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今俺こと佐古大和は、高砂の兄貴、守若の兄貴、久我の兄貴、久我の兄貴の恋人である小峠さんと居酒屋に飲みにきている。
何故、ここに京極組ではない小峠さんがいるかって?それは俺が、久我の兄貴に頼み込んだからである。
勿論、最初は久我の兄貴もいい顔はしなかったが、自慢の恋人とやらを一度見てみたいと拝み倒した結果、なんとか連れてきて貰う事に成功したのだ。
「俺は京極組の期待の新星、佐古大和です」
「初めまして、天羽組の小峠華太だ。今日はお招きいただき、ありがとうございます」
俺たちより、年上だと聞いていたが、愛らしい感じの顔立ちをしており、久我の兄貴が夢中になるのは分かる気がする。まあ、俺は女の子方がいいけど。
店に入るなり、席順を決める事になった。
「はいはーい!俺は小峠さんとお話してみたいです」
久我の兄貴は嫌な顔を浮かべ、守若の兄貴はなんとも言えない表情で、此方を見てきたが、事前に高砂の兄貴に協力を取り付けていた事もあって、俺は小峠さんの正面の席を無事ゲット!
席についてから、あらかた料理を食べ終えて、談笑に入った所で、俺は本題を切り出す。
「久我の兄貴から、聞きましたけど、本当に断ったことないんですか?」
これを聞く為に、小峠さんを呼んで貰ったと言っても過言ではない。何故なら、俺は守若の兄貴とそういう関係だからだ。
俺が気乗りしない日でも、守若の兄貴の興が乗れば、押しきられてしまうのだ。こう頻繁だと、腰痛もヤバイが、痔主になりそうで怖いのだ。うら若き20代で、痔主デビューを果たすのだけは避けたいぃぃぃ。
そいう理由から、同性の恋人を持つ、久我の兄貴に相談してみたのだが
「俺に聞かれてもな。そもそも断られた事ないからな」
と、思いもよらない返事が返ってきたのだ。久我の兄貴はまだ若いから、当然性欲だって強いに違いない。それなのに、年齢的に落ち着いている年上の恋人からは、断られた事がないと言うのだ。その真相を確めるべく、久我の兄貴の恋人である小峠さんを呼んで貰ったのである。
「ないな」
久我の兄貴の言った通りの返答だった。
「でも、したくない日とかないんですか?」
「それは勿論ある。そういう時はしてない」
「え?でも、断った事はないんですよね?」
「上手く交わしてるから、断った事はない」
成る程!言葉で拒否られた事がなかったから、久我の兄貴は断れてないと感じてただけだったのか!
「因みにどうやって、とかお聞きしても」
先ほどから、ちらちらと俺が守若の兄貴の様子を伺っていることから、なんとなく察した、小峠さんから思いも寄らぬ、提案が飛び出す。
「説明するよりも実践の方が早いだろ。実践でもいいか?」
「是非、お願いします。」
俺が了承すると小峠さんは席を立ち、高砂の兄貴と守若の兄貴と話している久我の兄貴の横に座った。
「久我、お前酒強い方だよな?ここの店、利き酒とか出来るみたいだから、せっかくなら、利き酒対決してみないか?賭けありで、だ」
「何を賭けるつもりっすか?」
「俺が勝ったら、俺の分のお代はお前もち。お前が勝ったら、膝の上に座ってやってもいいぞ。どうする?」
流石の久我の兄貴といえども、この賭けに乗る筈かない。本来、賭けるなら同額程度の物を賭けるのが普通なのだが、小峠さんが提示した条件だと、久我の兄貴が負ければ金銭的な痛手をくらうが、小峠さんは負けても無傷である。そんなの賭けとして成り立つ訳がない。
「やります」
しかし、久我の兄貴はその勝負に乗ったのだ。
もしかして久我の兄貴は、計算できないのか?
「おい、佐古、心の声漏れてんぞ」
久我の兄貴から、俺は拳骨での制裁を受けた。そして、俺が伸びている間に、利き酒対決はすでに始まっていたようで、二人は順調に杯を空けていた。
「「鬼ころし」」
「「金鹿」」
「「蔵元の梅酒」」
かなりのハイペースで杯が、進んでいた。
「赤霧島」
「黒霧島」
そして、ここにきて、二人の意見が割れた。
「正解は赤霧島よ。虎鉄ちゃんの勝ちね。良かったわね」
「小峠パイセン、賭けの内容覚えてます?」
勝ち誇った表情を浮かべ、久我の兄貴が小峠さんに、にじり寄っていく。
「分かってる」
久我の兄貴が胡座をかき、自分の膝をポンポンと叩く。
「膝の上、どうぞ」
小峠さんは久我の兄貴に促されるまま、久我の兄貴の膝の上に座った。
「重いか?」
「重いけど、ちょうど良い重さっす」
「なんだそれ」
久我の兄貴はこの世の春とばかりに、だらしない顔を晒している。余程、小峠さんに座って貰えて嬉しいようだ。小峠さんがお猪口に口をつけようとすると久我の兄貴が、小峠さんの手からお猪口を奪う。
「あんた酔ってるから、これ以上は飲むの禁止」
久我の兄貴に咎められた小峠さんは、少しむくれた様子で
「ビールとハイボール頼んでるんだが」
と、いい募る。
「俺が代わりに飲んどきますから、ほら、あんたはこっち」
強制的に、お冷やの入ったコップを小峠さんに、握らせた。
あれ?交わし方を教えてくれるのではなかったか?と疑問を浮かべていると、ちょうど、久我の兄貴がトイレに席をたった。久我の兄貴が居なくなったのを確認してから、小峠さんが此方に視線を向け、ちょいちょいと指先だけで手招きされた。
「負けちゃいましたね」
「元々、頃合いをみてから負ける予定だったからな。最初から、目的は久我を泥酔させることだからな。使いもんにならなければ、誘われる心配もないだろ」
「あ~そういう事ですか。酒入り過ぎると勃たなくなりますからね」
男の特性を知り尽くしてる、同性故に出来る交わし方である。
「でも、流石に毎回、同じ手だとバレません?」
「毎回、手を変え、品を変えしてるぞ。この前も久我が誘ってこようとしたから・・・
「か、華太さ「なんか今日は、とっても甘えたい気分なんだ。虎鉄が抱き枕になってくれたら、いい夢が見れそうなんだが、駄目か?」と首に腕を回して尋ねたら、久我は二つ返事で
「いいっすよ。抱き枕でもなんでもしてあげますよ!」
って、感じで勝手に蛇の生殺し状態で、寝てたからな」
「この前、凄い隈作ってきた日がありましたね」
小峠さんから話を聞けば聞くほどに、これはまさしく
計画的犯行!
「そんなんで以外と、上手く交わせるもんなんですね」
「ああ、それは、こういう時の為に、普段から余り触らせてないからな」
何か途端に久我の兄貴が、不憫に思えてきた。
「久我の兄貴って、もしかしてチョロかったりしちゃいます?」
「チョロいな。でも、そんなとこが可愛いだろ」
なんか最後、凄いのろけられた気もするが、気のせいなのだろうか。
トイレから戻ってきた久我の兄貴によって、俺は守若の兄貴元へ押しやられた。守若の兄貴は既にベロベロだった。
「佐古~俺と遊べ~」
「守若の兄貴、俺らも酒の飲み比べしてみません?」
俺は小峠さんから、教えて貰った方法で、守若の兄貴からの夜のお誘いを回避するために、守若の兄貴に勝負を申し込んだのだった。
おわり