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【第40話・繁殖①】
自分の身体に何かが突き刺さる瞬間を人生のうちで何人が見ることがあるだろうか？
注射がそうだろうか？
花の棘がそうだろうか？
ガラスの破片？
それとも……アレの時？
鳴沢は自分に起きた信じられない出来事を、誰よりも近くで目撃してしまった。
刺さった尻尾を見た瞬間、莉乃を凝視した。
びーちゃんを庇う莉乃の体の下から尻尾は突き出していた。
声は出なかったが、確かに「なんでだよ」と唇が動いた。
吐血がびーちゃんの直径十センチほどの尻尾にかかった。
「な、鳴沢……？」
抜き取ろうと必死に両手を動かしていたが、自分の血液のぬめりで滑ってうまくいかなかった。<＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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