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花束いっぱいの__を。

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花束いっぱいの__を。

1 - 欲しかったものは、

♥

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2025年02月06日

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桃青/兄弟パロ/兄弟愛/海外上流階級イメージ

























桃:「にーさまっ!みてっ!みてください!またひゃくてんです!!」

父は世界的に有名な財閥の代表


母は俺が幼い頃他界してしまい関わった記憶はあまりない。


絶対的実力至上主義の家庭


3歳から家庭教師をつけられ週に1度行われるテストで満点を取れないと非人間扱い。


そんな変わった家庭環境で俺が人の道を外れずにいられたのは兄の存在が大きい。


兄様はなんでも出来た


勉強、運動、ピアノ、バイオリン


父様に言われた事を淡々とこなし周りをよく見て行動していて


幼少期の俺に勉強を噛み砕いて教えてくれたのも兄様だった。





いつからだろうか


兄様に目に見えない壁を作られたのは


元々一般的な家庭のように外で一緒にスポーツをするなんていうことは出来なかった。


でもそうじゃない そういうものとは違う


もっと決定的な兄様の中の何かが変わってしまった。


口数が多い人ではなかったがあからさまに人と関わることを避けるようになった。


日に日に隈が濃くなって痩せ細っていく兄を見ているのは心が痛む。


恐らく父様からのプレッシャーによるストレス


次男の俺でもあれだけ厳しく育てられるのに、跡継ぎなんて比じゃないだろう。


でも長男だからと割り切るには俺は兄様に良くしてもらいすぎていて、情を持ちすぎていて。




桃:「……にーさま、」


ベッド横の色褪せた家族写真を意味もなく撫でた。


ーーー




金属食器を合わせる音と掛け時計の音だけが響くダイニング。


「ないこ、今回のテストだが」


桃:「ぁっ、はい」


父様の重厚な声が響いた。


「医学だけ残念だったな。もっと精を出しなさい」


桃:「ごめん、なさい…」


俯いた弟に目もくれず父様が俺の名前を呼ぶ


「…いふ、」


青:「っは、い」


父様の鋭い目が細められ見下したように俺を見た。


「ないこに医学を教えてあげなさい。医学だけは得意だっただろう」


青:「はい」


あの冷徹な父様に得意科目を知って貰えていた と喜ぶのも束の間。


「お前はそれしか出来ないのだからせめてそれくらいはしなさい」


言うが早いがナイフとフォークを置き出て行った父様。


残された兄弟、お互い無言のまま各々夕食を食べ終わり自室に戻った。


ーーー



父様の邪魔者を見るような目


跡継ぎの長男より次男の方が出来がいいのだから本来ならないこが跡を継ぐべきなのに。


プライドの高い父様のことだ。自分の息子に欠点があると思われたくないんだろう。


青:「……出来の悪い長男ですみませんね」


広い部屋のベッドの上、誰に向かって言うでもなくそんな言葉を零す。


…そういえば明後日はないこの誕生日だっけ、


プレゼント買い忘れたな


1週間後は学校のテスト


あんな振るいにかけるようなことして何が楽しいのやら


数値が出なければ楽なのに


あぁ、テストの解き直しも終わってないや




__なんか、なんだかなぁ


こっから先希望なんて無いんじゃないのかな


父様に言われたこと気にして 弟見て惨めになって


父様に言われた人と結婚して 適当なタイミングで子供作って



青:「……ねぇ、父様」


いっつもないこのことばっかで俺の学校のことなんて知らないだろ。


三者面談も保護者会も俺の方には来ないもんな。


でも、でもさ


俺だって必死に頑張ったんだよ


青:「俺学年で1番だったんだよ…?」


医学でしか満点取ってないから知らないだろ


点数しか見てないから


どうせ今回も2番だって思ったんだろ


ちゃんと言われた通り1番取ったんだよ



褒めてよ


ちっちゃい頃100点とった時みたいに


「頑張ったな」って


そう一言言ってくれたら俺次も頑張ったのに



青:「…ないこばっかり、ずるいよ」


起き上がって部屋の窓を開ける


もう全部捨ててしまおう


自分の事も、全部



最後に見るのが父様の権力の象徴のような庭なのはちょっと癪だけど


ここからなら確実に終わらせられる



ないこの誕生日は跡継ぎの座をあげたことにしよう


ないこの方が上手くやれる


才能の塊みたいなあいつが跡継ぎの方がきっと成長する


青:「…ばいばい」


窓枠に足を掛けそのまま目を瞑った





_____。





桃:「にぃさまっ”!!」


