テラーノベル
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窓から差し込む朝日に、美紀はゆっくりと瞼を開けた。最初に感じたのは、体の節々の軽い痛みと、首筋に感じる規則正しい、熱い呼吸。そして、昨夜の奔放な自分自身の振る舞いへの、猛烈な羞恥心だった。
(……私、なんてこと言わせたんだろう。「もっと汚い言葉で」なんて……)
顔が火が出るほど熱くなる。ふと隣を見ると、誠司が幸せそうに、それでいて宝物を奪われまいとする子供のように、美紀の腰をがっしりと抱きしめて眠っていた。
その腕の強さに、美紀の口元が自然と緩む。
「……ん、……美紀、可愛いよ……むにゃ……」
寝言。しかも、また「可愛い」だ。
美紀は可笑しくなって、彼の整った鼻先を指でつんと突ついた。
「……誠司さん、起きて。もう朝だよ、変態さん」
「……っ!?」
その言葉に、誠司の目が飛び起きたように見開かれた。
昨夜の記憶が奔流のように押し寄せたのだろう。誠司は一瞬で耳まで真っ赤にし、バネ仕掛けのように飛び起きて正座した。
「おはよう、美紀。その、昨夜は……本当に、すまなかった! 君をあんなに……いや、その、俺の愛が制御不能で……嫌いになってないだろうか!?」
必死の形相で謝る誠司。その姿は、数時間前に獣のような瞳で自分を貪っていた男と同一人物とは思えないほど、いつもの「誠実な愛妻家」に戻っていた。
けれど美紀は、乱れたパジャマを整えながら、少し意地悪な笑みを浮かべて誠司に顔を近づけた。
「嫌いになんてならないよ。……でも、誠司さんの『好き』が重すぎて、体が少し痛いかな」
「っ! すぐに湿布を! いや、マッサージを! 俺の指が折れるまで揉ませてくれ!」
慌てふためく誠司を見て、美紀はついに吹き出した。
そして、まだ熱の引かない彼の頬に、自分から優しくキスをした。
「冗談だよ。……ねぇ、誠司さん。今日、仕事休みだよね? 朝ごはん食べたら……もう一回、昨日の『続き』の動画、撮らせてあげてもいいよ?」
誠司の瞳に、一瞬でギラリとした「獲物を狙う愛」が戻った。
「……美紀。君は本当に、俺をどうにかしたいんだね。……最高の画角で、一生分の愛を込めて撮らせてもらうよ」
朝食のパンが焼ける香りが漂う中、誠司のスマホのレンズは、世界で一番幸せそうに微笑む妻を、再び熱狂的に捉え始めた。
二人の新しい一日は、昨日よりもずっと濃密で、少しだけ「変態的」な愛に包まれて始まった。
コメント
1件
ああ、もうもう……朝のこんなほんわかした空気の中で、“昨夜”の余韻がダダ漏れの会話、最高ですね(笑)。正座して謝る誠司さんのギャップ萌えと、それをからかいながらも自ら続きを提案する美紀さんの余裕、この二人のバランスが絶妙。つい「ああ、この世界はすごく丁寧に作られてるな」と設定好きの自分としては感じてしまいます。甘さの中にちょっと“彼らだけの秘密”が匂う感じが、たまらない。