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※ぴゃあー…マジで4話になった…長くなってすみません
誠達と別れた暗は、駅の近くのビルの屋上にいた。飯綱は、高所だろうが平然と登ってくるし、銃弾も普通に避ける。そんな飯綱だからこそ、暗はこの廃ビルを選んだ。駅がすぐ近くにあり、周りにはビルが密集している
「まだ、来てないのか…?」
飯綱の足の速さを考えれば、むしろ暗がくるのは遅すぎたくらいである
「っ!」
足音が聞こえ、咄嗟に屈むと、聞き慣れた声がした
「待てーーー!!」
「待つ奴いねーだろー!」
「…は?」
遅い、とは思った。だけど、電車の上でおいかっけこしてるとは夢にも思ってなかった
「やっべ…!」
「追い詰めたぜ…クソガキ!!!!!!」
「っっ暗ーーーーー!!」
「なん?!」
飯綱は、こちらに向かって電車から飛びおりた。すかさず身を乗り出し、とんできた銃弾も避ける。暗は、しっかりと飯綱の手を掴んでいた
「よっしゃ逃げるぞ! 」
そういうと飯綱は、大きく体をふり、勢いよく足を振り上げると、手すりを超えておりたった
「え、あ!あ〜もう!!」
長い付き合いでも、飯綱のこういうところには慣れなかった
「いや〜マジ助かった」
「なんで僕があの場にいると?」
「?俺のスマホGPS入れたんだろ?」
「…」
ケロっとした雰囲気で自分のスマホにGPSが入ってるという飯綱に最早驚くことすら無駄に思えた。入れたのも暗だし、教えたのも暗だ。しかし、自分のスマホにそんなものを入れる部下をよくもまあ信じるなと思うのが正直な感想だった
「で、暗。どれがいいと思う?」
「ああ…その手を隠すなら、こちらの方がいいんじゃないですか?」
2人は、服を選んでいた。遊んでるわけではなく、敵にがっつり背格好を見られた飯綱のカモフラージュ用に服を買っているのだ。ちなみに、経費で落ちる
「よし。じゃあそっちにするわ」
そう言って飯綱はさっさと会計を済まし、さっさと着替えてきた
「ところで、誠は?」
「2人と一緒に。…どうやら、もう1人の方とも合流したそうです」
「そうか…合流…ん?」
「そうですよ。あなた、もう二駅移動してるんです」
飯綱は、二駅移動していた。なるべくはなそうとは思っていたが、まさかそんなに移動していたとは思っていなかった飯綱だった。それよりも
「あいつら二駅分も追いかけるとか…どんな執念だよ」
君はどんな体力してんだよ。口を開けば出てきそうだったが、今は労うことを優先した
「…はい、誠くん。はい。飯綱君とは無事に合流しました。それでですね、飯綱君が二駅分走ったので…はい。マジです。僕は電車使って移動しました。追いつけるわけないでしょう。で、本題ですが…はい。その便に乗ってください…はい。電車内で合流しましょう」
暗が電話している中、飯綱はこの怪我をどうやってアレにバレずに治し切るかを考え続けていた。恐らく、傷口は開かれるだろうし、刺された時より痛いことになるのはお決まりだ
「地獄じゃねーか…」
「?飯綱君?電車、これです」
暗に促されるがまま電車に乗り込み、席に座った。昼にしては遅すぎるし、友達との遊びがえりの時間にしては早かったせいか、人は乗っていなかった
「ああ、すまん。回避したくて考えてた」
「ああ〜…」
ここで詳しく紹介しよう。たかはし明。飯綱と暗の共通の敵で、暗がマフィアとして裏社会にはいった原因たる男だ。今では、その点と便利な点以外感謝も尊敬もしたことはないし、したくもない。飯綱は、怪我をするたびに怪我以上の惨事に見舞われ続け、ぶっ殺してやろうかと思ったのも少なくないが、事実助けられているので踏みとどまっている。そんな明だが、頭は良く、医者としての腕はピカイチだ。人を殺すことに対して一切躊躇はないが、それはマフィア全員に言えることなのでここでは割愛しよう。何より面倒なのが、マッドサイエンティストなのである。しかもドS
「あ“あ”〜でも、絶対怒られるよな…」
「…まあ、九九か漢字の勉強くらいは覚悟しておいた方がいいのでは…?」
「どっちもやだ〜…」
「書けば終わりますよ」
「暗はな?」
「…まあ、僕からも口添えしますし、…」
「暗…!」
なんだかんだ面倒見のいい暗であった
「飯綱くん!」
「おう凛太郎…どうした、その格好」
「いや…周辺でセーラー着てる学校回っとったら変質者扱いされてん」
「…?」
「晴明君、制服好きなんよ…」
「「…」」
今日まで聞いたこともない好きなものに、時間が止まる暗と飯綱
「飯綱くんっっっ!」
「うおっっっ…荊棘、さん??」
「無事で、よかった…」
飯綱を見るや否や、飯綱に抱きつき、顔を胸に埋め泣きじゃくる荊棘。暗がものすごい顔をしていた
