何時間経っただろう。
莉音は知らないうちに眠っていたらしい。
窓の外はもう暗い。
一階に降りてみると、まだ礼央の姿はなかった。
今夜、別荘に帰ってくるかどうかもわからない。
莉音はスマホを出した。
LINEを開く。
誰かに連絡しちゃおうか。
かつての、セフレが数人。
口の堅い子を
選べばいい
あと、スタジオでこっそり僕のポケットに電話番号をすべり込ませてきた某人気アイドルグループの女の子。
それから色っぽいベテラン歌手の◯◯さん。
…温めてくれるかな。
ダメだな
ベッドの中で身体は熱くなっても
心まで温めてくれない
僕は
また
捨てられるんだ
綺麗な顔なんて
何の役にもたたないなあ
欲しいものは
どんなに手を伸ばしても
手に入らない
入らない
ママは1度も愛してくれなかったし
パパににはあのままいたら犯されていただろう
礼央
礼央
カッコよくて
ミュージカルオタで
…純粋で
…真っ直ぐで
純粋でクールな悪魔
…初めて一目惚れした相手
あの純粋さに惚れたんだ
でも、もうダメだ
何考えているか、わからないし
SEXまでもちこんだけど
好きで僕を抱いてるんじゃないし
彼自身の夢を叶えたら
僕の存在はただのアイドルコンビの相方
礼央は舞台
僕は1人
まあいい、1人には慣れてるし。
最初に戻るだけ。
冷蔵庫を開けてジュースを飲もうとしたら、
バン!とドアが開いた。
「遅くなってごめん、ただいま」
「礼央?あの、監督と…」
「会ってきたよ。オファー喜んで受けてきた」
「そう。…忙しくなるね」
だからもう、僕は無視していいよ。
「うん、おまえもな」
「僕?」
「条件出したんだ、莉音と一緒に舞台をやりたいと」
何言っちゃってんの?
そんなバカな話が通るわけ…
「了解してくれたよ、新作ミュージカル、まだ執筆前だったし」
そんなバカな。
軽い、軽すぎる。
どう考えてもおかしい。
「実は制作側も監督も最初から俺たち2人を出したかったみたいなんだ。派手に新しい劇場のオープンニングを飾りたいからから。でも俺たち秒刻みに動いてるから無理だろうって。実際、事務所の社長にも2人一緒はって言われたって」
「あの、よくそれで了解が…」
「マネージャーのおかげでね」
「相馬さんの?」
そんな力があるように全然見えないけど。
「この別荘の持ち主の相馬さんの友達って、超人気作家の柳川未来弥さんだったんだよ!」
ええっ!?
「その未来弥さんが、相馬さんが電話で頼んだら原作のミュージカル化を許可してくれて」
えーっ!
そんな大物作家がヒラ社員の相馬さんの相手だったとは!(失礼な)
しかもかなり惚れられてるじゃないか!
「…だから、ずっと一緒にいれるぞ」
「勝手に決めるなよ、僕はミュージカルに出るなんて考えた事も」
「教えてやるよ、手取り足取り。まあ時間もあるし、真白田監督が1から鍛えてくれる。ね、出るだろ?一緒にやろう」
…ったく、まだド新人なのに滅茶苦茶言って、もし相手に断られたらどうしたんだよ。
そうなったら泣くのはおまえだったんだぞ、礼央。
どうしてそんなに真っ直ぐなんだよ。
「…莉音と離れたくなくて」
「え…」
「1人は嫌いなんだろ」
な、何を言うんだよ!
「俺は舞台が1番だ。2番は…ない」
ちょっと期待させ
また地獄に突き落とす、やはり悪魔だ。
「…莉緒も俺の1番だ。…2番じゃない」
「何て?」
「1番だ」
よく照れもせず言えるね。
僕は赤面していくのがわかる。
これは夢?
「1番だから、色々知りたくなるってわかったんだ」
「はい?」
「…あれ使ったらどうなるかなって」
はあー?
何言ってんの、こいつ。
ここで言う?
「ま、待て、礼央、落ち着け。その前に」
「好きだ」
「あ…」
「莉音が好きだ」
欲しかった言葉と
優しいキスが降ってくる。
…やばい。
断れなくなった。
用意されていたオイルをたっぷり塗り込まれた。
「…こっちにも塗った方がいいかな」
莉音はコクリと頷く。
力を抜かないと。
初めてなんだ、使うのは。
怖いよ、正直。
「うぎゃっ!」
いきなり突っ込まれ変な声が出る。
「バカ!そっとゆっくり入れろ」
「ごめん、やり直す」
「抜かないで、やり直されたらまた痛い。ゆっくりゆっくり進めてみて」
冷たくて堅い。
やっぱり機械は気持ち悪い。
「何か気持ち悪い…」
「苦しかったらやめようか」
「…もう少し耐えてみる」
今夜は特別。
「これ、押していい?」
「これ?」
同時に振動が体内で起こる。
「うわっ、ひっ」
「それって、感じてる声?」
だから冷静に言うなあ!
「ならもう少し」
振動がまた激しくなる。
絶え間なくえぐられている感じ。
「わああ!ダメだっ、抜け!」
礼央が機械に手を触れ、
抜いてくれるとホッとしたら
なんと
ぐいっと
奥に突っ込みやがった!
うわあー!
やめろー!
「すごい、全部入った」
抜けー
抜けー
「心配しないで。コードがつながってて、スイッチは俺が持ってるから」
そうじゃないー!
ダメだ言葉が通じない!
やっぱり断るべきだったあ!
続く
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