「ねぇ…ぺいんと?」


pn「ん?なに?」


rd「俺、伝えたいことがあるんだけど…」







〈 pnside 〉


らっだぁが急に真剣な目で俺の事を見てそう言った。

俺何かした?もしかして日記見られた?いや絶対それしかないじゃん、どうしよ。


pn「な、なに….?」


rd「俺、ぺいんとの事好き。付き合ってほしい」


そういう彼の瞳は真っ直ぐこちらを向いていて俺も逸らすことが出来なかった。

でも、冗談に違いない。

どうせまたいつものノリで「そうだとおもつまた?ざんねーん」って言われるんだよ。知ってるよ俺は。

お前は真顔で冗談をつける人なのも知ってる。


pn「っえ….」


pn「え、冗談だよね….?」


rd「本当って言ったら嫌?」


ちょっと待って。頭の整理が追いつかない。

らっだぁが?俺のこと好きなの?本当に?

やっぱりらっだぁは俺が喜ぶ言葉をかけてくれる。

だから俺も本当の気持ちを伝えないと。

らっだぁが本当にだと言ってくれてるんだから。俺もずっと前から好きだったって。


pn「…俺も、」


rd「?」


pn「俺も、らっだぁの事、すき、」


rd「本当に?!」


pn「うん」


rd「じゃあ___」


一気に明るくなった彼の表情を見て俺は彼からの好意が本当のものだったのだと思った。


俺のお願いを嫌々聞いてくれて

「らっだぁ」って呼んだら優しく返事をくれて

俺が寝てたら優しくブランケットかけてくれたこともあったよね

さっきだって髪の毛乾かしてくれて


俺は本当にらっだぁの事が好き。


だから







pn「ごめんなさい。」











〈 rdside 〉


余命宣告


俺は全く気づかなかった。気づけなかったんだ。

ぺいんとが父親と同じ癌であること。

あと半年しか生きられないこと。

病院に行った頃には既に危険な状態だったこと。


だから日記も半年後と言ったんだ。半年後に生きている可能性は低いから。死んだ後で見せようとしてたんだ。


ぺいんとは治療をしても助かる確率が低いと医者に言われたそう。だからぺいんとは諦めた。

諦めて余生を田舎のこの町で暮らすことにしたのだという。


ぺいんとは「看護師を目指している人がいる町」と言われてここに来たらしい。

俺が昔勉強に行ってた病院がそこだったから。ぺいんとが診断を受けた病院だったから。

1人の先生にだけは言っていたんだ。看護師になりたいと。

俺がぺいんとに看護師の話をした時にぺいんとはその看護師を目指している男が俺だと知ったそう。


pn「だからッ …. だからぁ ッ  泣ヾ」


rd「泣かないで、大丈夫だよ」


pn「らだのことだいすきだけどッ付き合えない….. 泣ヾ」


色々な感情が混ざって複雑な感情のまま泣いているぺいんとを俺はそっと抱きしめた。


rd「それでも俺はぺいんとのことが好き。

俺がぺいんとの事助けるから。絶対に。」


pn「ッうん…. 泣ヾ」


rd「話してくれてありがとう」


rd「…でも俺、これからも一緒にいたい。

好きでいていい?」


pn「うん…いいけど、付き合えないんだよ?」


rd「それはなんで付き合えないの?」


pn「…付き合ったら、らだぁのこと置いていっちゃうじゃん…、」


rd「うん….」


pn「俺もらっだぁも悲しい思いするの嫌だもん…」


rd「優しいね」


pn「優しくない…」


rd「俺はぺいんとの事だいすきだしずっとそばにいるからね」


pn「うん…ありがとう」


rd「泣き疲れちゃったでしょ、今日はもう寝よう?」


pn「うん…寝る」


pn「一緒に寝るよね」


rd「うん」


pn「やったぁ….、」


rd「静かに喜ばないで 笑ヾ」


pn「へへ、」





rd「ぺいんと」


pn「なに?」


rd「だいすきだよ」


pn「うん」

