テラーノベル
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キングスフォード・スミス国際空港は、第一から第三ターミナルまであり、第一ターミナルが国際線、第二、第三が国内線だ。
第一ターミナルに向かった私たちは、とるべき手続きのあと、再び免税店巡りをする。
沢山買い物をしていて大丈夫なのかと心配になる所だけど、九百オーストラリアドルまでは免税が効くそうだ。
九百オーストラリアドルって幾ら? という事になるけれど、ざっくり十万円。
そう、私たちのお買い物は、すでに税金を支払うレベルになっているのである。
カジノに行った翌朝に尊さんと涼さんから聞かされ、私と恵は『勝っちゃうから……!』と声を合わせて悲鳴を上げた。
けれど金銭感覚のネジが吹っ飛んだ二人が、海外旅行に行ってお買い物十万円で済む訳がなく、最初からそのつもりではいたそうだ。
変な気遣いというか、私と恵は免税の枠内で買い物をした事にして、税金を支払うのは男性陣の役目と言われている。
だからコスメやら沢山買ったのも、金額を計算して彼らにレシートを渡している。
おんぶに抱っこで申し訳ないけれど、高額な買い物はカードでしてしまい、あとはカジノで勝ったお金を消費しなければならないので、半分ヤケクソだ。
「うう……、いつもお金使わせてしまってるけど、日本でも税金払ってるけど、今は余計に申し訳ない気がする」
恵はばらまき用のチョコレートをポイポイとカゴに入れ、うめく。
「ホントだよね~。……っていうか、恵は友達多いからいいよね。私、友達少ないから買ってく人が少なくて……」
「……まぁ、本当の意味での友達って言えるか、怪しいけどね。涼さんを彼氏として紹介しても大丈夫なのって、朱里ぐらいしかいない気がする」
「そうなの?」
私の中で恵は〝みんなの人気者〟のイメージが強く、このサラッとした適度な塩対応が人気の秘訣であるように思える。
みんな〝男勝りで格好いい恵〟を好いているけれど、彼女から見るとそうではなさそうだ。
「友達が多いのも、まぁまぁ面倒だよ。休日潰れるし。……最近はみんな大人になったから、声が掛かる頻度は下がったけど、定期的に〝いつメン〟の飲み会みたいなのはあるし、そこで聞かされる愚痴にも飽きてきた」
「……いいな。私も恵と〝いつメン〟の飲み会やりたい」
「そこ、寂しそうに言わない。朱里の事は最優先してるでしょ。つか、春日さんやエミリさんとはお馴染みになってきたし、彼女たちとは〝いつメン〟じゃないの?」
「……そ、そうだね」
私は自分にもちゃんと女子会を開く友達がいると認識し、「ふひひっ」と笑う。
「学生時から社会人になるまで、色んな人たちを見てきたけど、一緒にいて負担にならない、リスペクトできる人って本当に限られてるよ。……嫌な人たちって訳でもないけど、〝いつメン〟でも水面下でマウントとったり、幸せ自慢したり、愚痴を聞いて『可哀想~』って同情しつつも、興味津々なんだよね。誰かの噂話をして喜んだりとか。……そういう人といるのは疲れる。だから飲み会に誘われても、一次会で顔を見せて終わり」
「……ふぅん……」
私は小さく頷きつつ、恵の手を握る。
「そこ、こっそり喜ばない。最初から朱里は特別だって言ってるでしょ? 誕生日の時に彼氏みたいにデートプランを考えて、全力でお祝いするの朱里だけなんだから」
「へへへ」
喜んでイチャイチャしていると、ヌッ……と背後に誰かが立った。
「い~なぁあああぁああぁ……。涼子も入れてえええぇえええぇえぇぇ……」
「悪霊退散!」
涼さんだと分かった瞬間、恵はベチン! と彼の胸板を平手で叩く。
「百合に挟まる男が一番嫌われるって、知らんのか」
尊さんに言われ、涼さんはエアおさげの先端を持って「だって……」とメソメソする。
「涼子、実家太いしお財布の紐緩いし、周りから認められる美人だけど、恵ちゃんの親友枠に入れてくれない?」
胸に手を当てた涼さんは、シパシパと瞬きをして睫毛の長さを見せつけつつ、恵を見つめる。
「…………何言ってるんですか、あんたは」
恵はふかーい溜め息をついたあと、「行こ」と私の腕を組む。
「そんな態度とってると、恵ちゃんの前でセーラー服着るよ!?」
「どういう脅しですか! キモいからやめてください!」
「恵ちゃんと百合がしたい……!」
わっ、と泣き真似をする涼さんを見て、尊さんも呆れ顔だ。
「……お前、どんどんこじらせてってるな……」
「不思議と今は、篠宮さんの事が物凄いまともに見えます」
「おのれ明智ミコヒデ、お前が謀反者か……!」
くわっと振り返った涼さんを見て、尊さんは「マジで余裕ねーな」と突っ込んだ。
臣桜
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コメント
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第833話、読み終わりました〜! 恵の「本当の意味での友達って言えるか怪しい」って言葉、めっちゃ刺さりました…。周りに人がいても、心からリラックスできる相手って限られるんですよね。朱里ちゃんが「特別」って言ってもらえてるの、尊すぎる…。最後の涼さんの乱入(笑)で空気が一気に軽くなるのも好きです。この緩急が臣桜さんらしいなって思いました🥀