呪霊降濁

3月1日、世間では本来なら卒業式の季節。学生たちが人生の新たな一歩を踏み出すはずの日。しかし、そんな日常は完全に失われていた。テレビやラジオ、インターネットのニュースで流れるのは「呪術師ゲーム」に関する報道ばかりだった。

ニュースキャスター：「本日、世界各地で呪術師ゲームが継続中です。卒業式のシーズンですが、学校の多くは閉鎖され、呪術師たちの戦いが人々の生活に大きな影響を与えています…。政府は対策を検討中ですが、景井義勝によるゲームの支配が続いています。」

街中の風景は、異様なものだった。卒業式の横断幕が掲げられた学校の門前には誰もおらず、街には避難した人々の痕跡だけが残っていた。かつて賑やかだった繁華街も、今は静まり返り、時折、呪術師たちの戦闘の余波が聞こえてくる

透はロンドンで戦闘を終えた後、ニュースを見ながら、次の行動を考えていた。彼の頭の中では、これまでの戦いと、これからの展開が渦巻いていた。景井の目的は明確だが、それに対する対策はまだ不確定だった。

透：「残り10ヶ月。景井がゲームを仕掛けたのは俺たちだが、一般の人々が巻き込まれている。このままじゃ、卒業式どころか未来すら奪われる…。何としても景井を止めるしかない。」

一方、朱音はパリから戻り、今は日本にいる。彼女はかつての友人たちの卒業式のことを思い出しながら、次の戦場への準備を進めていた。しかし、呪術師ゲームがすべてを狂わせた今、彼女の心はただ戦いに集中していた。

朱音：

「もう卒業式なんて遠い過去の出来事みたい。今は生き残ること、そしてこのゲームを終わらせることだけが目標。」

一方、神風は、戦いからの一時的な休息を取りながらも、ニュースに苛立ちを感じていた。呪術師ゲームの進行が、彼の計画を狂わせている。

神風：「ニュースでずっとこのゲームのことばかり…卒業なんて誰も気にしてない。くそっ、こんな世界、誰が作ったんだ。俺たちがこのゲームを終わらせるしかない…。」

ニュースは続く。各国の呪術師たちがどこで戦っているか、何が起こっているかの報道が途絶えることはない。卒業式という日常の象徴が消え去り、今や戦いだけが人々の関心の中心になっていた。