【第1章】居坂村
学「おい、武瑠知ってるか?」
学は武瑠の頭を掴みながら言った。
武瑠「何が?」
武瑠は痛みに耐えながら学の話を聞いていた。
学「あの村、立ち入り禁止なんだけどよ、お前行ってこいよ」
武瑠「ふざけるな、俺は行かない」
学「お前またそんなこと言って時間稼いで姫川に守ってもらうんやろ?」
姫川「ちょっとやめなさい」
学「ほらきた」
姫川は怒ったように言うと学を睨みつけた。
武瑠「ちっ……」
武瑠は舌打ちをしてその場を去った。
姫川「もう!」
姫川が怒ってると後ろから女子達がやってきた。
結衣「おーい!一緒に帰ろうぜぇ〜」
舞「あれ?武瑠君も一緒なの?もしかしてまた学達にいじめられたの?」
武瑠は首を縦にふった。
舞「あんたねいい加減強くなりなさいよ、毎回姫川に守ってもらって恥ずかしくないわけ?ほんとありえない」
舞は軽蔑するような目で武瑠を見た。武瑠は何も言い返せずただ俯いたままだった。
結衣「そういえば今日転校生が来るらしいよ!」
舞「え?男!?女!?」
結衣「女の子だって!」
舞・結衣「「やったぁ!!」」
2人は喜びあった。すると教室の前に先生が現れた。
先生「みなさん席についてください」
生徒達はすぐに自分の席についた。
先生「それでは転校生を紹介します。どうぞ入ってきて下さい」ガラガラッ ドアを開ける音がして入ってきたのは金髪の少女だった。男子達からは歓声が上がった。少女は黒板に名前を書き始めた。
彩花「初めまして、私は彩花と言います。よろしくお願いします」
彩花は一礼した。
男子A「ねぇねぇ彼氏いる?」
男子B「好きなタイプとかある?」
彩花の机の周りはすぐに人で溢れかえっていた。
彩花「いえ……いないですけど……」
男子C「じゃあ俺立候補しようかな!」
彩花「ありがとうございます……」
彩花は苦笑いしながら答えていた。すると先生が手を叩いた。
先生「はいはい、みんな静かにしてくださいね、授業を始めますよ」
昼休みになるとクラスメートのほとんどが彩花の周りに集まってきた。
男子D「どこから来たの?」
男子E「好きな食べ物は?」などたくさんの質問攻めにあっていた。彩花は戸惑いながらも笑顔で対応していた。
学校も終わり帰宅時間になり武瑠は学のあの村の話の事を考えていた。
姫川「武瑠?どうしたの?」
武瑠「ちょっとね」
武瑠の浮かない顔を見た姫川は
姫川「学の事なら気にしない気にしない」
姫川は元気づけるように言った。
武瑠「ありがとう」
武瑠達の帰宅後、学は仲間達と居坂村に来ていた
学「ここが居坂村だな、おい加藤これであってるか?」
学は地図の示す場所を指しながら確認していた
加藤「あっとるでほんまに行くんか?ここ危険領域と言われてる立ち入り禁止エリアやで」
学「大丈夫だよ、なんせここには伝説の剣が眠ってんだからな」
加藤「でも本当に行く気なんか?」
学「当たり前だろ」
学は自信満々に答えると歩き出した。加藤は不安そうな顔をしながらもついていった。しばらく歩くと人影が見えてきた。
学「おーい!ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいですかー?」
学は大声で呼びかけた。
村人「はいはい、何でしょうか?」
村人は少し警戒気味にこちらに向かってきた。
学「あのさ伝説の剣の在処教えてくれないか?」
村人「は?いきなり来て何を言ってるんですか?」
村人は困惑している様子だった。学は村人の肩を掴み揺らした。
村人「うわぁ〜わかった!教えるから離してくれ〜」
村人は観念したのか話し始めた。
村人「私も知らないんですよ」
村人は申し訳なさそうに言った。
学「え?嘘だろ?」
村人「本当ですよ、だからそんな必死になって探す必要なんて無いと思いますよ」
村人は笑いながら言うと去っていった。
学「くそっ!どうなってんだよ!」
学は苛立ったように頭を掻いた。
学「もういい!次行こうぜ!」
学は仲間達に声をかけた。
加藤「なぁ、やっぱりあの村の事調べるのはやめへん?」
学「うるさいな、今更怖気づいたのかよ」
学は仲間の方を振り返り睨みつけた。
加藤「別にそういうわけじゃないけど……」
加藤は怯えているような感じだった。
学「よし決めた、俺1人で行くよ」
加藤「ちょ、待ってくれよ!」
加藤は慌てて追いかけようとしたしかし、どんどん学の姿が小さくなっていきやがて学は暗闇の中に消えた
佐々木「おいどうするよ、あいつ言っちまったぞ」
ずっと黙って付いていった佐々木口を開いた
加藤「まあ俺らもここまで戯言に付き合ってきたんだ、俺は追うぞ」
加藤は学の後を追った。しばらくすると加藤は自分が暗闇の中に佇んでいることに気がついた。
加藤「おーい学どこだよ返事しろよ」
暗闇の中では静けさだけが隣に居ただが暗闇の中でソレは居た。キリキリという音をたてながら迫ってくる
加藤「な、なんだこいつ!?」
加藤は腰を抜かしその場に座り込んだ 加藤は死を悟った
加藤「ちくしょう……こんな所で死ぬのか……」
加藤は目を閉じた すると目の前が明るくなった
加藤「な、なんだ……」
加藤が目を開けるとそこには学が立っていた
加藤「脅かすなよ、お前探してこんなところまで来ちまったよどうだ?伝説の剣とやらは見つかった?」
学「あ」
