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鋼谷はラザルスとの戦闘の余韻に浸りながら、ふらふらと立ち上がった。勝利の感覚が彼の中を駆け巡るが、心の奥には不安が渦巻いていた。ラザルスの存在が消えたと思っていたが、何かが彼を不安にさせる。周囲の空気が重くなり、再び異様な気配が漂い始めた。
「どうなっている…?」
鋼谷は振り返り、辺りを見渡した。冷たい風が吹き抜ける。その瞬間、彼の背後で奇妙な声が響き渡った。
「まだ終わっていない…」
鋼谷は振り向き、驚愕した。ラザルスが姿を現したのだ。彼の身体は以前とは違い、黒いエネルギーに包まれている。その瞳には狂気が宿り、薄ら笑いを浮かべていた。
「ラザルス…!お前は…まだ生きていたのか!」
「生きている?俺は死んでなどいない。お前が思うように、な。」
ラザルスはその言葉とともに、手をかざす。鋼谷の周囲に霊体が現れ、彼を取り囲む。鋼谷は絶望の色を浮かべ、後退する。
「この数に囲まれて、俺を止められると思っているのか?愚かな小僧が!」
鋼谷は鉄鎖を振りかざし、霊体に立ち向かおうとしたが、彼の力は限界に近づいていた。体が重く感じ、息が苦しい。仲間たちの顔が浮かび、彼は心の中で誓った。
「負けるわけにはいかない…!」
しかし、その意志も虚しく、霊体は次々と鋼谷に襲いかかる。彼は一体一体を叩き切るが、その数は増えていくばかりだった。
「どうだ、鋼谷。お前は勝てない。」
ラザルスは高笑いし、鋼谷の心をさらに蝕んでいく。鋼谷は苦痛に顔を歪め、もう一度鉄鎖を振るった。
「俺は、仲間のために…!」
その瞬間、彼の体力は尽きかけ、鉄鎖が重く感じた。霊体が彼に押し寄せ、ついに鋼谷は膝をつく。
「終わりだ、鋼谷。」
ラザルスは手を掲げ、暗黒の力が渦巻き始める。鋼谷はその力を見上げ、無力感に襲われた。彼の心に浮かんだのは、仲間たちの笑顔と、彼らを守りたかった思いだけだった。
「ごめん…みんな…」
彼の言葉は虚しく響き、ラザルスの力が鋼谷を包み込む。その瞬間、彼は目の前が暗闇に包まれるのを感じた。
「さあ、堕ちるがいい。」
ラザルスの声が響く。鋼谷はその声を最後に、意識が途切れた。彼の体は地に崩れ落ち、静寂がその場を支配する。
しかし、鋼谷の死は終わりではなかった。ラザルスの背後に、かすかな光が現れ始める。それは、魂だった。彼らの思いが集まり、光となってラザルスに向かって突進していく。
「な、何だ…!」
ラザルスは驚き、光に飲み込まれそうになる。だが、その瞬間、彼は冷酷な笑みを浮かべた。
「来い、全てを喰らい尽くしてやる!」
ラザルスの体が再び黒い光に包まれ、彼の存在がさらに強化される。
ラザルスは高笑いし、その場に立っていた。彼の手の中には新たな力が宿り、世界を闇に染める準備を整えている。
「これが、俺の真の力だ。全てを支配する者として、この錆の都を復活させてやる!」
暗黒の力が渦巻く中、鋼谷の存在は消え去ったが、彼の思いは決して消えることはなかった。彼の仲間たちの思いが、再び立ち上がる時が来ることを信じて。
次なる戦いが、静かに幕を開けるのだった。