テラーノベル
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FORSAKENの廃墟街。
崩れかけたビルが立ち並び、割れた街灯が薄暗い路地を照らしている。
サバイバーたちは息を潜めながら、最後の発電機へ群がっていた。
「あと一台だ!」
シェドレツキーは緑色の光を放つリンクソードを握り、周囲へ鋭い視線を走らせる。
「急いでくれ! 修理が終わればゲーム時間が短縮できる!」
その背後ではヴェロニカが工具を振り回しながら配線を繋いでいた。
「ねぇシェドレツキー。(o_o)」
テレビ画面の顔が不安そうに揺れる。
「なんか空気重くない? 発電機よりうるさい重低音が聞こえるんだけど……」
シェドレツキーは平静を装って笑った。
「大丈夫。」
「どんなキラーが来ても、俺が時間を稼ぐ。」
「みんなは修理が終わったら高台へ走れ。」
その笑顔は頼もしかった。
けれど、それは無理やり作った笑顔だった。
――次の瞬間。
ゴォォォォォォッ!!
街全体を黒緑色の炎が飲み込んだ。
建物の壁が腐食し、アスファルトがドロドロと溶け始める。
「ひぇっ!?(>_<)」
ヴェロニカが悲鳴を上げた。
「炎なのに熱いだけじゃない! 地面まで腐ってる!!」
シェドレツキーの表情から笑顔が消える。
「……この気配。」
「まさか……!」
ズシン。
ズシン。
ゆっくりと響く足音。
黒緑の炎を押し退けるように、一人の影が姿を現した。
頭には緑色の『X』が刻まれたドミノクラウン。
背中を覆う赤いケープ。
半透明の緑色の身体。
その奥で浮かび上がる黒い肋骨。
そして右手には、毒剣ヴェノムシャンク。
封印の鎖をまだ体に巻きつけていた。
シェドレツキーの喉が震えた。
「……1x。」
「1x1x1x1……。」
赤い瞳がゆっくり細められる。
「久しぶりだな。」
低く響く声。
「バカシェドレツキー。」
ヴェロニカは二人を交互に見比べた。
「えっ。」
「誰この人。」
「なんかシェドレツキーのことしか見てないんだけど。」
数秒考え込む。
そして勢いよく手を叩いた。
「もしかして神話時代の元カレ!?(^^)」
「違う!!」
シェドレツキーは全力で叫んだ。
「そんなこと言ってる場合じゃない!」
「全員逃げろ!!」
仲間たちを後ろへ押しやる。
リンクソードを構える。
「1x……どうしてここにいる。」
「封印は……!」
1xは鼻で笑った。
「スペクターだ。」
#デジタルイラスト
汚染
39
あめ猫@サボり魔
8,090
ありきたりな雑炊
50
「あの赤い帽子野郎が時間の黎明から引っ張り出した。」
『君の愛憎は最高のご馳走だ』
「あいつはそう笑ってた。」
ヴェノムシャンクを肩へ担ぐ。
「なぁ。」
「俺を置き去りにして。」
「お前は今度はヒーローごっこか?」
黒緑色の炎が爆発する。
「お前が笑うたび。」
「お前が仲間を守るたび。」
「俺の胸は裂けそうなくらい痛かった。」
「……分かるか?」
「1x。」
シェドレツキーが一歩踏み出す。
「俺は――」
ドォン!!
最後まで言わせなかった。
ヴェノムシャンクが振り下ろされる。
毒の衝撃波。
シェドレツキーはリンクソードで受け止めたものの、そのまま数十メートル吹き飛ばされた。
壁へ激突する。
「ぐっ……!」
「ハハハ!」
1xは笑った。
「弱くなったな。」
「神様だった頃のお前はどこへ行った?」
一瞬で距離を詰める。
ヴェノムシャンクの切っ先が、シェドレツキーの胸へ当てられた。
「逃げるなよ。」
「また俺を置いて逃げる気か?」
シェドレツキーは首を横へ振る。
「逃げない。」
「もう逃げない。」
ゆっくりと1xを見つめる。
「俺は。」
「二度と、お前を捨てない。」
「だから。」
「あいつらだけは傷つけないでくれ。」
その言葉を聞いた瞬間だった。
1xの瞳が揺れた。
ほんの一瞬だけ。
何百年も待ち続けた言葉。
『二度と捨てない』
それを、ようやく聞けた。
胸の核が痛いほど脈打つ。
……だが。
「ふん。」
1xはそっぽを向いた。
ヴェノムシャンクを肩へ戻す。
「勘違いするな。」
「そんな優しい言葉で喜ぶほど安くない。」
「お前を殺さないのは。」
「今のお前を殺してもつまらないからだ。」
赤い瞳だけが振り返る。
「その偽善者の仮面。」
「俺が全部剥がしてやる。」
「お前が泣いて。」
「苦しんで。」
「俺だけを見るようになるまで。」
「何度でも追いかけてやる。」
シェドレツキーは苦しそうに笑った。
「相変わらずだな……。」
「ツンデレ。」
「誰がだ!!」
1xが即座に怒鳴る。
黒緑色の炎がボンッと膨らんだ。
「……あと。」
「一つだけ。」
赤い瞳がヴェロニカへ向く。
ヴェロニカはテレビ画面に「(^^;)」を表示した。
「さっき。」
「元カレとか言ったな。」
「……はい?」
「次また言ったら。」
「毒沼へ頭から埋める。」
「ひぇぇぇぇ!? Σ( ̄□ ̄;)」
ヴェロニカはデュセッカーの後ろへ飛び込んだ。
「ジョーク! ジョークだから!!」
「シェドレツキー助けて!!」
「俺に言われても!」
シェドレツキーが慌てる。
その様子を見ていた1xは、小さく鼻で笑った。
「……バカ。」
誰にも聞こえないくらい小さな声だった。
赤いケープが翻る。
黒緑色の炎が渦を巻き、彼の姿は闇へ溶けていく。
静寂だけが残った。
シェドレツキーはその場へ座り込み、大きく息を吐く。
胸はまだ苦しい。
恐怖もある。
罪悪感も消えない。
それでも――
(あいつは……。)
(俺を殺せなかった。)
(まだ、俺との約束を心のどこかで信じてる。)
その事実だけが、冷え切った胸を少しだけ温めていた。
一方その頃。
少し離れた瓦礫の陰では、ヴェロニカが猛烈な勢いでメモを打ち込んでいた。
《調査報告》
* シェドレツキーと緑のキラーは絶対に昔からの知り合い。
* 「元カレ」で両方とも全力否定。でも否定の仕方が怪しい。
* 緑のキラー、シェドレツキー以外ほぼ見てない。
* シェドレツキーも緑のキラー相手だけ異常に感情が乱れる。
* 結論:過去にとんでもなくドロドロした何かがあった。確定。 φ(・・)
そのメモを、デュセッカーだけが横から見て、小さく額を押さえた。
「……ある意味、全部合っているのが困る。」
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