小説本文(荷物配達トラブル編)
ギルドから託された木箱を抱えて、南門へ向かう二人。
中身はキャベツ。どう見てもただの八百屋仕事である。
「ふうはや、慎重に運べよ? これは勇者の使命だ!」
「お前が言うな。さっきから片手で振り回してるの誰だ」
『wwwww』
『勇者、キャベツブンブン』
『そのうち割れるぞ』
そんなやり取りをしていると――藪の中から黒い影が飛び出した。
牙を剥いた狼型モンスター。
「うおっ!? 敵か!?」
「やっと冒険っぽくなったな」
ふうはやが剣を構え、りもこんは……キャベツ箱を盾にした。
「くらえ! キャベツシールド!!」
ドンッ、と狼が突進。キャベツの箱が盛大に吹っ飛んだ。
「キャベツぅぅぅ!!」
『wwwww』
『キャベツ散ったwww』
『依頼失敗www』
だが、飛び散ったキャベツに狼たちが群がる。
バリバリ、シャクシャク……。
「……食ってる?」
「キャベツ大好きかよ」
『草』
『肉食じゃないのかw』
『ベジタリアンウルフ』
満足げにキャベツを食い尽くした狼たちは、満足そうに尻尾を振りながら森へ帰っていった。
「……助かった?」
「キャベツ犠牲にして助かるとか、どんな冒険だよ」
『依頼クリアならず』
『勇者(キャベツ配信者)』
『ギルドで怒られる未来が見える』
小説本文(依頼失敗編)
南門に着いた二人は、キャベツの残骸しか入っていない木箱を抱えてギルドへ戻った。
「お、お帰りなさい。えっと……荷物は?」
受付嬢がにこやかに尋ねる。
「……食べられました(´・_・`)」
「……はい?」
『wwwww』
『報告の仕方w』
『キャベツ、モンスターに完食されるの巻』
ふうはやが額を押さえ、経緯を説明する。
「道中で狼に襲われて……キャベツを全部……」
受付嬢の笑顔がスッと消える。
「依頼失敗ですね」
ギルド中がどっと笑いに包まれた。
「勇者りもこん、初依頼にしてキャベツ全滅か!」
「記録更新だな」
「次は大根でも守ってみるか?」
『晒し上げwwww』
『勇者(笑)の勇姿ここにあり』
『これもう野菜クラッシャー』
りもこんは机に拳を叩きつけ、叫んだ。
「くそぉ! 俺は勇者だぞ! キャベツなんかに負けてられるか!」
「負けたのはキャベツなんだよなぁ……」と、ふうはやが冷静に突っ込む。
『草』
『勇者vsキャベツ(敗北)』
『次回作にご期待ください』
こうして二人のギルド初挑戦は、最悪のデビュー戦となったのであった。
コメント
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キャベツがぁ!ww 間違ってもそれはダメでしょww