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この文才の5%献上してくれないかなーと思っていた人生でした。文章綺麗すぎてぶっ飛びました(語彙力何しとんの)数少ない百合モノの中に序盤でわかる名作をぶん投げてくれてありがとうございます。フォロー失礼。
フォローありがとうございます! 切ない気持ちがダイレクトに伝わってきて、読んでいるこちらまで切なくなりました…すきです…… 矢印が折れないまま、という表現とてもすきです…! フォロバ失礼します🙇♀️
好きな人の1番になりたい。好きな人の特別になりたい。そう思ってしまうのは恋する人間みんな同じだと思う。かく言う私だって彼女にそんな感情を抱いてる。
「…ねぇ、ちなつは、さ、好きな人とかいるの、?」
帰り際、私は彼女を呼びつけてずっと気になってることを聞いた。もちろん不自然にならないように日直だから日誌を書かなきゃいけないを建前にして。彼女、綴喜ちなつ は幼なじみだ。だからいきなり呼びつけても彼女は何も疑わず他の用事よりも私を優先してくれる。いままでも、これからも、ずっとそうだと思っていた。なのに気づけば彼女の優しい笑顔をみるのも、隣を歩くのも、いままでは全部私だけのものだったのに、いつしかそれは私じゃなくなっていた。
だから不安だった。別にちなつが私のことを好きだと言ったわけでも、両思いだと確信があるわけじゃない。けど、でも、このモヤは消えることはなく心に居座り続けていた。
「え?好きな人、?…急だね〜」
「…えっ、と、ごめん。そんな人いるのかな、って気になっただけだから」
「あーいや、びっくりしただけだよ。」
やっぱり急すぎたかな。なるべく自然になるように前の会話もそれっぽくしたんだけど。まぁ、私もちなつもこんな話する仲じゃなかったし、この反応が正解なのかも。
「そっか〜好きな人か…。考えたこと、なかったかも」
「え〜なにそれ。人をすきになったことないってわけ、?」
「いや、そうじゃないんだけど、きいてくれる?」
「…もちろんじゃん、!きくよ。」
「、わかった。えっ、と、引かないでほしんだけど…」
自分から聞いといてだけど、なんとなく、なんとなくその続きをききたくなかった。たぶん、私が不安に思ってること現実になりそうだったから。この思いが杞憂になればいいのになぁとか。この時の勘はよくあたるけど、ちなつの話を聞きたくて。先程まであわせていた目を今は逸らしたくて、途中から文字がとだえてる日誌へと目を落とした。ちなつの瞳を見たらなんか、泣き出しそうだったから。
「なんていうか、私、好きってどこからかわかんないんだよね。好きって感情がなんか、こわいっていうか、」
ほんとうはね。ずっと気づいてたんだよ。君がとある先輩が好きで、好意を寄せてたこと。あまり顔にださないからみんな気づいてないけど私には分かっちゃうんだもん。たまに二人でいるのを見かけると、どうしてもわかっちゃうんだよ。だって、
「でも、どうしても、その人と話してる人を見ると嫉妬とか、感情我慢できない、んだ。」
その感情もその人のことを見る時の目線も、全部、ぜーんぶ、私が君に向けてるのと同じなんだもん。
「私、好きだと思っていいんか、なぁ…。」
「…なにそれ。すきになるのに、だめもないでしょ。」
「、、んはっ。そうだわ。うん。ありがとう。」「っ…なにが?感謝されるようなことしてないけど〜、?」
嗚呼、最初から勝ち目、なかったのかも。今の時代性別なんて関係ないことも増えてきたけどやっぱり異性が恋愛することが人によっては当たり前で、正しくて。幼なじみって特権に縋った私にはそのままの関係が限界で。もし、性別がちがかったらその恋愛対象は、私になってるかな、
「まぁでも。夏樹に相談してよかったよ。最初の話と全くズレたけど!」
「はは、たしかに。」
好きな人の特別になるなんてもうそんな願いなんて叶いはしない。でも、どう足掻いたって君への矢印は折れないまま大きくなっていく。最終チャイムだけが大きくきこえて、そのまま、この感情もなにもかも消してくれないかと願った。