ナチ編気に食わんから加筆修正してまた投稿するねねねね。
こほん。それでは本編へへへ‼︎
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破 第二十四話『至高の景色』
大英「、、、やれるもにならやってみろ。」
イギリスはそう言いゲス顔を見せた。、、、 いつも変わらずムカつく顔だ。
だがそこで怯む日帝ではない。口角を上げ、イギリスに睨み返した。
日帝「あぁ、、、やってやるさ。」
「その日がきっと来る。」
日帝「、、、それと。」
目線がイギリスから外れ、暗闇の方へと変わる。
日帝「、、、数分前からこちらを観察しているものがいるのだが。」
大英「気づいている、、、、殺意の隠し方を近いうちに教えた方が良さそうだ。」
イギリスもその何かがいる方向へ顔を向ける。
大英「盗み聞きとは、いい度胸だな”アイルランド“。」
アイルランド「ッチ、、、。」
暗闇から聞こえる声。初心者、特有の殺気と気配が熟練の軍人にはダダ漏れであった。
アイルランド「いつか、、、必ず、、、。」
暗くて顔色が伺えないが、声が異様に震えている。殺意の籠った声色だ。
アイルランド「“その日”が来るまで、お前に近づけるのなら従隷にでもなってやる。
、、、“仰せのままに”。」
低く震えた声から覚悟が伺えた。イギリスはフッと笑い。
大英「あぁ、、、“王政のままに”。」
アイルランド「ッ!、、、、、、寝る‼︎」
そう怒りつけ、アイルランドは振り返り、暗闇へ去ってしまった。、、、数秒の間が起きる。
日帝「、、、しっかしまぁ、、、。」
日帝が呆れた様に緊迫した空気を切り出す。
日帝「お前も罪深いな。国の化身といえど精神はまだ十八の少女だぞ、、、?あの子だけじゃ無い。他にも。」
アイルランドから目線を変えないイギリスを日帝は見つめた。
大英「アイツは自らこの道を選んだんだ。それと、、、。」
イギリスの顔がこちらへ見下ろされる。
大英「お前は俺が慈悲深い奴だと勘違いしている様だ。アイツらは必ず地獄へ連れていく。」
、、、いつものゲス顔をしない。それはきっと。
日帝「、、、自分ごと地獄へ行くのだろう、、、?」
大英「!」
日帝は小さくため息をついた。
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訓練開始からニヶ月目
走って、勉学して、走って、食べて、寝て、走る!
インド「、、、僕たち今どのくらい走っているんだろう、、、?」
フランスが後ろを振り返るとインドがヘロヘロになりながら着いてきていた。
カナダ「、、、大体、二週間あたり200キロ近く走っているよね、、、。」
200キロ、、、ってことはこの二ヶ月の間に千キロ近く走っている。訓練が始まる前はこんな距離、とてもじゃないが無理だろうと皆が考えてた。でも彼らはそれを走っている。
フランス「200キロか、、、。でもピンとこねぇな。」
オーストラリア「200キロって大体、、、琵琶湖一周分じゃなかったけ、、、?」
アイルランド「地元じゃ無いから分かんない、、、。」
オーストラリア「じゃあ山手線五周。」
インド「それも地元じゃ無いし、日本だし、未来ネタだし、、、!」
ロードワークにとうとうやられたのかいつも穏やかなインドが怒りを混ぜて言った。もう秋の季節といえど、校庭に直射する日光には未だ慣れず、焼けそうだ。
数十メートル後ろにはこないだ二つに分割されたB班が辛うじて着いてきている。実力格差により分けたのだそう。けれどもフランス所属の先頭集団のA班も顎が上がってきている。
フランス(あぁ、、、!もう辛い‼︎距離をこなすって言っても実感湧かねぇし、、、。)
日帝「、、、。」
翌日、PM4時。
大英「と、、、言うわけでこれからクロスカントリーを走ってもらう。」
イギリスがポンと手を叩く。
クロスカントリー。ほぼ森のコース。今までの校庭とは違い、影が比較的多いが、ボコ道を今まで通りの速さで走るというのは、、、中々にキツイ。
フランス(それを理解した上でのメニューか、、、陸上部かよ、、、!)
