※全く♡3000も行くとは思ってなくて…何かリクエストがあれば答えていきますのでお願いします。
本編➕♡300の話合わせて残り…多くて5話かな…?
「い〜づなく〜ん」
「あーそーぼー」
「「… 」」
朝、穏やかな朝日に包まれ、ゆったりと、しかし暖かかった時間は唐突に終わった
「っっ朝っぱらから騒ぎ立ぐな!!!!!!!!!」
「ぴぃっっ!飯綱君が…」
「なんや、めちゃくちゃ機嫌悪いやんけ。どないしたん」
「さあななんでだと思うわからないだろじゃあな」
ピシャッっっっっっ
窓から顔を出したかと思えば、もはや近所迷惑レベルで怒鳴る飯綱。飯綱は、以前のお使いの際についでに貰ってきた諸々の面倒の罰として、漢字を書き続けていた。もうすぐ30分くらいになるが、飯綱のイライラはピークに達していた。ちなみに、「烏丸蘭丸」がお題である
「え〜せっかくきたのに〜!」
「飯綱君のケチ!あんぽんたん!!!!!」
「…💢💢あいつら…!」
「元気だね〜」
「おい、また違うぞ」
「ぐぅ…なんでこんな面倒な名前を…!」
飯綱がへし折ったえんぴつを片付けつつ、若さを語るほど歳もとっていない朱雀は若さを語っている。道満は、30分やり続けて理解できない飯綱の理解に苦しんでいた。「鳥丸簡丸」。色々惜しいがあっていない
「…気分転換ついでに行ってきたらどうだ?」
「ですが… 」
「飯綱。お前は漢字の存在は知っているんだ。後は覚えるだけだ。大丈夫」
「…」
自分に言い聞かせるように、ゆっくり道満は飯綱を励ました。飯綱とてサボっている訳ではない。もちろん逃げ出すこともあったし、なんならボイコットを起こしたこともあったが、なんだかんだ努力はしている。その努力を知っているからこそ、道満は勉強ができないことに対してとやかく言わないこと、頭ごなしに怒ることはしない
「ほら〜行っといで〜」
朱雀は、飯綱の勉強を口実にサボっていた。もう出なければならないので、じゃあもうついでに一緒に遊びに行ってしまおうと考えていた。もちろんそんなことに道満は気づいているので、飯綱が行ったとしてコップやらの食器が少なくなっていればそういうことだ
「すみません…じゃあ、行ってきます」
「楽しんで〜」
「あ、きた!」
「なんやかんやきはったやな…飯綱くん、なに、その格好」
「…すまん。これしか、なかった」
飯綱は、ハーフパンツに腕を、捲ったジャージ姿で出てきた。
道満も朱雀も、できることなら一日中ジャージで生活したいタイプである。つまり、そんなに服は持っていない。故に、飯綱もあまりこだわりがない。TPOに合わせるなら、スーツはやめた方がいいと思ったが、ジャージしか持ち合わせていなかったのだ。この前経費で買った服は、この時期には暑い。今は、セミも元気な夏…を過ぎた秋である。秋のくせに暑いのだ。故にきていない
「…いや、これと並んであるきとうないわ…」
「…ワンチャン、ちょっと待ってもらえるか」
「「うん 」」
「暗!なんか服ない…そうだ、いねえんだった」
暗は別任務で昨日から帰っていない
「あれ、何してんの」
「朱雀さん…」
「あー…服か…ふく…?」
「はい…」
「何してるんです?」
「げっ」
「道満さん…」
2人して突っ立っていると、道満は音もなく背後に立っていた
「なるほど、服ですか…ふく?」
「「ふえた…」」
デジャブである
「あれ?何してるの?」
「た、たかはし!!」
「やっほー秦中くん!会いたかった♡?」
「出来ることなら会いたくなかったよ…!」
にじり寄ってくる明から距離をとる飯綱
「…服?そんなもん、…おいで」
『(え、わかるの…?)』
「こんなんでいいでしょ」
「「おお〜」」
明が選んだのは、白いシャツであった。いつもは、赤いシャツだが、何気に一枚だけ持っている。特に理由もない。ネクタイはせず、第一ボタンも閉めていない。ズボンもいつもの黒いパンツである。ここまでなら、普通にスーツの人間、だが。飯綱は、白いシャツの上にスカジャンを羽織っていた。朱雀が買ってきたのである。理由は、なんかカッコよさそうに見えそうだから
「ん〜秦中くんスカジャン似合うね〜」
「…どーも」
「わあ!初めてじゃない、君が僕にお礼言ったの」
一刻も早く明から逃げたかった飯綱は、お礼も言わずに速攻帰ることが多かった。しかし、今回ばかりは、明は何もしていない。解体も、診察もされていない。そして、巻き込んだのは自分だ。しっかり言っておこうと思ったので、礼は言った
「じゃあさぁ…今度お礼に…」
「行ってきます!!!!!!!!!!!!!」
「あーいっちゃった」
明が言い終わる前に、勢いよく飯綱は出て行った
「てか、なんでまだいんだよ」