「ご、めんなぁ…!痛かったやろに…」
「…荊棘、さん」
名前を呼ばれ、顔をあげると、満面の笑みの飯綱がいた
「ね?大丈夫だったでしょ?」
今は綺麗だが、飯綱の左手には包帯が巻かれている。下に見える服もボロボロである。こんなにボロボロになってまで、助けてくれた。ドラマの世界のような話が目の前にあったのだ。そんな事を考えると、顔に熱が集中していくのが分かった。動悸も、全然おさまらない
「荊棘さん…?そろそろ…」
「え?」
思考に浸っていると、顔を真っ赤にした飯綱がいた
「そろそろ…恥ずかしいです…」
「えあわ?!ご、ごめんなさい…」
2人とも真っ赤である。荊棘は顔を手で覆い隠し、飯綱はブンブンと思い切り頭をふっていた
「(まさか荊棘姉ちゃん…!)」
「(これは…)」
「2人とも真っ赤だよ?大丈夫??」
荊棘の思い気づき、驚く凛太郎。同じく飯綱が今必死に否定している気持ちを理解し、複雑な暗。当然気づいたが、あえて何も考えず、触れないようにしようと努める誠。全く気づいていないのか全く斜め上の反応を見せる晴明。こうして、無事に6人は帰路に着いた
「で、言いたいことはわかりますね?」
「…はい…」
案の定、道満に呼び出しを喰らった飯綱と暗、そして誠
「迷子に、なったこと…」
「飯綱くん?」
「怪我して、…無茶しました。すみません…」
迷子になった自覚はあった飯綱だったが、道満の声色からもう一つだと判断し、素直に謝った
「君が着いていながら… 」
「…すみません」
「暗は、」
「分かってますよ。ですが、事実君は怪我をし、面倒ごとまで作ってきた」
「…」
飯綱がマフィア達と接触したことで、道満たちも必然的に敵対するハメになったのだ
「…はぁ。暗、誠。出ていてください。2人で話します 」
「「…は」」
「飯綱、手ぇ怪我してんだから、握んな」
「あ…」
悔しさからか、飯綱は無意識のうちに手を強く握ってしまっていた。包帯に、血が滲んでしまっている
「こい。巻き直してやるから」
そう言って道満は、救急セットから包帯を取り出した
「…お願いします」
包帯を変えている間、飯綱は無言だった
「…飯綱」
「…はい」
「お前のそういうところはいいところだ。でもな、それはいつかお前自身を狂わせるぞ」
「…」
「教えただろ。この世界じゃ、情けをかけたところで無駄なんだよ」
「…無関係な人間まで巻き込む必要ないだろ」
「お前が手を出さなきゃ、全く巻き込まれずに済んだだろうな」
「…すみません」
「まあいい…どう、だった?」
「…報告書なら、また明日…」
「違う。今日1日過ごして、どうだった」
「どう…しんどかったし、痛かったし、胃がキリキリした」
「大丈夫か…?」
「でも、楽しかった」
「…よかったな」
「でも、なんでそんなことを?」
「別に。気になっただけだ」
「…?」
「ま、今回の失態については…誰がいい?」
「…あと、誰だ…?」
「じゃ、俺は?」
「朱雀…戻ってたのか」
急に聞こえてきた朱雀の声に驚いたが、何より
「…ジャージの、まま?」
「やっべ…」
「…まさか、」
「テメェ…そろそろ駆除してやろうか?」
「はいはいストーップ!確かに、パチンコ行ったけど、自分の給料の範囲内! 」
「毎回そう言って飯綱にたかるじゃねえか…」
「…家計簿買いましょう、朱雀さん」
パチンコに行った朱雀だったが、実は飯綱の事後処理 に今の今まで追われていたのだ。パチンコには、行った。マジで
「え〜そんな塩対応?」
「…まあ飯綱にたかった分はテメェの給料から引いといてやるよ」
「あっちゃん?俺それノーセンキュー」
「知らねえよ。テメェの馬鹿は死んでも治んねえんだから、痛い目みせつづけて身体に覚えさせるしかねえだろ…!」
「くぅ〜ん」
「可愛いと思ってんのか…?」
「…ありがとうございます…」
「…気づいて、」
「…なんとなく、鉄臭いので」
「きったねぇ烏だこと」
「あっちゃん?俺泣くよ???」
「迷惑、かけました」
「飯綱…じゃ、お気持ちちょうだ…」
「学習しろクソ害鳥!!!!!!!!!!!」
「ぐへっっっっっっっ!!!!!!!!!!!」
道満渾身のラリアットは綺麗に朱雀の喉に突き刺さり、朱雀は気絶した。こうして、飯綱の初めてのお使いは幕を閉じた
その後
「わぁ〜貫通してんじゃん…♡♡♡」
「ひっっっ」
「でもなぁ…傷が開いてんだよねぇ…?ねえ、秦中くん?ダメじゃないか…医者である僕に黙ってるなんて…♡♡♡♡♡」
「ち、が…」
「大丈夫…♡♡♡怖くないよ…♡ついでにちょ〜っっといじるだけだから…!♡」
「ちょっと…いじるじゃねーかーーーーー!!!!!!!!」
無事、明にバレた飯綱は、治療を受けることになった