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コメント
2件
うはーーー!!!卍🇩🇪×🇯🇵!!この空気感たまんねぇっすわ。冷静に、じっくりと甘やかして日本をダメにしていくドイツ家……お前は何も考えなくていい、全てを委ねろだなんて日本くんのこと堕とす気満々じゃないですか!!そうやって過保護にかこつけて、日本を自分の元に留めさせて管理するんだろ?とんでもねぇ奴らだ…でも好き。遅効性の毒のような甘やかしに自立を奪われていく恐怖を抱く日本くんが懐柔されてくシーンがもう甘いはずなのに不穏さを感じられてめっちゃ好きでした…なんだか、愛玩動物にされているような感じですね。調教上手そうなドイツ家にぴったりなシーンだと思います。 一日二個も推しカプ小説が見れて大満足でございます。本当にありがとう。またリクエストしたいの思いついたら、リクエストさせてもらいますね。
大富豪・琥珀さまからのリクエスト、ナチ&独×日 です。
皆さんもお気軽にリクエストくださいね。
気がつくと、膝の上に静かな重みがあった。
すっかり傾いた太陽も寝ぼけ眼には眩しく、白い光が縁側に溢れている。
まだ冷め切らない板の熱が肌に触れる。
視線を落とすと、ナチスさんが目を閉じていた。
眠っているのか、ただまぶたを閉じているだけなのか、判別のつかない安らかな顔。
影になった目元の横に光が差し込み、凛とした頬の曲線を際立たせている。
まるで時間が止まってしまったように動かない彼を見て、少しだけ胸が痛んだ。
「……起きていらっしゃるんでしょう?」
囁くように声をかけると、薄くまつ毛が持ち上がった。
午睡の気配もない、いつも通りのガーネットの瞳。
「どうした?」
チェスのような声に、ドイツさんと似てるなぁ、なんて当たり前のことを思った。
そのせいで少し空いた会話をどうすればいいかわからず、いえ…と目を逸らし、ガラスの雪見障子に背をもたげる。
ふっと息を吐き出すと、体が疲労を思い出した。
膝の上の頭を妙に重く感じる。
「本当にそうか?」
ぼんやりと声の主に視線を向けると、ゆるやかに、しかし逃げられない早さで手が伸びてきた。
頬に揺れる指先を黙って受け入れる。
いつも通りの身じろぎを見せない僕に、整った眉の片割れが跳ね上がった。
彼を介して流れ込んでくる夏の熱が、じんわりと肌に染み込んでいく。
それだけで、争う気持ちが少し削がれた。
「また、無理をしたんだろう。」
問いの姿を借りた、確信に満ちた断定。
何も言えずに俯く。
「……すみません。」
やっと吐き出した声が自分でも驚くほどやつれていて、ひどく情けなかった。
「謝るな。君は何も悪くないだろう?」
「いえ……そんな……。」
蜜のように溶けた声が、どろりと鼓膜に入り込む。
「それにしても不思議だな。もう休暇中だろう?何をそんなに悩んでいるんだ。」
「そんなに、君を抗わせたくなるものがあるとでも?」
身を起こしたナチスさんに、両目を覗き込まれる。
苦しいほど近くに感じる紅い光。
「おい。」
ナチスさんがゆるりと視線を上げた。
お盆を持ったドイツさんが立っている。
「…疲れたんだろう?日本。」
面白くなさそうな色を纏うガーネットの横に、彩度の違う宝玉が並ぶ。
レンズの奥の瞳を弓形に細めると、ドイツさんは僕にグラスを握らせた。
興を削がれたように、ナチスさんが僕の膝に寝転がる。
「……すみません。」
「何度も言わせるな。謝る必要はない。」
「…はい。……多分、すぐ動けるようになると思います。」
夢の延長のような空気にふらりとする僕を支えるように、ドイツさんに包み込まれた。
「何言ってるんだ。疲れたなら動くな。」
吐息をたっぷりと含んだ声に、肩が震えた。
「……でも、僕は大人で……」
だから自分で立つことくらい、と続けようとした唇を、そっと人差し指で撫でられた。
膝の重みが消える。
その指が離れたかと思うと、静かに口元で音が鳴った。
「もういい。考えるから、疲弊するんだ。……君はもう、何も考えるな。」
その方が楽だろう、とドイツさんが続ける。
優しくきゅっ、と抱きしめられた。
触れ合った部分が脳を溶かせそうなほど熱い。
指先から力が抜けていく。
落としかけたグラスを、ナチスさんが受け止めてくれた。
「な?…お前が動かなくても、大丈夫だろう?」
そんなドイツさんの淡い声に、理性の輪郭を削られる。
抗わなければ、という気持ちは最早、小さな棘のように疼くだけだった。
「……はい。」
答えると、驚くほどの安心感に胸を満たされた。
生ぬるい風が肌にまとわりつき、血管を甘い痺れが伝う。
うなじにキスを落とされる。
それと競うように、身を起こしたナチスさんの手が頬に添えられた。
こんなのダメだ、と溶けかけの飴のような理性が転がる。
ちゅっ、ちゅっ、という軽やかな音が、徐々に熱と湿気を孕んでいく。
戻れなくなる、と息が詰まる。
でも、降り注ぐ愛の証の合間で息を吐く度、その恐怖さえも曖昧になっていった。
いつしか背中は縁側に触れ、膝の上には汗が伝う。
お前は悪くない、綺麗だ、と囁かれ胸の輪郭が滲む。
もう、何を恐れていたのかも思い出せない。
「……ぼく、このままでいいんですか……?」
「ああ。当たり前だろう?」
「そうだ。君は、全てを委ねればいい。」
山ぎわへ、ゆっくり最後の日が沈む。
どこか遠くで、咎めるように蝉が鳴いた。
(終)