第十話:よかった
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俺が屋上に行ったのは
いじめを受けて、
死のうと思ったから。
屋上に上がり、靴を脱ぎ
フェンスを乗り越える。
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そのすぐ後に
君は来た。
でも、止めるでもなく
ただずっと俺の方を見る。
少し癖がついた、
紫色の髪をなびかせながら
フェンスの奥に立っている。
君は、どうする気なんだろう。
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立ち尽くす君を見た後、
俺は体を傾けて
少し微笑み、建物から足を離す。
俺は少し目を閉じた。
太陽が眩しかった。
次、目を開けたら
君が俺の方に手を伸ばして
飛び降りていた。
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驚きがきっと顔に出ている。
でもそんなことはどうでもいい。
空中で君に追いつかれた。
もう少しで地面だから
助けたくても
間に合わないと思った。
君が上、俺が下だったのに
君が下、俺が上になっていた。
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俺はずっと君に
「 馬鹿野郎!! 」
って叫んでのに
きっと君には届いてないんだろうね。
俺はこの状況に後悔もあって
恐怖もあった。
でも君は何の後悔も恐怖も
無さそうに眉を八の字に曲げて
俺の方を見てる。
意味わかんない。
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地面に頭から着いた。
君の頭からは大量の血。
気味が悪かったけど
出るのは涙だけ。
声も何も出ない。
でも君は俺に向かってこう言った。
「 よかった 」
って。
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そこから数年経った。
俺のいじめは解決されたのに
君は一向に目を覚まさない。
早く起きてさ
また笑ってよ。
俺に
「 よかった 」
って言わせてよ…。
紫くん。
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意外と自信ある✨
コメント
3件
サイコウ!(๑´ロ`๑)~♪❤️
もう天才すぎます😿💗
え、泣けるし好き、、😭✨ なるほどな〜、、(゚ー゚)(。_。)ウンウン