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ラザルスの声は低く、深い。まるで彼の声そのものが、空間を震わせるようだった。鋼谷は緊張しながらも、ゆっくりと前に進む。
「お前が、骸教団の教祖か。俺はお前を止めに来た!」
「止めに来た?面白いことを言うな。小僧が、我が力に挑もうなど片腹痛い。」
ラザルスは冷笑し、手をかざした。その瞬間、周囲の霊体が一斉に鋼谷に向かって突進してくる。鋼谷は鉄鎖を構え、反撃の準備をする。
「行くぞ、鉄鎖!」
彼は鉄鎖を振り回し、霊体を切り裂こうとするが、その数は圧倒的だ。霊体は彼の攻撃を軽々と避け、鋼谷の周囲に取り囲んでいく。
「無駄だ、鋼谷。お前の力は俺の前では無力だ!」
ラザルスの言葉に、鋼谷は苛立ちを覚える。だが、彼は心の奥にある意志を思い出し、立ち向かう。
「諦めるわけにはいかない!」
鋼谷は再び鉄鎖を振るい、霊体を弾き飛ばす。彼の周りの霊体が次々と崩れていくが、ラザルスはまだ余裕を崩さない。
「その程度で、俺を倒せると思っているのか?」
ラザルスは空中に手を掲げ、暗黒のエネルギーを集め始めた。その瞬間、鋼谷の背筋が凍りつく。まるで全ての生気が吸い取られるような感覚が彼を襲った。
「これが我が力だ。怨念の源を呼び起こす!」
鋼谷はその光景に恐怖を覚えた。だが、彼は立ちすくむわけにはいかない。心の中で、仲間や師匠の言葉を思い出し、必死に気を奮い立たせる。
「俺には、まだ力が残っている!」
鋼谷は自らの異能、「鉄鎖」を呼び起こし、その力を全開にする。彼はラザルスに向かって一気に駆け寄り、鉄鎖を振り下ろす。
「受けてみろ!」
鉄鎖は空を切り裂くような音を立て、ラザルスに迫る。その瞬間、ラザルスの表情が変わった。驚愕と理解が交錯し、彼は手を引っ込める。
「なんだと…!」
その一瞬の隙を突き、鋼谷は鉄鎖を全力で振り下ろした。闇の力がぶつかり合い、空間が揺れる。ラザルスの顔に驚愕の色が浮かぶ。
「無駄だ、これでは…!」
鋼谷はその言葉を遮り、さらに力を込める。彼の意志が鉄鎖を貫通させ、ラザルスの闇を切り裂いていく。その時、鋼谷の心に新たな力が宿った。
「仲間のために、絶対に負けるわけにはいかない!」
彼はその思いを力に変え、鉄鎖を一層強く握りしめる。光がラザルスの闇を包み込み、彼の力を消し去ろうとする。
「何が…起こっている…!」
ラザルスの声がかすれていく。彼は必死に闇の力を集めようとするが、鋼谷の力に押し戻されていた。周囲の霊体も次第に消えていき、ラザルスは絶望に沈んでいく。
「これが…お前の終焉だ!」
鋼谷は全力を込め、鉄鎖を振り下ろした。その瞬間、鋼谷の心が開放され、力が解き放たれる。闇が光に飲み込まれ、ラザルスの姿が崩れていく。
「うあああああああ!」
ラザルスの叫びが響き渡り、彼の存在は霊体のように消え去った。周囲に静寂が訪れ、鋼谷は力尽きて地面に膝をつく。
「やった…俺は勝った…」
彼は満ち足りた思いで目を閉じた。周囲の光が彼を包み込み、心の中には仲間たちとの思い出が浮かんでいた。これが、彼の新たな始まりであることを、鋼谷は理解していた。