「あっちゃんタンマ!ストップ!!!!!!!!!」
「すまん、待たせた」
「なんや、マシなもん持っとるやないか」
「わー飯綱くん似合ってる!」
「あーはいはい。ありがとな」
「なんや、その反応」
「いや…お前らこそなんなんだ?」
凛太郎は、着物である。今現代わざわざ着物きる人間の方が少ないだろう。晴明は、白いTシャツに「マンドラセーラー」と謎の単語が書かれている
「別に、これが普通やねんけど」
「どこも、変なところないよ?」
色々ツッコミたい、お前のその服には。なんだ、マンドラセーラーて
「あれ、今日は暗?って人は?」
「用事があるんだと。誠は…まあ、遊びに行った」
明の手術という名の人体解剖に
「で、どこ行くんだ? 」
「まだ荊棘姉ちゃんがきてへんくてな…」
「またかよ…」
「すまん!おそうなったわ」
「あ、きた!」
「着物走りづらいねん…」
荊棘は、凛太郎と同じく着物できた
「(なるほど、お前の家族は着物なのか)」
凛太郎と荊棘が着物界隈なら、飯綱はさしづめジャージ界隈だろう
「ほな、食べ歩き旅、スタートや!!!」
「やばい、もう何もはいらん…」
「僕も…」
ぽっこり膨らんだ腹も撫でる凛太郎と晴明
「うちも、もうええかな」
「じゃ、帰るか」
「「待て待て!」」
「あ?」
食べ歩きは、3人とも腹一杯で幸せそうなので、これで終わりじゃないことに驚いている飯綱。ちなみに、飯綱は早々にリタイアし、今は元気である
「飯綱くん…服見よか」
「なんで」
「ジャージで出てきたこと、僕わすれてないから」
「…」
「ジャージ?」
「荊棘姉ちゃんは知らんか。こいつ、最初ジャージで来てん」
出てきた飯綱を思い出し、顔を顰める凛太郎
「…飯綱くん、箱入り息子なんか?」
「え?」
「は?」
「いや…漢字読めへんわ服持っとらんとか…外出たことあったん?」
ある。しかし、関わることがなかった。計算も、飯綱は自分がやると悲惨なことになる事を分かっているからこそ暗任せていた
「…1人で、ってのは前が初めてだったけどな」
「…おうたとき?」
「ああ」
『…』
荊棘まで黙った。マジで箱入りなんて存在するのかと思った3人と、やっぱりもうちょっと勉強した方がいいのかな、と思う飯綱だった
「…なんで、またそないなことに…?」
「いや、逆に俺が1人で出られる訳ないだろう」
「あ〜せやな…」
解せぬ。
「飯綱くんの家は、過保護なん?」
「過保護…?」
「飯綱ーお気持ちちょうだい」
「2日前に上げましたよね…?」
「飯綱、酒切れたんだけど」
「だから俺まだ未成年ですって」
「あっちゃんがいじめてくる〜」
「何したんです」
「このクソ害鳥、俺の財布から金抜きやがたった」
「い〜じゃんちょっとくらい〜あっちゃんのケチ〜!」
「五万はちょっとじゃねえんだよ!!!!」
「過保護…という訳ではないだろう、多分…」
いまいち断言し切れない飯綱だった
「あ、いた」
そこには、晴明そっくりの男が立っていた
「…ドッペルゲンガー?」
「違うよ…僕は晴明。晴明の兄さ 」
「へーお前兄弟いたんだな」
「うん。もう1人いるよ」
「兄弟か…」
そういえば、年末に顔を出しただけである。元気だろうか。まあ、仕送りを見る限り元気そうだった。ナニかは聞かないでほしい
「君が、飯綱くん?」
「?はい」
「そうか…晴達から聞いてる。前はありがとうね」
「はぁ…ん、達?」
「うん。晴からはすっごい運動神経いいって聞いた。凛太郎からは…ああ、救いようのないバカだったけど、とても楽しそうに話してくれたよ」
「救いようのないバカだと?ああ?」
「事実やん」
「うっせーばーか。九九だって3の段まで言えるわ」
「普通全部言えます」
「はぁ?!そもそも、暗…いや、スマホに電卓あんだからそれ使えばすむだろうがよ?!」
「飯綱くんスマホ使えたん?感激やわ〜」
「テメェ…!」
「やるかいな?え?おバカさん」
「ああ?」
「はあ?」
胸ぐらを掴みあい、今にも取っ組み合いが始まりそうである
「まあまあ…2人とも仲良く…さ?」
「…はーい」
「おい、テメェ!」
「引き際は考えんとな?」
「本当に…!お前アレの次に嫌い」
「アレ?」
「口に出すのも悍ましいんだよ…!」
「い、飯綱くんが怯えるアレってなに…?」
「お医者さんとちゃう?ほら、前医者いきとうないいうとったし」
「なるほど!」
明である。知らぬ間に正解に辿り着いていた晴明と荊棘であった
「飯綱くん、家どっち?送って行くけど」
「お前ら兄弟だな」
「ええ!なんで怒ってるのさ!」
「お前、俺のこと子供扱いしすぎなんだよ」
「飯綱くん、1人で帰れるの?」
「あ“?」
(あれ、なんか険悪…?)
