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あの豪雨から約1週間が経った。
町は日に日に復興を始め、土砂の取り除きなどで忙しいところが多かった。
私達も町の復興を手伝っていた。
東京に実家を構えている颯馬さんとは、毎日たわいもない会話だが、連絡のやり取りをしている。
あの雨空の小屋の下で出会った人とこんなにも連絡をするとは正直思ってなかった。
すると、颯馬さんから電話がかかってきた
私「もしもし」
颯馬「もしもし。町の様子はどう?」
私「毎日土砂を取り除いたり、崩壊した家をかたしたり、大変だよー」
颯馬「そうか。そっちで手伝いたいが、あいにく予定があってここ2年近くは東京に基本いるんだ。でも、連休とかにはそっちの宮崎に行くから」
私「東京から宮崎に?!何回も?お金は?」
颯馬「お金は貯金があるし、2年経てば本格的に宮崎に住むつもりだから大丈夫。」
私「東京か〜。私も行ってみたいなー。こんなところ、何も無いし」
颯馬「自然豊かでいいと思うけどね〜。じゃあ、仕事だからまた!がんばって!」
私「はーい。またねー」
どうやら東京で頑張っているらしい。
2018年11月29日の今日、あれ以降大きな雨はなく、晴天が続く日々だった。
颯馬さんから借りた家に帰り、一休みがてら眠りについた。
『2019年12月1日に、鹿児島県十島村で震度5強を観測。宮崎県でも震度3を観測した地点があるようです。この地震による津波の心配はありません。今後の強い揺れに警戒してください。』
私は目が覚めた。また、こんな感じの夢…予知夢?正夢?そう考えたが、前のこともあり少し怖かった。
12月1日 11:45
高校が再開し、授業を受けていた。
私「おもしろくないなー。何やってるか理解できないー。」
スマホ《宮崎県で震度4を観測しました。》
するといっせいに緊急地震速報が鳴った。
先生「みんな机の下に隠れて」
数秒間揺れた後に私たちは机から顔を出した。
まさ、、か。
スマホでニュースを確認した。
「ただ今、トカラ列島近海で最大震度6強を観測しました。震源地はトカラ列島近海。鹿児島県鹿児島市で震度5弱、宮崎県宮崎市で震度4をそれぞれ観測しました。この地震による津波の心配はありません。」
夢の通りっていう訳ではなかったが、十島村、そして同日に地震があった。
これを機に、私は、今後そういった夢を見た時には、必ずメモを取るようにした。なにか役に立つわけでも、防げるわけでもない。ただ、興味本位だ。
今の地震で学校は念の為4時間授業になり、13:30には下校となった。
正味早く終わってラッキーって感じだったが、復興中の町にはとんだ悲劇だった。
幸いにも特に被害もなく、負傷者もそこまで居なかった。
颯馬さんから一通のメールが届いていた。
颯馬「地震は大丈夫だったか?」
私「平気。」
颯馬「よかった。12月24.25はそっちに帰るつもりだから、良ければ過ごさない?」
急な誘いに戸惑いつつ、颯馬さんと居た時間は楽しかったし、連絡を取るにつれて仲良くなって遊びたくなったから了承した。
クリスマスの日に戻ってくるなんて、ワクワクして夜も眠れない。
そんな気持ちを抱きながら、ベッドに飛びこんだ。大きく息を吸って、吐いて眠りについた。
時が経ち12月24日。
今日は颯馬さんがこっちに来る日。あれから特に何も無く、町も無事に復興して行った。所々まだ被害はあるが、大体は直った。
颯馬さんに、駅まで来てくれる?っと言われたので、駅前でゆっくり待っていた。久しぶりに会うので、何故か緊張した。
待つこと数分経ったあと、後ろから名前を呼ぶ声が聞こえた。
颯馬「咲希さーん 」
私「颯馬さん。こんにちは」
いざ対面すると互いにすこし照れくささを感じていた。
颯馬「さっそく、行こうか」
私「はい」
私達は買い物をしに行った。
県内でも最大規模のショッピングモールに出かけ、色々見て回った。
あったのは昼だったが、気づけば夜になっていた。
楽しい時間が故に過ぎるのが早く、お腹がすいた。
颯馬「なんか、食べますか」
私「あー。じゃああれ食べましょ」
私たちはラーメンを食べることにした。寒い冬にはちょうど良く、直ぐに食べきった。
食べていると颯馬さんがあの日のことを話し始めた
颯馬「俺たちが出会ったのは、あの確か小屋だったよな。」
私「うん」
颯馬「結局あの復興の後、あの小屋は今もあるの?」
私「あー。あそこは、立入禁止になってて、今入れないから分からない。取り壊されるかもしれない 」
颯馬「そうか〜。記念すべき場所?なのにな笑」
私「記念はしたくないかな笑でも今となっては、大変だけど、こう出会えたわけだし、私的には良かったかな。」
颯馬「そうだな。」
私「あ、そうそう。あの後家を新しく買って、もうそろそろであの颯馬さんが貸してくれた家を出るよ」
颯馬「新しく見つかってよかった。」
私「まあまだ、借りた家に住むけどね。今日泊まりだっけ?」
颯馬「お邪魔しようかな」
私「全然大丈夫だよ。お母さんにはもう話してある」
たわいもない会話をあって話せばより楽しかった。気づけば閉店時間が近づき、私たちは家に向かった。
私「あ、あれ。イルミネーションだ。」
颯馬「お。綺麗だな。確かにもうそんな時期か、あれから早かったな。」
私「綺麗〜。ずっと眺めてたい」
颯馬「そうだね。」
……
少しの沈黙の後、颯馬さんがゆっくりと口を開いた
颯馬「ねぇ。咲希さん。」
私「ん?」
颯馬「ここに帰ってきたのには理由があって」
私「なになに〜?」
颯馬「もう俺たち出会って、あれから連絡とってきたよね。」
私「うん」
颯馬「んで気づけば楽しくなって、会いたくなって。」
私「それってつまり、」
颯馬「俺、実は、」