TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する

それから3時間掛かけ桜町まで辿り着くことが出来た。

見覚えのある市場が見え、泣きそうになる。


(銀次さんと買い物に来た市場だ。懐かしいなぁ)


それから市場を出て奥に進んで行くと湯屋が見えた。


(ここで初めて佳代に出会ったんだっけ。あの桜餅また食べたいな)


ようやく団子屋の前まで到着したが緊張して入れない。


(文送れなかったから心配してるだろうな、怒ってるかな…)


どんな顔すればいいのか分からず立ち尽くしていると総悟さんが背中を押してくれた。


総悟「やっと帰って来れたんだ。まずは『ただいま』…だろ。行ってこい」


そう言ってくれたおかげで入る決心がついた。

店の暖簾を上げた瞬間団子の甘い匂いが鼻を通って行く。


佳代「今行きまーす」


奥から懐かしい声が聞こえてきた。


佳代「ごめんなさい。今日はもう……」


栞「ただいま……佳代」


佳代「……栞………栞ーーー!!!

おかえり!無事で良かった〜〜  うぅ」


佳代は泣きながら私を抱きしめてくれた。

騒ぎを聞き奥からおばさんとおじさんも出てきた。

もちろん2人とも佳代と同じく泣いて抱きしめてくれた。


栞「ところで佳代、銀次さんは何処にいるの?」


佳代「銀次ならもうすぐ買い物から帰ってくる筈だけど(グス 」


ドサッ


入口の方から音がした。

振り返ると目を丸くした銀次さんが立っていた。


栞「銀次さん!ただいm」


ただいま』そう言い切る前にいつの間にか抱き締められていた。


銀次「心配してたんだ……ずっと……おかえり栞」


栞「ただいま…銀次さん」


銀次さんの声は震えていた。私もまた感動して泣いてしまった。

暖簾の隙間から大きな背中をこちらに向けて立っている総悟さんが見えた。


(ありがとう総悟さん。あなたのお陰でここまで来れたよ)


一段落つきみんなに総悟さんを紹介した。

おばさんと佳代は総悟さんの魅力(顔)に惚れていた。

おじさんはそれが気に入らないようで初めのうちは総悟さんを睨み付けていたがその魅力(中身)におじさんも段々と気を許していった。


(私達が城から抜け出したことに殿様は黙っちゃいないだろう。きっと私達を捜し出す筈)



ザー……


雨の音で目が覚める。上半身を起こし大きくあくびをする。筋肉痛のせいか体中が痛む。


栞「イタタッ。筋肉痛だ。昨日の疲れもまだ取れてないみたい」


(あの後、銀次さんの家に帰って、それから夕飯食べて疲れて寝ちゃったんだっけ)


栞「ふぅ〜〜」


深呼吸をして、『よし!!』っと意気込んだ。

それから着替えて台所へ行く。

朝ごはんの支度をしていると銀次さんが起きてきた。


銀次「おはよう」


栞「おはようございます。もうすぐで出来ますよ」


いつもの挨拶なのに嬉しい気持ちになる。

しかし、今日はいつもと違う事がひとつだけ、それは……


総悟「おはよう」


栞「おはようございます」


総悟さんもここに住むことになったのだ。

住む場所に困っていた総悟さんを銀次さんが迎え入れたのだ。


栞「それじゃ食べましょう!」


栞・総悟・銀次「いただきます」


ドンッ ドンッ


3人で囲炉裏を囲んで朝食を食べていると誰かが慌ただしく戸を叩く。

急いで戸を開けると青白い顔をしたおじさんが息を切らしていた。


栞「どうしたんですか?そんなに慌てて?!」


おじさん「これを見てくれ!」


おじさんが見せてきたの瓦版だった。

そこには『この者ら見つけ次第即報告すべし』と書かれており、横には私と総悟さんの人物画と名前が添えられていた。

人物画は私達の特徴をしっかりと捉えている。


栞「これって才川家が私達を連れ戻そうとしてるってことですよね……」


総悟「その通りみてぇだ」


(あの城に戻ってしまったら何をされるか分からない……

それに私達の居場所も既に知られているに違いない)


「しっかりしな!!」


栞「?!」


いつの間にかおじさんの後ろに佳代が仁王立ちで腕を組んでいた。


栞「でも、抜け出したことがバレちゃったんだよ。私達がここにいることももう……」


佳代「ここに居ることが知られた限りもう何処にも逃げられない、だったら別人になりゃ良いだけのこと」


総悟「別人……その手があったか!」


栞「確かに見た目さえ変われば流石に気付かれない筈!」


佳代「そうと決まれば早速やるわよ!!」


佳代はおじさんを連れて1度店に戻った。

銀次さんは急いで自室に戻り文を書いていた。


(誰に書いてるんだろ?)

loading

この作品はいかがでしたか?

21

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