pn「俺も….すき、」


小さく震える声が、胸の奥に落ちてきた。

言葉が消えた後も、鼓膜に焼きついて離れない。

俺は思わず息を呑んでしまって、返す言葉が見つからなかった。


俺はぺいんとの肩をそっと抱き寄せた。体温が伝わってくる。けどそれは、どこか弱々しくて頼りなくて、手を離したらそのまま崩れてしまいそうに感じた。


知っていたんだ。本当は。処方箋の名前に「抗がん剤」って記されていたことを。

だから癌なんだろうとは思っていた。それも初期段階の。それがまさかの手遅れだとは思わなかった。


そして、余命のことは知らなかった。

ぺいんとはただ辛そうな顔で「付き合えない」って言った。

俺の知らないところで、ずっと一人で苦しんで、覚悟して、やっとの思いで俺に打ち明けたんだと思うと、胸が張り裂けそうになる。


rd「なんで …… 一人で抱えてたの」


声に出すと、かすれていた。責めたいわけじゃない。ただ、言わずにはいられなかった。

ぺいんとは小さく首を振って「言えなかった」と呟いた。涙で濡れた頬に触れると、すぐに吸い込むみたいに冷えていった。


俺は強く抱きしめた。


rd「ぺいんとが何を背負ってても、隣にいたい」


気休めでも、綺麗ごとでもいい。今はそれしか言えない。


ぺいんとは俺の胸に額を押し付けて、小さくしゃくりを上げていた。泣き声が布越しに響いて、その震えごと俺の体に流れ込んでくる。苦しくて、愛おしくて、どうしようもない。


pn「… ごめん」


その一言が、やけに重かった。

謝らなくていいこに。

俺はただ、一緒にいたいだけなのに。

でもぺいんとは、俺の未来から自分を消そうとしている。それは優しさなんかじゃない。残酷な想い。

けど、その優しさに縋りたくなる自分もいる。


俺は深く息を吸って、囁いた。


rd「大丈夫だから今は泣いていいよ。

俺が隣にいるからね」


ぺいんとは嗚咽をこらえきれず、肩を震わせながら俺にしがみついた。その手の力が弱まるのが怖くて、もっと強く抱きしめた。

瞼の裏に、未来の映像がちらつく。時間の針は確実に進んでいて、俺たちに残された日々は数えられるほどしかないかもしれない。

それでも。今この瞬間だけは、嘘じゃない。


やがて彼の呼吸が少しずつ落ち着き、涙で濡れた瞳が俺を見上げた。言葉はなくても、その瞳が全てを物語っていた。俺も見返す。口には出さなかったけど、心の奥で繰り返していた。


好きだよ。何度でも言う。何度でも伝える。


布団に横になっても、ぺいんとは背中を向けようとしなかった。俺の胸に顔を埋めたまま、浅い眠りに落ちていく。 時折、小さなすすり泣きが混じる。

そのたびに俺は背中を撫で続けた。まるで、泣き疲れた子供をあやすみたいに。


暗闇の中で、俺は一人考える。

どうしてこんなにも脆い存在を、俺は好きになってしまったんだろう。

けど、後悔なんて一つもない。全て運命だったんだ。ぺいんとが病気でも、余命を告げられていても、俺の気持ちは揺るがない。むしろ、この想いだけは誰にも奪えないと確信している。


やがて彼の寝息が静かに重なってきた。

俺はそっと瞼を閉じた。明日が来るのが怖い。でも同時に、明日も一緒に目を覚ませることを願ってしまう。


矛盾だらけの心を抱えながら、夜に沈んでいく。






ほんの少しでも、時間が長く続けばいい。

そう祈りながら。







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コメント

3

ユーザー

めっちゃ涙目なってました。。; 伏線回収が綺麗で物語の展開良すぎて本当に尊敬でしかないです😢♡

ユーザー
ユーザー

え、めちゃめちゃ泣けるんですけど、😭 pnちゃん、、奇跡が起こることを願います...

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