学の様子がおかしいことはすぐにわかった、しかしここで事を起こしても自分もトラブルに巻き込まれたくないと思った加藤は平静を装い
加藤「そうか!見つかったか!佐々木達が待ってるから帰ろうぜ、な?」
とにかくこんな不気味な場所からは出たかったこの村のおかしいところはいくつかあったが学の様子を見て加藤は確信した。ここは本当に危険だということに
学「帰れ、ない」
加藤「え?」
学「帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない」
学の目は虚ろで焦点が定まっていない。
加藤「おいどうしたんだよ」
加藤が学に触れようとすると突然学が襲いかかった。
加藤「うわぁ!何しやがる!」
加藤は間一髪避けることができた。
加藤「どうなってやがる」
加藤は恐怖で震えていた。学はゆらりと立ち上がると加藤の方を見た
加藤「来るなぁ!!」
加藤が叫ぶと同時に学が飛びかかってきた 加藤はなんとか避けたがバランスを崩してしまった。加藤の体は地面に打ち付けられた。
加藤「いてて……」
加藤は起き上がろうとしたができなかった
加藤「体が動かない……まさか毒!?」
学「殺ス殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロス」
学は加藤に馬乗りになると何度も殴ったり刺したりを繰り返した
加藤「痛ぇよ……助けてくれ……」
こいつに付いてくるんじゃなかった、今さらそんな後悔をしていた。こいつの言うことを聞かないとめんどくさいことに巻き込まれると思ったからだ。ついてくるぐらいなら大したことにはならないと思った俺の甘さが招いた結果だ。加藤は死を悟っていたしかし
武瑠「伝説の剣はここにある!」
その声は村の中心の方から聞こえた。すると学は襲うのをやめ、村人達と武瑠の方に襲いかかった。
武瑠「静まれ、我は伝説の剣を持つ者今この居坂に帰った。この村に安息と平和を約束しよう」
村人A「おぉ……神よ……」
村人B「ありがとうございます」
村人C「これで村は救われます」
村人達が消えていく、そんな姿を見ている加藤に武瑠は言った。
武瑠「この居坂村は剣士が戦前に休息する場所だったんだ、村人達は必死にここを守っていたんだ。ちなみにこれは居坂村に伝わる伝説の剣だそうだが探すのと復元に時間がかかってしまってねまさか都会にあるとは思わなかったよ」
そんなことを淡々と話す武瑠に加藤は唖然としていた、しばらくすると学の姿が居ないことに気付く
武瑠「学君はもういないよ、彼はこの村の人間だったんだ、姫川さんも佐々木君も」
加藤「何を言ってるんだ、そんなことはありえないほら」
自分の手が消えていることに加藤は気付き驚いて腰が抜けてしまった
武瑠「みんな消えるんだ、これで終わる」
加藤「お前何なんだよ、誰なんだよ」
加藤は怒りを込めて言った、しかしそれはこの後の武瑠の発言で無に変わった
武瑠「覚えてないんだ、僕だよ僕翔太」
加藤「へ?」
聞いたことがない名前のはずなのに凄く恐ろしくなるのは何故だろうか。
翔太「僕はね今武瑠君の体を借りているんだよ、真実を話してあげる彼はいじめ引受人なんだ。どんな時代、場所、世界問わずいじめや虐待、差別等を引き受けてくれるんだ、僕は彼に1日だけ引き受けてもらって自由を手に入れたんだそして今ここに戻ってきた」
武瑠「あ、伝説の剣に関しては僕のサービスねまさに名演技だったでしょ」
翔太は武瑠の話を聞かずに自分の話を続けた
翔太「僕は学達が居坂村に行ったあの日チャンスだと思い姫川さんを誘って都会に出た、そこで悪い集団に巻き込まれて姫川さんは襲われた。僕は必死に立ち向かったけど守れなかった僕は意識が遠くなっていく中で姫川さんの悲鳴が聞こえた」
そんな恐ろしい話を淡々と話している翔太に怒りが我慢できなくなった加藤は残った片手で胸ぐらを掴み
加藤「ふざけるな、何で守れないんだしかも意味がわからない何で姫川がお前なんかとデートに行くんだ」
武瑠「落ち着きなよ、彼の絶望はこれだけじゃないんだ」
加藤「どういうことだ」
加藤は胸ぐらを掴むのをやめ、翔太の話を聞いた
翔太「意識を取り戻した僕は恐ろしい光景を目にしたそれは土砂崩れで村、町がなくなっていたんだ」
加藤「嘘だろ……?」
加藤は信じられなかった。
武瑠「まぁ無理もないよね。自分が死んでるなんて思わないよね、でもて消え始めてるから流石にわかるかあ、話続けて」
翔太「土の上で絶望している時、目の前に突然武瑠が立っていたんだ。僕は武瑠に願った助けてくれとそしたら武瑠は2人でやろうて言ってくれたんだ」
武瑠「そして今過去が変わったおかげでこの村は救われましためでたしめでたしじゃないんだ、俺の力は場所は戻せても人の命は戻せないんだ。ごめんな翔太痛みを引き受けることはできるが消滅は引き受けられない」加藤は激怒した
加藤「ふざけるな、何とか戻してくれ俺はまだ聞けてねぇんだよ姫川に告白の返事を思い出したんだあの日居坂村の事をさっさと終わらせて返事を聞く約束だったんだそれなのになんだ、お前とデートって」
武瑠&翔太「デートじゃないよ」
武瑠「あの日の真実はもっと純粋で綺麗な少女の話だったよ」
【居坂村真相編】へ続く
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