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『暁』幹部連の誘引に成功した『エルダス・ファミリー』は、その封じこめのために行動を開始していた。

「マクガラス、てめえ!俺をダシにしやがったな!?」

真相を聞いた幹部バンダレスは、激昂した。自分の性格を利用されて相手の行動を誘発した形となったからである。

「人聞きの悪いこと言わねぇでほしいな。あっちにはベルモンドが居るんだ。当然お前の性格も知ってるだろうからな。ちょっかいを出せばお前が攻勢に出ると踏んでる筈だ。それを逆に利用してやっただけだ」

マクガラスはニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべる。事実マクガラスの行動はバンダレスに照準を定めていた『暁』の、シャーリィの裏を掻くことに成功している。

「俺が考え無しのバカだって言いてぇのか!?」

「何だ、ハッキリ言わねぇと分からねぇのかよ?」

「てめえ!!」

「止めろ」

激昂してヒートアップしたバンダレスを止めたのは、ファミリーのボスであるエルダスである。

「親父……」

「バンダレス、今回はマクガラスの方が上手だったな。これで奴等を引き込むことに成功したんだ」

「ええ、ボス。農園に引き籠られてちゃ手を出すのも大変だからな。裏をかいて引きずり出してやったんだ」

「けっ!」

「それで、次は考えてるのか?」

「もちろんさ。協力者にも手を回してる。奴等が十六番街から出られねぇように、全部の道を厳重に封鎖してる。けど、万が一があるからな。バンダレスに回した兵隊の一部を貸してくれよ」

「なんでてめえ何かに!」

「分かった、バンダレスに任せた兵隊の半分をお前の指揮下に回す」

「親父!?」

「その代わり、確実に仕留めろよ。死体を持ってこい。そうすりゃ今後は俺が居ない時の代理を任せることにする」

「へへっ、それを聞いて俄然やる気が出てきたぜ。任せとけよ、ボス。バンダレスの兵隊を合わせたら二百人だ。協力者を合わせりゃ三百近くになる。それだけの数が見張ってるんだ。鼠一匹たりとも逃がしはしねぇよ」

マクガラスは獰猛な笑みを浮かべる。それはまさに狩人の目であった。

一方窮地を脱したシャーリィ達は、十六番街から脱出するべく行動を開始していた。だが。

「駄目だ、こっちにも検問がある。あいつら本気だぜ」

十六番街のとある路地裏に潜んでいたシャーリィ達の下へ偵察に出ていたルイスが戻る。

「主要な道は全て封鎖されていると見て間違いはありませんね。これでは合流地点まで近付くのも難しい」

シャーリィ達は万が一に備えて定めていた第二の集合場所である十六番街倉庫群を目指すが、あらゆる主要な道を『エルダス・ファミリー』構成員が封鎖しており、行動を大きく制限されていた。

「ああ、手際が良すぎるぜ。ベルさんはクリューゲ以外に頭が切れる奴は居ないって言ってたんだがな」

「数年前の話です。それから変化があってもおかしくない。いや、それを想定していなかった私の落ち度ですね」

「落ち込むのは後回しだ。武器はまだあるか?」

「私はナイフと魔法剣、それと45口径一丁に予備のマガジン二つ。アスカは?」

「……短剣」

「俺も折り畳み式の槍だな。けど、あんまり長くは使えねぇな」

「ならば武器は現地調達を行うしかありませんね」

「敵から奪うんだろ。あいつら全員銃を持ってやがったぞ。『エルダス・ファミリー』は景気が悪い筈なんだけどな」

「『ターラン商会』が関与しているのでしょう。マーサさんからも大量の在庫を流されたって連絡が来ましたから」

「厄介だな、数が多くて銃まである」

「それと、食料や水もどうにかしなければいけません。長期戦になりそうですからね」

「どうするんだ?その辺に落ちてるようなものじゃないぜ。飲み水となると、川から採るわけにもいかねぇしな」

「幸いお金はあります。危険なのは承知の上で買うしかないでしょうね」

「……足音がする。それもたくさん。直ぐに移動する」

アスカが犬耳を動かしながら警告する。

「やれやれ、ゆっくり休む暇もないな。移動するぞ」

「そうしましょう。アスカ、いきますよ」

「……ん」

「眠れる場所があればなぁ」

せめてもの悪足掻きとして全員がフード付きのローブを纏い移動を開始する。極力戦闘を避けるために。彼女達の逃避行はまだ始まったばかりなのである。

その頃、シャーリィ達が集合場所にしていたバーの跡地にレイミが到着していた。最初の襲撃から二日後である。

皆様ごきげんよう、最悪な気分のレイミ=アーキハクトです。

リースさんから許可をいただき直ぐに十六番街へと潜入。ロウから教えてもらった集合場所であるバーに来ましたが、そこは焼け跡になっていました。

「お姉さま……!」

私は直ぐに残骸を調べましたが、幸いなことに見たところ焼死体は見付かりませんでした。

罠を上手く掻い潜ったのでしょうか?

「……ん、これは……」

私は焼け跡に残された地下への扉が開いたまま放置されているのを見付けて、それを調べると不思議な感覚を覚えました。

この感覚には覚えがあります。いや、慣れ親しんだとも言えますね。

「これは……魔力残滓……?」

そう、焼け跡には微かに魔力残滓が。つまり魔法を行使した痕跡が残されていました。魔法文明が発達しているアルカディア帝国や、人種などごちゃ混ぜの北方大陸でもない限り魔法を見ることはない筈。

ましてここはロザリア帝国。人間が魔法の行使に必要不可欠である魔石がほとんど産出されない地域。

魔石などは一部の大貴族や帝室にしか無いようなものです。それなのに、これは。

「……瓦礫を吹き飛ばした?」

明らかに他より更に焼け焦げている一部の瓦礫にも魔力残滓が残されているのを見れば、瓦礫を吹き飛ばすほどの強力な魔法が行使されたことが分かります。

「……」

考えうる可能性は一つだけ。罠にかかったお姉さま達は地下室へ逃げ込み、焼け落ちた瓦礫で塞がれてしまった地下室から魔法を使って脱出した。

荒唐無稽と言われるかもしれませんが、私だけが知る秘密があります。

私は人間の身でありながら魔法が使えます。これは転生特典なので置いておくとして、魔法を行使できるので魔力を体に宿しています。

そして魔力を持つものは他の魔力にも敏感になります。感じ取ることが出来るんです。

で、これは幼い頃から気づいていたことなのですが、『お姉さまもまた魔力を持っている』のです。それも莫大な魔力を。

もしお姉さまが自分の才覚に気付けているのだとしたら……いや、それよりもここに残された魔力残滓を辿ればお姉さまに辿り着く。今の疑問は再会してからゆっくりとお姉さまに聞くことにしましょう。拒むこと無く教えてくれる筈ですから。

レイミは最愛の姉を探す手懸かりを得た。その魔力残滓が魔石を改良した魔法剣のものであり、シャーリィ自身のものではないとは知るよしもなかった。

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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