テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#借金
1,754
#デートDV
お互いが挨拶を済ませると、今度はプランナーの女性が口を開く。
「ドレスも大丈夫そうですね。では今日の打ち合わせはここまでにしましょうか。次回はもっと詰めていきますので、またよろしくお願いいたします」
「はい、お願いします!」
すると翔はスッと立ち上がり、萌音の傍に立つ。
「萌音さん、ドレスのことでお二人にお話しておきたいこととかありますか?」
「あるんですが……お疲れじゃないですか?」
「私たちなら大丈夫ですよ。今日は式場の見学と日程を押さえただけなので」
「ではもし出来ましたら、私の仕事場の方でお話させていただいても良いですか? 寸法とかを教えていただきたいので」
「じゃあ一度休憩を入れてから、私の車で萌音さんの仕事場に向かいましょうか」
「良いんですか?」
「もちろん。うちのプランナーから少し話があるようなので、それが終わったら出発しましょう」
そう言うと、翔は二人を連れてレストランの方向へ歩き出した。その背中を見送っていると、腕の辺りを何かでツンツンされる。
慌てて振り返ると、プランナーの女性が笑いを堪えるように手で口元を押さえていた。
「あぁ、ごめんなさい。私上野夫妻の担当になりました、プランナーの|時田《ときた》と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「池上です! こちらこそよろしくお願いいたします!」
時田は黒髪のショートカットがよく似合う女性で、パンツスーツを身に纏い、大人の雰囲気を漂わせている。
「うふふ、実はうちの式場でも池上さんのお店のことは噂になっていたんですよ。実物を見てみたいねって。ただうちはオーナーの方針でドレスのショップとは提携しないと決まっているので、なかなか見るきっかけもなくて」
先ほどドレスの取り扱いがないことは話していたが、それが翔の方針だというのは意外だった。
「今時不思議って思うでしょ? オーナー的には、新婦には自分が好きなものを着てほしいんですって。全てがプランに入っているものから選ぶ方がいい人もいて、そういう方たちはうちはちょっと面倒臭いみたい。逆にそれが苦じゃない人たちは、自分たちだけの式を作り上げたいって張り切ったりして。結婚式も人それぞれよね」
時田は萌音に椅子に座るように促すと、一枚の紙を手渡す。そこには上野夫妻の今後の打ち合わせの予定が表記されており、挙式が一月最終週の土曜日であることがわかる。
「ドレス自体は当日で構いません。ただもしお二人が前撮りを希望される場合は時期も早まりますので、打ち合わせで決まったことを連絡するようにしますね」
「わかりました。よろしくお願いいたします!」
「私も池上さんのドレスが楽しみです。こちらこそよろしくお願いいたします」
萌音の胸の中を不安と喜びが半分ずつくらいの割合で占めている。この先どうなるかはわからない。それでも精一杯ドレスを作ろうと思った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!