翌日。
「おはよう!すまなーい!」
いつも通りドアを破壊して教室に入るすまない先生。しかし今日はいつもの
『おいぃぃぃぃ!なんでドア壊してんだ!?』
という声が聞こえて来ない。ふと彼の席を見るとそこに彼の姿は無い。
「あれ?銀さんは今日休みかな?」
すまない先生は首を傾げながらも出席簿に印を付ける。ブラックはすまない先生の様子を見て嫌な予感を感じ、自作のノートパソコンを開いて情報収集を始めた。
その頃。
「……」
真っ黒な部屋に据えられた白を基調とした豪奢な天蓋付きベッド。そこで寝かせられているのは“彼”だ。
クスクスクス……
その部屋に一つだけある鉄の扉の外で忍びやかな笑いを漏らした一人の女性。緩くウェーブの掛かった短い緑色の髪、透き通ったアメシストの様な紫色の瞳。今は頬を染め恍惚とした表情で何やらぶつぶつ呟いている。
「……やっと……やっと見つけたわ……私達の真の王に相応しい……ト……」
「“リデル様”!」
突然響いた声に女性は振り向く。そこには青い髪に赤い目で片目を前髪で隠した、一人の青年が立っていた。
「どうしたの?」
「その……その部屋にいらっしゃる方は……?」
その青年は首を傾げる。しかしその目は少し訝しげに細められている。
「あぁ……この方はね私達“コルテージュ”の新しい王となられる方よ」
「新しい……王……!?」
リデル、と呼ばれた女性が妖しく美しい笑みを浮かべた。
「……ダメですね……何も見つかりません……」
ブラックはパソコンを閉じて頭を抱える。
「どうしたの?ブラック」
すまない先生が声を掛けてきた。
「Mr.銀さんが誰かに誘拐されていないか監視カメラの映像を調べていたのですが……」
「収穫ナシだったんだね?」
「はい……」
ブラックが俯くとすまない先生はポンポンと頭を撫でた。
「まだ誘拐されたと決まったわけじゃないし、ブラックが責任を感じる必要はないよ」
「……はい」
そう言ったもののすまない先生も、不穏な空気を拭えない事は否定できなかった。
(……憶測に過ぎない事でみんなを不安にさせちゃいけないからね……)
「……ッ……」
(どこだ……ここは……)
“彼”は意識を取り戻し跳ね起きた。そして自分が置かれている状況を見て困惑した。
(は!?どこだよここ!?てかなんだこのベッド!?ツッコミどころしかねぇじゃん!)
コンコンコン……カチャ
「お目覚めになられたのですね」
「へ???」
「ご安心ください。私どもは決して貴方様には危害を加えませんので」
(なんだこいつ……!ぜってーやべぇやつじゃん……!)
「私はリデル……貴方様の忠実なる僕です」
(なんなんだよこいつ!?!?!?)
“彼”はただただ困惑するしかなかった。
コメント
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風夜マジで語彙力あるよね! 私絶対敵わないや… 銀さん大丈夫かな?! てか王とは?!