フランスが簡易的に作られた壇上に立つイギリスに睨みを飛ばした。
大英「尚。ここでは勿論のこと今まで通り歩兵銃を持って走ってもらう。そしてこれは言わば試験だ。目標は、、、30分以内に完走。
完走が出来ない様であれば退学。変属だ。」
イギリスが言い終わると一気にその場が騒然とした。A班は兎も角。着いていくのに必死なB班は半数以上が脱落するであろう。更に欧州人は山登り、山下りには殆ど慣れがない。正直なところ、フランス自身も危うい立場にある。
フランス「って、、、へ。」
いつも黒い将校服を着る日帝が珍しく、ビニールブクr、、、白いシャツを着ていた。下半身もいつもと違い身軽さがうかがえる。ってことは日帝もクロスカントリーコースを走るという事かと皆が理解した。それはB班にとって嬉しい事。遅れている奴はいつも日帝が背中を押してくれる。
___だがその安堵も始まりの合図で途絶える。
名前も知らない教官が腕を上に上げ、スタートと言うと同時に腕が振り落とされた。
グッン‼︎
日帝以外の全員「⁉︎」
____速い。
それも天性と言うべきほど、恐ろしく、凸凹した下り坂を迷いなく前へ前へとぐんぐん行く。きっとアレは選ばれし軍人だ。勿論のこと日帝も歩兵銃を担ぎ走っている。先頭のフランス達も目で追いかけるのがやっとの程、日帝はもう米粒くらいにしか見えなくなっていた。
フランス「何であんなに迷いなく走れるんだろう、、、?」
まず歩数がデカい。短足とまでは行かないが短い足を大胆に踏み込んでいる。なのにこんな道を安定して走れるのはそれに適応できる股関節の柔軟性。それと短足故の足の回転数。
他の生徒達と比べるとそれは一目瞭然だった。足元がおぼつかない道に生徒達は恐怖が掻き立てられる。
フランスはふと思った、足の柔軟さは昔っから自信がある。
フランス「俺もできるかな、、、?」
カナダ「、、、へ?」
フランスは一気に足幅を上げる。その途端勢いもつき自分じゃ制御できないほど重力に従い足が前へ前へと落ちてゆく。風を切る音が耳の側でチラつく。
___怖い。
今まで体験したことのない、空気抵抗受けながら走る。だが止まれない。
歩兵銃を大きく腕の様に振り、グングンと前へ進む。気づけば日帝との距離が段々近づいてきた。
日帝「!」(捕まる、、、。)
日帝のすぐ後ろで風を切る音がした。
カナダ「___並んだ。」
日帝の傍にはさっきまで後ろにいた筈のフランスが並走している。 顎が上がり、肩で呼吸している。だが日帝と同じく躊躇いもない一歩。
数十メートル後ろで見ていた、彼らは歓喜した。フランスができるのなら我もと____
カナダ「行っちゃダメだ。」
インド「、、、!」
そのカナダの言葉で目が覚める。アレに着いていったら間違いなく後半の登り坂にヤラれる。
フランス(、、、オッ、、、登り坂になってきた。でもこん位だったら、、、。)
そう思い、踏み込んだ瞬間。
____足が上がらない。
フランス「!」(、、、、、、何で!)
