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「美味しかったね!」

「あの顔で作ったとは思えない料理だったわね…」

二人は宿の一階で食事をとり、2階の自室へと戻っていた。

「ミルキィ…料理に顔は関係ないでしょ…」

「仕方ないじゃない!だってオーガみたいな顔よ!?」

「まぁ似てると言えば…」

オーガとは鬼の魔物だ。筋骨隆々で宿の主人のように恐ろしい顔をしている。この国の子供たちは親や大人から叱責される度に『オーガに食べられる』と教えられて育つ。もちろん絵本などない為、オーガの姿形は口頭での説明になる。

恐ろしい顔だった為、ついつい同意してしまったレビンだった。

「とりあえずお湯をもらってくるから、身体を拭いちゃおう?」

「な!?まさかレビン!一緒になんて言わないわよね!?」

「いわないよ!準備してて」

バタンッ

(危ない。お湯が勿体無いから提案する所だった…)

宿の主人からお湯をタライ一杯銅貨5枚で買うと、いそいそとミルキィの元に運ぶのであった。

(街の中では水も薪も貴重だとはいえ、高いよなぁ…でもあの調子だと残り湯の提案も怒るよね?)

レビンはタライを運んで一階に戻ると、主人にお湯のおかわりをお願いするのであった。

(普段なら水でも良いんだけど、やっぱり旅の疲れはお湯で流したいよね)

無事に清拭と洗髪を終えた二人は休むことに。

「兎に角、ご飯も食べた事だし休もう?」

この部屋にはベッドが一つしかない。そう。椅子も机もない格安宿だ。

ここまでの旅の疲れ、特に精神的な疲れによるものがドッと押し寄せて、レビンはベッドに倒れ込んだ。

(ちょっ、ちょっと…私はどこで寝たら良いのよ…)

直ぐに寝てしまったレビンに、ミルキィは声を掛ける暇はなかった。

しかしミルキィも初めての野営で疲れていた為、レビンの横に寝転ぶとすぐに寝ていた。



翌朝、ぐっすり休めた二人の姿は冒険者ギルドにあった。

「パーティ申請ですね。説明は…」

「お願いします!」

アイラの提案に食い気味にレビンが答えた。

「ふふっ。では説明しますね。パーティとは、ギルドが認めた冒険者同士で組むチームの事です。

パーティではリーダーを決めていただきます。基本ギルドとの話…つまり依頼や納品手続きなどはリーダーだけで行えます。

次にランクアップに必要な依頼数や、ギルドへの貢献度をパーティ内で平等に評価します。

依頼の中にはパーティでしか受けられないモノもあります。パーティランクはそのパーティで1番ランクの高い人と同じランクになります。

ここまでがメリットになります。ご理解頂けましたか?」

「はい!続きをお願いします!」

全て食い気味に答えてくれるレビンを見て、見た目よりも幼いその行動にアイラは笑みを溢した。

「はい。次はデメリットです。

パーティで依頼を受けると、貢献度や依頼数は頭割になってしまいます。以前に説明したと思いますが、鉄ランクでは1週間依頼を受けないと資格剥奪されます。しかしパーティの内、誰かが依頼をこなしてくれたらそこから1週間になります」

「あれ?それだとメリットじゃないですか?」

「はい。ここまでならメリットなのですが…中にはこの制度を悪用する人もいます。

簡単に言えば、仲間に働かせて何もせずにランクアップを計ったりします。これが判明するとパーティ全員の資格剥奪になります。

後、何かを見返りに差し出して、ランクを上げるためだけに上位のパーティに入ったり、逆に何か見返りを貰い、離れたランクの人をランクアップの為だけに入れても資格剥奪になります。

