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小説本文(ギルド仲間に絡まれる編)
依頼失敗で肩を落とす二人。
そこへ、奥のテーブルで酒をあおっていた大柄な戦士が立ち上がった。
「おいおい、聞いたか? 勇者様がキャベツも守れなかったってよ!」
その一声でギルド内に再び笑いが広がる。
『煽りきたw』
『ギルドあるあるイベント』
『ここからバトルか?』
りもこんは机を叩き、立ち上がった。
「誰だ!? 俺を笑ったやつは!( `^´ )」
「俺だよ、カイザーだ。ギルドじゃ知らねぇやつはいねぇ」
筋肉で鎧を着ているような男が、腕を組んでにやりと笑う。
「キャベツも守れねぇ勇者なんざ、ただの見世物だな!」
「見世物……? いや、それ正解なんだけど」
ふうはやが小声で突っ込む。
『配信メタwww』
『視聴者大正解』
『勇者=見世物草』
りもこんは拳を握りしめた。
「よし、勝負だカイザー! 勇者りもこんの力を見せてやる( *¯ ꒳¯*)!」
「……勝負って何で?」
「キャベツ早食い勝負だ✨!!」
『???』
『なんでそうなるwww』
『戦えよwww』
ギルド中が大爆笑に包まれる中、即席の「キャベツ早食い対決」が始まろうとしていた――。
小説本文(キャベツ早食い対決・改)
テーブルに山盛りのキャベツが積まれ、ギルド中の視線が集まる。
カイザーが腕まくりし、豪快にかぶりついた。モリモリと凄まじい勢いでキャベツが減っていく。
「は、はえぇ😱……!」
「勇者、開始数秒で負けそうだぞ」
『初手敗北w』
『キャベツクラッシャーが今度はキャベツに負けるw』
一方のりもこんはというと、口いっぱいにキャベツを詰めすぎて――。
「もがっ……!? あ、あごが疲れる(涙目)……!」
「お前、飲み込み下手すぎだろ」
『無様wwwww』
『勇者、キャベツにKO負け』
『実況:噛み負けです』
ギルド内の勝敗予想は圧倒的にカイザー有利。
りもこんも顔を真っ赤にして涙目になりながら必死に噛んでいた、その時――。
――ゴフッ!
カイザーが急に咳き込み、キャベツを喉に詰まらせたのだ。
その隙に、りもこんの口の中のキャベツがスルリと奇跡的に飲み込まれる。
「……えっ、今の丸呑み!?」
「胃袋がショートカットした!?」
『運+15の奇跡きたwwww』
『勇者、キャベツに愛されすぎw』
最後の一塊を一気に押し込み、りもこんは両手を突き上げた。
「勝ったぁぁぁ!! 勇者りもこん、完全勝利!!!」
ギルドが大歓声と爆笑に包まれる。
カイザーはテーブルに突っ伏し、呟いた。
「……信じられねぇ……キャベツで負けた……」
『キャベツ王者www』
『胃袋にだけ神が宿ってる』
『戦闘スキルゼロ、食スキルMAX』
受付嬢は呆れ顔で依頼票を差し出す。
「……とにかく。スライム討伐、行ってきてください」
「よし! 今度は胃じゃなく剣で勝ってやる!」
こうして、りもこんとふうはやはついに本格的な冒険(今度こそ戦闘)へと向かうのだった。
コメント
6件
りもこんさんの胃袋すげー!!✨✨ キャベツ王子ww