テラーノベル
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「じゃあ、悪い。ちょっと行ってくる。なるべく早く帰るから」
麻耶を家まで送り届けると、芳也はそう言って実家へと出かけて行った。
(今日からまた一緒にいられるんだから我慢しなくちゃね)
麻耶は自分に言い聞かせるように言うと、荷物を片付けてスーパーへと向かった。
芳也はなるべく音を立てないように家に入ると、静かな部屋へと足を踏み入れた。
時間は深夜の1時を過ぎていた。
薄明りのキッチンに行きミネラルウォーターを開けて、一気に半分ぐらい飲むと大きく息を吐いた。
静かにバスルームに向かい、サッとシャワーを浴びて芳也も眠ろうと自分の部屋の扉のドアを開けたが、どうしても麻耶の顔が見たくなり、静かに麻耶の部屋の扉に手を掛けた。
ベッドサイドから、麻耶を見下ろすと丸まって眠る麻耶を見て、芳也は我慢できずそっと麻耶のベッドに潜り込んだ。
起こしてはダメだと自分に言い聞かせて、麻耶の寝顔をジッと見つめたあと、そっと額にキスを落とすと麻耶を起こさないようにそっと抱きしめた。
「うーん」
と急に変わった体制に身じろぎした麻耶に、慌てて芳也はそっと腕を外すと麻耶を見つめた。
また規則正しい寝息に変わった麻耶を見て安堵して、芳也はしばらく麻耶の寝顔をただ見つめていた。
よくやくなんの障害も気兼ねもなく麻耶と一緒にいられる事が、無意識に芳也を笑顔にさせていた。
どれだけ見ても飽きない麻耶の寝顔を芳也はただ見ていた。
「芳也さん?……いつまで見るの?」
そろそろと瞳をゆっくりと開けた麻耶に、びっくりして芳也は目を見開いた。
「起きてたのか?」
罰の悪そうな顔をして麻耶は呟く。
「起こさないようにしてくれてるの解ったから、もう一度寝ようとしたんだけど……芳也さんもすぐ寝るかなって思ったから……。でもずっと視線を感じるし」
恥ずかしそうに言うと、麻耶は笑みを浮かべた。
「おかえりなさい」
そう言って芳也の首にギュッと抱きついた。
「ただいま」
抱きしめ返して芳也は言うと、「麻耶だ……」そう言って大きく息を吐いた。
「泊まるかもしれないって言うから、もう帰ってこないかと思った」
芳也の胸の中でくぐもった声が聞こえて、芳也は少し腕の力を緩めた。
「やっぱり麻耶の所に帰りたかった」
素直に言われた言葉に、麻耶は恥ずかしくなって頬が熱くなった。
「ありがとう……でも帰ってきて大丈夫でしたか?」
呟くように言った麻耶に芳也はクスリと笑った。
「ああ、本当はもっと早く帰って来たかったんだけど、兄貴の結婚の報告と食事会だったから。遅くなってごめん」
「え!お兄さん結婚するんですか?よかったですね!」
自分の事のように言った麻耶に、芳也は嬉しくなり麻耶の瞳を見つめた。
「やっぱり、麻耶が好きだ。その優しさ、強さ、明るさに俺は憧れて、ずっと欲しかった……」
「芳也さんは優しいですよ。それに強いです」
そっと芳也の頬に麻耶は触れると、ふわりと笑った。
「麻耶……ごめん。明日は仕事だけど。でも……もう我慢できない」
耳元で囁くように、言われ麻耶はゾクリとした感覚が全身に広がった。
「えーと。ハイ。体力には自信があるので……明日の仕事頑張り……ん…っ」
直に触れた芳也の手の熱さと、言葉ごと奪われたキスに麻耶は、言葉を続けることができずただ、激しくなるキスに応えるのが精いっぱいだった。
「麻耶、こないだ抱いた時に言えなかった言葉、ようやく言えるな。麻耶可愛い。その声も、体も全部。それに……やっぱりキスしながらの方がいいな」
ニヤリと笑って、急に恥ずかしい言葉を言われ麻耶は手で顔を覆った。
「芳也さん……何……その言葉攻め」
「こないだは、何か話せば絶対に気持ちが溢れるって思ったから何も言えなかった。でももうその必要もない。だから麻耶も何も隠すな。全部見せて」
優しく笑って言った芳也は、麻耶の手を顔から退かすと麻耶の頭上で縫いとめた。
どんどん激しくなるキスに、溢れ出そうな幸福感の中、麻耶は芳也を見つめた。
潤んだ瞳で芳也を見上げる麻耶の顔を見て、
「本当はそんな可愛い顔するんだ」
ニヤリと笑った芳也に、麻耶は軽く芳也を睨みつけた。
「だって、芳也さんの言葉……嬉しいけど、恥ずかしい。こないだは何も言われなかったし、気持ちも違ったから……」
「じゃあ、思う存分甘やかそうかな」
そう言うと、麻耶の衣服を手早く全部脱がすと麻耶の胸に触れ、唇をつけながら、その合間に、「麻耶、可愛い」「麻耶、麻耶。もっと感じて」全身に手を這わせ、麻耶の感じる部分を的確に触れて、我慢できなくなり麻耶が甘い声を上げるたびに、キスをして、好きだよと囁いた。
「芳也さん……イジワル」
涙を溜めて、芳也に伸ばした麻耶の手をそっと芳也は握り返すと、芳也は余裕の表情で「なんで?」と麻耶を下から見上げた。
そして自分の唇をペロリと舐め上げたその仕草に、麻耶はドキンとして体が更に熱くなった。
「もう……無理……」
「まだダメ。もっともっと甘やかして、俺ナシじゃいられない様にしないとな」
「本当にもう……無理……これ以上……じらされたらおかしくなる」
何も考えられなくなり、麻耶はただただ芳也に翻弄され涙ながらに懇願すると、
芙月みひろ
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#虐げられヒロイン
「じゃあ、好きっていって。名前呼んで」
「さっきから……言ってる……」
「聞こえない」
「好き……芳也さん……好き!」
「俺も、もう……」
その言葉と同時に、芳也は麻耶にキスをすると麻耶に深く体を埋めた。
愛してる……その言葉を聞きながら、麻耶は意識を手放した。
「おはよう。よかった. 起きてくれて。意識を失う様に眠ったから心配した」
「おはようございます。だって芳也さんがあんなに……」
言葉にすることができずジッと睨むように言った麻耶に、イジワルそうな微笑みをした後、
「麻耶から、ねだって欲しかった」
その言葉に麻耶は真っ赤になり、シーツで顔を隠した。
「シャワー浴びてきます」
時計をチラリとみて言った麻耶にを、芳也は制する。
「一緒に入ろ」
そう言って芳也はシーツごと、麻耶を抱き上げると、楽しそうにバスルームに向かった。
「え?嫌!無理!そんなの!」
慌ててジタバタする麻耶に、無理やりキスで言葉を封じると芳也はバスルームに入り、一気にシャワーを麻耶にかけた。
「今更だろ?」
「芳也さん。やっぱりイジワル」
諦めたようにじろりと見た麻耶に、
「そんなこと知ってるだろ」
クックッと肩を揺らすと、二人でシャワーを浴びた。
「今度はゆっくり湯船に入ろうな。夜景きれいだから一緒に見よう」
「はい……」
「素直だな」
「あれ?つい……」
二人は顔を見合わせて笑いあった。
(こんな幸せがずっと続けばいい……)
麻耶は祈るように、芳也の顔を見つめた。
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