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「……なにも変じゃない」
そう、変ではない。
むしろ完璧に、隙なく『構文』を使いこなしている。
だからこそ――それが逆に『違和感』だった。
思い出したのは、最近ネットで流行した「おじさん構文」を小馬鹿にするような曲だ。
あれほど話題になったのなら、普通の人間ならむしろ構文を避けるはず。
私のラインには、他にも複数のおぢがいる。
けれど例の曲がバズって以来、彼らも少しずつ絵文字や過剰な語尾を控え、無難な文章に落ち着くようになっていた。
おぢ界隈ですら、時代の波には逆らえないのだ。
――なのに。
「もしかして……AI返信?」
そうだ。そうに違いない。
もし本当に生粋の“ナチュラルおぢ”ならば、今の時代にあえておじさん構文を使い続けるとは考えにくい。
他のおぢたちが避けているのに、この男だけが堂々と使いこなしているのは不自然だ。
考えられる理由は二つ。
一つ目――
『AI返信機能』を駆使した“偽装おぢ”である可能性。
これは先ほどから言っている通り、最も有力だ。
二つ目――
例の曲を知らないだけ。
あれだけバズったのに、まったく認知していないという可能性も無きにしも非ず。
(一度は言ってみたかっただけw)
……とはいえ、私の本命は一つ目だ。
オッズは圧倒的にこちらに傾いている。
ならばやることは一つ。
二つ目の可能性を潰し、確証を得ればいい。
「本人に直接聞けばいいじゃないか」
――そう気づいたとき、私は自分の中で小さく笑った。
我ながらてんさーい的なはっそー(棒読み)
問題はどう探りを入れるか、だ。
本題をいきなり突くのではなく、外殻をなぞるように、さりげなく。
まるでいやらしい指先で、ゆっくりと対象の輪郭を撫でるように。
私は、ひと呼吸おいてからスマホを構えた。
続く