「ここまで、だいぶ歩いてきちゃったけど」
「…」
無言でスマホを取り出し、電話をかけた。相手はもちろん
「…あれ、出ないな…そろそろ帰ってると思ったのに」
「暗くん?」
「ああ…おかしいな」
例の如く暗に電話をかけたが、出なかった
「…どうしよう」
「送って行くよ…?」
「…じゃ、もう一回無理だったらお願いします」
プルルッルルルッルッ プッッ
「もしもし、暗?大丈夫か?俺なんだけど…暗?」
『どうしたの〜秦中くん』
「は…」
『もしかして…怪我しちゃったとか?!
いやあ困るなあもう今日はおしまいって決めたのに…♡いや、でも仕方ないよね…!♡ハアハア…♡それで、いつ帰ってくるんだい?!何時間コースにしようか?!大丈夫…ぜっっっったい楽しいから…♡♡♡やばい…僕もうムr…ワクワクしてきちゃう…♡ 』
「…」
飯綱は、今自分がどんな顔をしているのかを知らない。凛太郎いわく、この世に絶望して虚無の世界に入り浸って10年目のような生気のない真っ青な顔だったそうだ
『何分後に帰ってくるの?♡』
「…」
こんなのでも背に腹は変えられない
「…帰り道がわからないから、助けてほしい」
『…あ、それでかけてきたの』
「お前1人で想像してただけだ。けがもない 」
プツッッッッッッッ
プルルッルルルッルッル プツ
『しつこいな〜何?』
「きんなよ。…助けて、ください」
『え〜ムラムラしないからヤダ〜』
「…いや、なんで暗の番号でかけてんのにお前が出んだよ」
『だって〜秦中くん、怪我しても僕にはいってくれないじゃぁん』
「…今度怪我したら一番最初に言うから助けて下さい 」
『いいよ♪』
「あ、少し待っててください」
そういうと、飯綱は荊棘達の方へ体を向けた
「今日はありがとな。楽しかったよ」
「またみんなで一緒に遊ぼう! 」
「ぁ…うん。またな」
『めっずらしもん聞いた〜』
「うるせえ」
『でも、君がまた、なんてセリフいうと思わなかったからね』
「…」
『君も、理解しているから、今まで言わなかったんだろう?また、なんて…秦中くんはコッチの人間なんだから、また会えるとは限らないのに』
「…だな、らしくなかったかもな」
『珍しく素直じゃないか。いつも叫ぶか抜刀するのに』
「…あいつらのせいだ」
『そう?…あ、その次左に曲がってね。左だよ?懐かしいな〜君が階段から落ちた時に折れたのも左手だったなぁ…!あの時は 』
「うるせえ!聞きたくもねえし思い出したくもねえ」
『 そう?』
「…うんざりだ」
『はいはい…って通り過ぎてる!』
「あ」
「今日は楽しかったみたいだね」
「うん!」
「今日は晴明くんも飯綱くんも迷子にならんかったしな〜」
「ひどいよぉ!」
「…荊棘は?」
「へっっ?!あ、ウチも、楽しかったです」
「なるほどね。応援してるよ、荊棘」
「え?!な、なにをですか…//////」
「ふふ。それは大事に持っておきなよ」
「だから、何言うてはんのかわかりませんし…」
「…ねえ、晴。晴からみて、彼…飯綱くんはどう映った?」
「なんで?」
「なんとなく」
「ん〜優しいし、気も使ってくれるし…ザ・兄貴って感じ」
「…そうか。ずっと、仲良くできるといいね」
「うん!」
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