青:「…っは、……」


浮遊感の代わりにぐん、と身体を引っ張られた感覚。目を開けるとないこが俺の手を両手で握りしめていた。


青:「な、なにす」


桃:「やめて」


大きくて綺麗な桃色の瞳で俺の事を睨む。


桃:「死んじゃったら全部終わっちゃうんだよ」


桃:「俺は兄様のこと尊敬してて、それに…」


青:「っ、黙れよ”!!!」


握られていた手を振り払いないこの首を両手で締める。


青:「成功作には分かんねぇんだよ」


意識しなくても手の力が勝手に強くなっていく。


目に涙を浮かべたないこを見てこのまま殺してしまおうか、とも思った。


抵抗もせずいた腕を伸ばしてきて少々身構える。


桃:「…に、……にぃ、さ、ま」







桃:「…ぁ、いし、て、る」


すっと頬を撫でて微笑むないこ


青:「っは、」


あぁ、あった


幼少期にしか向けられなかったこの目


「頑張ったな」じゃなかった


その裏にある愛が欲しかったとようやく気づいた。




ーーー



「愛してる」


そう言うと兄様は目から大粒の涙を零して座り込んだ。


やっと自由に呼吸出来るようになり兄様を抱きしめながら乾咳混じりに何度も言う。


桃:「あぃ、して、るよ…あいし、てる」


呪文のように何度も何度も繰り返した。


兄様が俺の背中に手を回して震える手で抱きしめる。


青:「ご、めっ…出来損ないで、ごめん、誇れる兄じゃなくて、ごめんなさい」


桃:「……兄様、こっち向いて」


青:「へ…」


兄様の髪が、瞳が、月光を纏って白銀に輝いて


元々色白なのに、食が細くなって青白くなってしまった肌も 今だけは心配等より先に溜息が出てしまう程美しかった。


桃:「俺は兄様の事を出来損ないなんて思ったことない」


桃:「小さい時から今でもずっと俺の憧れで、1番の自慢なんだよ」


桃:「…気負い過ぎないで」


涙で濡れた長い前髪を分けて、そっと額にキスを落とす。


桃:「おわっ…」


泣いて疲れたんだろうか。倒れ込んできた兄様をそっとベッドに寝かせる。


桃:「…愛してる」


兄様の方が身長が高いはずなのに、何故だか今は俺より小さく見えた。




桃:「……勉強…」


本来の目的を思い出しまた隣で眠る兄様に視線を落とす。


桃:「…今日くらいいっか、」
















あぁ、思い出した


ベッド横の色褪せた家族写真


幼い俺と兄様が持っていた花の色


白色だった


2人で選んだんだ。兄様の誕生日に飾る花だった


母様にアザレアなのにピンクじゃなくていいの?って言われた


そしたら兄様が白色がいいって言うんだ


ないこと一緒に選んだこの色がいいって。


もう写真は日焼けして何色かなんて分かんないと思ってた


色褪せても変わらなかったんだね


もっと早く思い出せばよかった


変わってなかったんだ


きっと、これからもずっと___




ーーー



青:「ん”、ん…?」


隣に人の気配を感じてそっちを向く


とすやすやと気持ちよさそうに眠るないこ。


青:「あぁ、昨日…」


仲直り、みたいな感じ


俺泣いててかっこ悪かったな




…でも、なんか、凄い満たされた気分


いっぱい愛してるって言われて


あと、寝る直前に



き、ききき、す…されてた、よな?


青:「…俺のファーストキス奪いやがって、馬鹿ないこ…」


桃:「…満更でもないくせに」


青:「おわっ、起きてたん…?」


桃:「兄様は独り言が大きいんですー」


ベッドから降りてぐぐ、と伸びをしたないこ。


桃:「ねね、にーさま」


青:「んー?」


起き上がってないこを見ると柔らかく笑いながら手を絡めてきた。


桃:「今日の帰りさ、花屋に行きたいんだ」


青:「…ええけど、1月やで?」


桃:「冬の花も案外綺麗じゃん?」


青:「まぁ、そうやけど……なんで急に花?」


ないこが思春期は色々あるのさ、なんて言いながら俺の部屋とないこの部屋を繋ぐ扉をいじる。


五年以上廊下と繋ぐ扉しか使っていなかったからか金具が錆びているようで甲高い鳴き声が聞こえる。


青:「…言っとくけど、お兄様のファーストキスは高くつくで?」


桃:「えぇー、けち」


青:「んはっ、せいぜい一生かけて払えよ」


一瞬金具が弛めば後は簡単で勢い良く扉が開いた。


がたん、と大きな音を立てて扉が外れ2、3メートル吹っ飛んでいく。


桃:「…いい感じだったのにね」


青:「古かったしなぁ…」


朝から何事かと家の至る所から人の騒ぎ声が聞こえてきた。トラブルの真ん中にいがちなのは小さい時から変わらないらしい。


桃:「…花屋もだけど、家具も見に行っていい?」


青:「壊したのないこなんだからないこが払えよ?」



2人の時は飾らなくても大丈夫


そう信じられるような甘い、柔い、暖かい




愛を、ありがとう。










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