テラーノベル
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「わたしも大好きだよ」
自分の顔がみるみる赤く染まっていくのを感じた
目を逸らして、寧々を視界の外に追いやった
息を整えて、口を開く
「…ごめん、諦めるつもりだったんだ。寧々のこと。
ずっと好きで、でも、眩しすぎて
僕が触れてはいけない気がして
僕にとって、光みたいな存在だったから」
心臓が締め付けられるような感覚
僕の震える手を、寧々は優しく包み込んだ
「でも、寧々が許してくれるなら、側にいたい。寧々にとって、心の拠り所でありたい」
「…ありがとう」
寧々は手を強く握った
手の甲に水滴がポツリと落ちた
「忘れたくないなあ」
寧々の声は、微かに震えていた
「類がわたしのために言ってくれた言葉、表情も、してくれたことも、
全部の思い出が、誰との思い出なのか、ちゃんと覚えていたい
類のこと、忘れたくない」
一言言葉を発するたび、寧々の手の力は強くなっていく
「忘れても、また僕が伝えるよ。何回でも。
毎日好きだって言う
その思い出は僕とのものだって伝える
たくさんの新しい思い出を作る」
だから、と
寧々の方を見る
「僕の隣でずっと、笑っていて欲しい」
また、いつもの朝を繰り返す
いつものようにノートを見て、顔を洗って、ご飯を食べて、歯を磨く
ピンポーン
いつもと同じ時間に、チャイムが鳴る
時計の針はは8時を示している
カチリ、カチリという秒針の音に合わせて、玄関の方に足を運ぶ
冬、ドアノブの冷たさを感じながら、扉を開く
そこには、同い年くらいの男性が立っている
身長は180センチほど
トパーズのような綺麗な瞳
紫色の髪に、水色のメッシュが入っている
寒さのせいか、鼻先は少し赤い
彼の姿を見た瞬間、時が止まったように感じた
一目惚れ、というものだろう
この感覚も、いつも通り
何度目かもわからないが、彼に毎日一目惚れをしている
「やぁ、おはよう。寧々」
優しい声色に、心臓が跳ねる
「おはよ」
可愛げもなく、ぶっきらぼうに返す
ふわりとわたしに微笑んで、彼は言った
「好きだよ」
言葉では表せないほど、その一言で心がスッと軽くなった
自然と顔に笑みが広がり、明るく、彼に言った
「わたしも」
3650回目の一目惚れ
完結
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
改めまして、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
おだんごと申します
記憶喪失は、どこかでやりたいなと思ってはいたものの、なかなか手が出ませんでした
一時的な記憶喪失ではなく、毎日記憶がリセットされる、というのも面白いかなと思い、このシリーズを書きました
いかがでしたでしょうか?
また近いうちに新シリーズを書く気でいますので
また暇つぶしにでも見てくださればと思います
では、また次のお話で
コメント
1件
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました 過去一好きなシリーズです