日帝「、、、まるで逃げるような走りをするんだな。」
フランス「!」
日帝はそう言い捨てスピードを上げた。一瞬にしてフランスを置き去りにした。
坂登りは下りと違う、足幅が限られる。無理に上げようとすると大きな疲労となり返ってくる。
隣で並走していた日帝は段々、距離が離れていく。
フランスは焦った。足が鉛の様に重く、日陰に当たっていないせいか、抜かるんで上手く踏み込めない。所々、大きめの石もあって踏みどころが迷う。
こう言う時、人はどのようにして“遠くへ”進むのだろう?ふと地歴の授業で習った事を思い出した。
フランス「、、、やるっきゃ無い。」
スキー板のように足をハの字にして踏み込む。さっきよりも踏みどころが安定した。 銃の持ち方は最小限に、、、、振る。体は左右に揺れ視界も安定しない。
ふと先を見上げると最後のスパート。平坦な道が出てきた。木々は少なくなり眩しい白い光が山道を照らす。奥にはもう既にゴールした日帝とタイムを数えているイギリスが待っていた。
坂道から切り上げた平坦な道は感覚的に下りのように思える。再度足を上げて地面を叩いた。
フランスは体をやや前傾にしてラストスパートに入る。大胆な足は風を切り、前へと進む。
下りと同じようにこれでもかっと言う全速力、フッと離せば意識がどこかへ吹き飛びそうにななほど。
視界には一本道の奥にイギリスがモノクルを光らせながらこちらを見ていた。タイムが良く無いのか、わからないが、どこか哀しいような、怒っているような顔をしている。
段々、数十メートル、数メートルと体がイギリスに近づくのを感じた。
___ゴール。
フランスは倒れ込むようにゴールへ入っていった。手を膝に置き、荒れた呼吸を整える。自分の額から汗が滴るのが見えた。
その直後にイギリスが驚きを隠すように、怒鳴り声でタイムが言い渡された。
28分54秒!と。
最初に言われた30分以内完走という声が頭の中でリピートされ、フランスは思わずイギリスの方を見上げた。呼吸が上手くできず、視界に映るイギリスが上下に揺れて見える。イギリスは一瞬だけ下を向き、いつも通りの冷淡な顔つきへ戻った。
駆け寄ってきた日帝に手を借り、大きく深呼吸をする。
ある程度フランスは呼吸を整えた後、隅の方へおぼつかない足取りでよる。木にもたれ掛かった時一気に飛んでいった魂が戻るのを感じた。
真っ白だった空虚に色が加わるように段々と景色がフェードアップしていく。走る前とは全然違う。
山々の一本一本の木が見える。
数十メートル奥にカナダ達が見える。
上を見ればイギリスと日帝が立っていて、太陽の光りから木の葉が守ってくれる。
何も感じない。けれど空っぽになるいつもの走り込みとは少し違う感覚がする。
どうにか言葉にしようとするが上手く言い表せない。どこか安心する。
日帝「おい。」
フランス「!」
日帝「”来たぞ“。」
日帝が指差す方向を見るとカナダ達が自分と同じく汗だくでゴールしていた。
アイルランドは大きく深呼吸して呼吸を整えてタイム発表を待っていた。
インドも数秒遅れてゴール。カナダがすぐさま駆け寄り「頑張ったね」と励ましていた。
ゴールした者らにイギリスは次々とタイムを言い渡した。
全員目標達成。
前まで皆んなについていくのがギリギリだったオーストラリア、インドは歓喜した。
フランスはそれを見て何だこんな感覚になっているのは自分だけだと思った。
時にアイルランドがフランス位にしか聞こえないような声で。
アイルランド「良かった帰って来れた、、、。」
アイルランドはため息にも似た深呼吸を吐き出した。下を向く顔にはどこか安心しているような気がする。フランスは自分だけじゃ無いだと安堵が漏れた。皆んなここへ戻ってきて良かったと思っている。安心している。
でもどこかあの空虚の研ぎ澄まされた空間が恋しくもある。
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〜後日〜
合格できなかった者達が整列され、変属先が言い渡されていた。
フランス達はお別れの言葉を告げに行こうとするとイギリスに引き止められた。
朝の点呼。周りをぐるりと見渡せば、もう。
カナダ、インド、オーストラリア、アイルランド、フランスしかこの場に立っていなかった。
時計の針が5時半を刺す。
フランス(いつもこの位なら点呼が始まるのに。)
ジリジリと過ぎ去っていく時間を埋めるように周りに目をやると、左1ミル、距離およそ72メートル先に180cmくらいありそうな青年が走ってくる。
フランス達はこの頃、既に方角、距離、対物の大きさをある程度計算し測定する事ができるようになっていた。
その男は息を切りながら駆け寄ってきた。特徴的な緑、白、赤色をした男。
大英「遅刻だぞ“イタ王“。」
イギリスは手を膝についているイタ王を見下ろしながら睨んだ。
イタ王「ハァ、、、ハァ、、、へへごめん。」
そいつはニコニコしながらイギリスを見た。
数週間前くらいだろうか?イギリスから貰った紙をフランスは思い出した。
ロンドン秘密条約。
記憶を一部失ったとはいえ、フランスも国の化身。同盟同意書にサインした事を思い出した。
そしてイタリア王国の化身がここにいるということは___
イタ王「じゃあ今日からよろしくなんね‼︎」
イタ王も暗殺者教訓の生徒になる。
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破 第二十四話『遠くへ』 完
最近本編の投稿頻度遅くてすみません!!!!!がんばります!!!!!
コメント
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フランスの適応力がすごい