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65 ◇退場~
「冬馬くん、こんなときに何も意地悪発動しなくてもいいんじゃない? 」
「面白ぉ~い。
いつもラブラブなのにどうしちゃったの?
面白いけど」
彩乃はどこまでも無邪気だった。
3人があれこれあれこれ、ごそごそ、ごちゃごちゃしている内に
会話の途切れた気まずさを払拭するように六田英が何気に
三浦たちのいる席のほうに振り返り視線を送った。
すでに亜矢子の出現を見ていた真樹夫は、
あちゃぁ~としか反応のしようがなかった。
え~と、この先の展開は考えるだけでもやばい気がした。
やばいと考えたのは自分だけじゃないはず、亜矢子の逃げ出そう
としている姿を見てそう確信した。
亜矢子は元夫の英の視線を感じて、観念した。
英のほうへ歩いて行き、ちゃんと再会の挨拶をし大人の対応をした。
「やぁ、元気そうだね」
「えぇ、あなたも。
真樹夫大きくなったでしょ? 」
「あぁ、すっかり大人になって驚いてるよ。
それと君までここに来てくれて。
まさか来てもらえるなんて思ってなかったからね」
「はは……まぁ、その……なんていうか」ゴニョゴニョ
結局母は『少し様子見に来ただけなので私は先に失礼します』と
告げて、そそくさと俺たちをその場に残したまま鮮やかに?
退場した。
それを義父さんが彩乃お勧めのグラタンを頬張りながら
恨めしげに見送ってた。
次に退場したのは、会話が進まなくなった俺と実父親だった。
俺は義父さんたちの席に付くことも憚られ、実父親と一緒に店を
出て、店の前で別れた。
実父親は、また俺と会う気満々で帰って行ったのだが……
多分もう会うことはないだろう、そんな予感がした。