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永目side
早見は焦った様子で帰って行ってしまった。
僕はそんな早見を見送り、今日見た夢を思い出した。
どうしようもないくらいに泣き崩れた男性。
その男性を励ますように囲う喪服を着た人々。
励ます人々の視線の先にはどこかで見た事があるような綺麗な顔の女性の写真があった。
僕はその人たちを冷めた目で見ているような気がした。
何故か泣く気は起きなく、その事実を認められていないような、
僕はその人たちを押し倒し、女性が眠っている棺桶に向かった。
僕はいや、その人は、まだ声変わりをしていない高い声で何度も
「母さん!母さん!」
と叫んだ。
その様子を見た人々はその人の事を落ち着かせようとした。
でも、落ち着く事はなく、ただただそう叫ぶしかなかった。
「来未ッ」
さっきまで泣いていた男性はその人に力強い声で叫んだ。
その人は怒りが頂点に向かったようにその男性に叫んだ。
「俺も母さんと一緒の場所に行きたかったッ」
その人は周りの人々が口を挟む間もなく続ける。
「誰か俺のことを殺せよッ」
その人がそう言った瞬間、周りの空気は凍った。
周りからはどうすれば、という空気が漂っていた。
だが、1人その空気を無視してその人に近付く人が居た。
それはさっき、力強い声で叫んだ男性だった。
バチンッ
男性はその人の頬を勢いよく叩いた。
キーンコーンカーンコーン
僕を夢から呼び戻すためのようにチャイムが鳴った。
僕は落ち着かない足取りで教室に向かった。
僕はその間もずっと夢の事を考えていた。
きっと、夢の中のその人とは早見のことなのだろう。
(早見は過去にあんなことがあったってこと?)
僕は考えるうちにむしゃくしゃした気持ちになってきた。
自分で言うのもあれだが、僕は幸せな生活をさせて貰っている。
過去に辛い事があった訳ではないし、両親どちらとも存在している。
こんな僕は早見の傍に居ていいのだろうか、
早見が経験した苦しみは僕には分からない。
「創太!お前遅くね?」
教室に着いたと同時に友達から話しかけられた。
その声で僕は現実に引き戻された。
「ぇ、えっと、そうなんだよね、お弁当多くてさ!」
「へぇ、っていうかどこ行ってたんだよ」
「そんな、どこでも良くない?」
友達にそう聞かれた時、僕は何故か答えては行けない気がして、普段は言わないような言葉で紛らわしてしまった。
「ふぅん、てか最近どうしたの」
「別に、何も変わった事してなくない?」
「いやいや、早見とかいうやつの近くに居るだろ?」
「それがどうしたの?」
「早見ってやばいんだろ?」
友達がそう言った瞬間、僕の心では何かが切れた音がした。
その音がした瞬間、心臓がバクバクと鳴り響き頭に血が登った感覚がした。
上手く息が吸えなくなりロッカーに手を付く。
「創太?大丈夫?」
友達が心配している声が聞こえる。
でも、そんな声なんて無視したくなるくらい僕は自分の感情を剥き出しにしたくなる。
「早見のこと、馬鹿にしないでよッ」
「は、は?」
僕は自分の体の異変にやっと気付き、正気を取り戻した。
「ご、ごめん、ちょっと体調悪いから保健室行ってくるね!」
僕は友達が口を開く前に教室を出て、保健室に向かった。
こんな感情になったのは生まれて初めてだ。
無心で歩いていたら保健室に着いていた。
僕は保健の先生に状況を伝え、ベッドで少し休むことにした。