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それから透子に会えなくなって早二ヶ月程過ぎた。
実際透子に会えない二ヶ月はすごく長くて。
透子を好きになってから、こんなに会わないことはなかったから。
透子を好きだと自覚してからは、どんな一瞬でも会いたくて、会える機会探したりしてたのに。
今は目の前のやらなきゃいけないことにも追われて、そんな時間もなくて。
不思議なモノで、そんな時程、偶然どこかでバッタリ会えたりしたら、さり気なく声かけることくらい出来たかもしれないのに。
運命は皮肉なモノで、会わないと決めたその日から、とことん会わずに今まで時間が過ぎた。
たまに隣の部屋から物音が聞こえた時は、思わず会いに行きたくなったりもしたけど。
だけど、前とは違う隣の部屋というだけでも、オレは幸せなんだとも実感する。
透子は?
透子はオレと会えない時間、ちゃんとオレのこと考えてくれたりしたのだろうか。
オレと離れて寂しいとか思ってくれたりしたのだろうか。
なんて、この会えない時間がきっかけでオレに興味がなくなったって言われても仕方ないけど。
でももし、透子がオレに興味がなくなったとしても、またオレは頑張って振り向かせるだけ。
オレには透子しかいないから。
例え透子がオレを好きじゃなくても、ずっとオレだけは好きだから。
結局透子と離れていた二ヶ月は、やらなきゃいけないことに集中して進めることは出来たけど、でもその分透子に会えない寂しさも虚しさも大きくなって。
いざそんな透子に会いに行くと決めた今も、こんなにも落ち着かなくて。
久しぶりにオレが会いに行っても、無反応だったらどうしようとか、逆にオレの気持ちがまた溢れ出たらどうしようとか、いろんな想いが駆け巡って。
だけど、意を決して隣の部屋の玄関まで行ってチャイムを押す。
すると、中にいた透子がドアを開けた。
「はい」
「久しぶり」
中から出て来た透子に優しく微笑みかけながら声をかける。
あぁ・・透子だ・・・。
やっと会えた。
「久しぶり」
そして透子は冷静なまま返してくる挨拶。
「元気してた?」
「まぁね。そっちは?」
「まぁ。それなりに」
こんな風に何気ない言葉を交わすのもとれくらいぶりだろう。
「これ」
「え?何?」
そして早速訪ねた用件が書かれている封筒を透子に渡す。
「招待状。前に言ってたREIジュエリーの記念パーティーの」
「あぁ。そういえば前に言ってたね」
ある意味、あの時この約束をしておいてよかった。
「ようやく日程が決まったから。とりあえずオレとの話は置いといて、このパーティーは出席してほしい」
週末に決まったそのパーティー。
透子が今オレに対してどんな気持ちでいるのかはわからないけど、でもその日だけは参加してほしい。
「わかった。出席させてもらうね」
よかった。
断らずに了承してくれた。
「なら、よろしく」
「了解」
「じゃあ」
「うん」
ホントはもっと話したい気持ちもあったけど、今回はただこの招待状を渡すのが目的。
まだここで答えを出すつもりはない。
だからオレはまだ一緒にいたい気持ちをグッと抑えて、その用件だけ伝えてその場を後にした。