簡潔に言うと、信用、信頼出来る人としか組まないこと。という事です。

何かわからない事はありましたか?」

「大丈夫です!申請お願いします!」

「ではこちらにご記入ください。それとタグをパーティ全員分預かります」

その言葉に、二人は首から下げていたタグをアイラに渡した。


「パーティ名はどうするの?」

「うーん。どうしよ?」

渡された紙にはパーティ名の項目があった。

これからずっと使っていく名前である為、変なものには出来ない。

「血の盟約って名前はどうかな?」

「いいわね!私達にピッタリよ!」

ミルキィの同意も得られたので、レビンは最後に残った空欄を埋めてアイラに紙を渡した。


「タグを返還しますね。新たにパーティ名が刻まれています。パーティメンバーを増やす事も出来ますからいつでも申請に来てくださいね」

受け取ったタグには『血の盟約』と新たに刻まれていた。

レビンのタグには血の盟約リーダーと記された。

「はい!ありがとうございます。これから頑張りますね!」

「ありがとうございました」

二人はアイラにお礼を伝えてカウンターから離れると、常設依頼が書かれているボードの前へと移動した。

二人がここに来た時には冒険者で溢れていたが、二人がパーティ申請をしている間にすっかり空いていた。

「魔物は討伐証明部位と魔石が納品出来るね。後は依頼で買取があるかどうかってところかな」

「薬草も常設依頼にあるわ。これなら私でも出来るわね!」

二人は常設依頼を確認してから冒険者ギルドを後にした。

ギルドを後にした二人が向かったのは宿であった。

宿に今日も泊まることを告げ、料金を払った後、準備をして二人は街を出ることに。


「おっ。冒険者になれたのか。命を第一に頑張れよ」

二人が出会った初めての街人である門番に、フランクに声をかけられた。

「はい!お陰様でなる事が出来ました!これからもよろしくお願いします!」

「よろしくお願いします」

ここでもレビンに続き頭を下げるミルキィ。悪く言えば内弁慶、よく言えば外ではレビンを立ててくれる。簡単に言うと人見知りだ。

「おう!気をつけてな!」

門番に見送られ、二人は田舎暮らしの知識を活かして薬草探しに向かった。



「休憩にしようか」

二人は街から三十分くらいの森で薬草を採取していた。丁度昼くらいにレビンが休憩を促す。

「そうね。すでに宿代くらいは稼げたんじゃないかしら?」

「うん。ミルキィはホントに薬草を見つけるのが得意だよね!」

薬草には多くの種類があるが、今二人が採取しているのは傷薬に使うものだ。

ミルキィは村にいた頃から薬草採取で家計を助けていた。普段はレビンと遊んでいたが、レビンが父親の猟を手伝いに出始めてから一人の時間が出来て、それを薬草採取に当てていた。

「これで漸く貢献できたわね!」

ミルキィは気にしいでもある。

「そんな事、気にしなくていいよ。それにすでに料理とかで充分役に立ってるよ!

でもそこまでいうなら…」

レビンは知的好奇心が抑えられずにニタニタしながらミルキィに言うと

「まさか…エッチな事はしないわよっ!?」

「しないよっ!!なにいってんのさ!レベルドレインだよ!血を吸うの!」

レビンは予想外の返事に面を食らった。

「吸血ね…レベルドレインとは上手く言うじゃない。でもいいの?わからないわよ?」

「わからないから試すんだよ。お願いしてもいいかな?」

(えっ?それって血を吸ってほしいって事よね!?知らない人が聞くとアブノーマルよね…お願いされると変な気分だわ)

ミルキィは耳年増だった。

「わかったわ。でも噛み付くのやっぱり…」

「安心して!ナイフを使うから!」

レビンは手慣れたように袖を捲るとナイフを腕に当てた。

これも知らない人が見ると相当ヤバい人物に見えるが、二人の常識は壊れているようだ。

「じゃ、じゃあ頂くわ」

カプッ

ミルキィは三度目の高揚感、全能感を感じた。



レベル

レビン:1→0

ミルキィ:2→3

混血の吸血姫と幼馴染の村人

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