テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⸜泣ĭ 挐玖 焉 ☾⸝€ロ
662
95
#あきぷり
# 狼 サ ン .
1,155
「やっほー、ねえ、人間さん。綺麗な絵いらない?」
動く絵からそう話しかけられた俺、早見ガクは5分ほどそこで立ち尽くしたあと、結局この絵を部屋に持って帰った。
「もう!この私を捨てるなんて、許せない!」
そう言っているのはさっき俺自身が拾ってきた絵だ。確かに、こんなに綺麗な絵がどうしてあんなガラクタの上で…。
「えーっと、俺の言葉、伝わるんだよな?」
「ん?もちろん!さっきだって私のためにくどいほど求婚してくれたでしょ?
あれほどの熱意、久しぶりで嬉しかったわ!」
…そうだったか。この絵を見て脳を揺らされた後の記憶はほぼほぼなく、ただゴミ捨て場からひったくって階段を全力で上がった記憶しかない。普段運動をしない俺にとっては致命的なまでの体力消費だったが、それほどまでに「この絵を取られたくない」と思ったのだ。
そんなわけで息も絶え絶えな俺だが、横には目をらんらんと輝かせている絵がいる。
こんなに綺麗な絵、誰が描いたのだろうか。見たところ中々年季が入っているようだ。
「ところで…。作者は誰なんだ?」
「さく、しゃ…?」
俺の一番知りたいところはどうやらこの絵は知らないようだ。作者という単語に聞き覚えがないように首を傾げている。なんてことだ、この絵の作者の他の作品も見たかったのに…。
「描いた人のこと、本当にわからないのか?俺はどうしても知りたいんだ、君の作者が!」
問い詰めるかのように彼女に詰め寄る。しっかり考えれば描かれた絵が作者のことを知っていることなどないはずということくらいすぐに分かるが、この時の俺はあまりのショックでそんな理性的な思考は出来ていなかった。
「そんなこと言われても…、そもそも私のタイトルの前に描いた人ですって!?私に対してとんでもなく失礼よ!!」
「うっ…、」
正論だった。よく考えれば当然なことだったがやっぱり俺はこの時あまり頭が働いていなかったようだ。
その後しばらく口論をした。
絵と口論なんて世界中でも俺が初めてなんじゃないだろうか。
その結果分かったことは以下の3つ。
①彼女は1000年前に描かれたこと。
②1000年間の記憶はあるが、作者の顔や名前などは分からないこと。
③彼女のタイトルは『1000年生きてる』だということ。
そう聞いた俺はすぐさまネットで『1000年生きてる』で検索したが、この絵はヒットしなかった。だが、とある掲示板サイトのスレッドが出てきた。
【呪いの絵画】『1000年生きてる』の持ち主の末路がコチラwwwwwwwwwwww
そのページが彼女に見えないようにそっとパソコンを閉じた。もしかしたら、彼女に呪いの絵画としての自覚があるかもしれない。傷をえぐるようなマネをするのは嫌だ。
…もしかして俺はとんでもないものに魅せられてしまったのかもしれない。だが、目の前でラッタッタと名も知らない鼻歌を歌っている彼女が人を不幸にするなんて俺には信じられない。
何より、こんなに美しい絵画がまるで悪者かのように書き込まれているのが許せない。誰も彼女を求めないのなら都合がいいじゃないか、この絵画の輝きが失われる時まで俺が見ていたい。その願いを叶えるためだけに俺はこれから生きていくんだ。
そんな風に呪われていったことに、今でも俺は後悔していない。
コメント
1件
第2話、めっちゃおもろかったっす…! 「タイトルの前に描いた人ですって!?」のツッコミ、完全にギャグ漫画のノリで笑いました。でもガクがネットのスレッドをこっそり閉じるところで空気が一変するの、めちゃくちゃ好き。彼女を守るために「誰も求めないなら都合がいい」って言い切るガク、かっこよすぎんか?この先、呪いの真相とか作者の謎がどう転ぶかめっちゃ気になる…!続き楽しみにしてます🔥