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tamaki
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勇斗side
新学期が始まってから1週間。
俺はまだ一度も吉田君に話しかけられていない。
話しかけようと思っていても、いざ吉田君を目の前にすると心臓がバクバクして、声が出なくなってしまう。
……こりゃ重症だ。
そして今日もまた、声をかけられずにいる。
授業を受けていても、気づけば自然と吉田君のことを目で追ってしまう。
先生が何やらくだらない話をしている。
すると、吉田君がくすっと笑った。
その笑顔を見た瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
……あの笑顔を、独り占めしたい。
ふと、そんな気持ちが溢れてきた。
自分でも思いがけない感情に驚き、思わず手に持っていたペンを床に落としてしまった。
カラン、と音を立てたペンは吉田君の足元へと転がっていく。
それに気づいた吉田君がペンを拾い俺の方へ差し出してくれた。
仁人「これ、佐野君の?」
勇斗「そ、そう!ありがとう!」
吉田君と目が合う。
たったそれだけのことなのに、心臓の音がやけに大きく聞こえる。
……あぁ、やっと話せた。
俺だけを見て俺に話しかけてくれる吉田君。
その姿は、今まで遠くから見ていたどんな瞬間よりも綺麗だった。
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仁人side
新学期が始まり、クラス替えがあった。
仲の良い友達と同じクラスになれるか少し心配だったけど、無事に一緒のクラスになれて安心した。
新学期から1週間が経ち、新しいクラスにもだいぶ慣れてきた。
そんなある日の授業中。
先生が何やらくだらない話をしていた。
その話が思いのほか面白くてつい笑ってしまう。
すると、カランッと音を立てて俺の足元にペンが転がってきた。
誰のだろう?
ペンを拾い、転がってきた方向を見る。
……これって、佐野君のかな?
仁人「これ、佐野君の?」
勇斗「そ、そう!ありがとう!」
佐野君は少し慌てた様子でペンを受け取った。
……けど、なぜかそのまま俺のことをじっと見つめている。
……ん?
どうしたんだろう。
もしかして、何かついてる?
少し不思議に思いながら、俺は首を傾げた。
大丈夫かな、佐野君。
コメント
1件
第3話、読ませていただきました! 勇斗くんの「話したいのに話せない」もどかしさ、すごく伝わってきました。ペンを落とすシーン、心臓の音が大きく聞こえる描写がリアルで、こちらまでドキドキしました。仁人くんサイドではまったく気づいていない様子で、この視線の一方通行感が切なくも可愛いです。「やっと話せた」の一言に勇斗くんの全感情が詰まっていて、じんわりしました…!続きが気になります🌷