テラーノベル
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防衛隊は、国民を守る組織だ。
怪獣からも。
災害からも。
人手不足からも。
「……え」
第三部隊、メイド喫茶へ出動。
読者のみならず、第3部隊の面々まで大困惑に陥れたこの状況。
なんでも、怪獣襲来によってバイトが全員やめてしまったらしい。
まぁそんなこんなで、経営危機に陥ったメイド喫茶を救って欲しいとのことだった。
耳をすませば、なんでだよ!!とツッコミが聞こえてくるが、ここは防衛隊に寄付していた組織のおえらいさんが趣味で経営する店だというわけだ。
当然断れない。
意外にもノリノリで承諾印をぺったんしたらしい上層部はぶち壊れているのか。
『国民を守るのも任務だ。そして、経済活動も国民生活の一部だ。』
『つまり、メイド喫茶を守ることは国民を守ることに繋がる。』
ご覧のような謎理論が繰り出され、その場に居合わせた職員は揃って
(((話の飛躍がすごい…!)))
と心の中で突っ込んだそうな。
ちなみに、声に出した猛者も何人かいた。
なお、勇気あるそのバカたちとは数日前から連絡が途絶えている。
第3部隊の主メンバー、そして暇そうな鳴海を(長谷川の強い要望で)連れ出した、大変戦力の高そうなメイド喫茶がまもなくオープンする。
「…メイド喫茶?」
保科は少なくともこの仕事をしているうちは聞かないと思っていた単語に眉をひそめた。
目の前には冷静沈着な上司。
突きつけられた大部分ピンクのちらし。
猫耳やらなんやらを身に着け、メイド服を着用した女子が胸の前でハートをつくったその紙面になんだか嫌な予感がした。
「メイドき」
「言わんといて下さい」
嫌な予感が的中した言葉を聞く前に本能で遮る。
「まだ最後まで」
「分かります」
#保科宗四郎
郁不
913
アウラウラ
345
nagi.
1,949
38
「せつめ」
「遠慮しときます」
「…上官命令」
「…(くそでかため息)」
「頼りにしてるぞ、保科」
「そのセリフ言うの絶対今ちゃうと思います」
くっっっ回避できなかった…と拳を固める保科をみて、亜白が同情する。
「安心しろ。私もお供する。…こうなったらとことん巻き込んでやろう」
「可哀想に」
本編では絶対に見られない、亜白のいたずらっぽい微笑み。
根負けした保科も同じ笑顔を浮かべた。
「カフカ。ちょっとこっち来。市川と四ノ宮もついでに…な。」
訓練終わり。
保科はにやにやと手招きする。
キコルだけは即座にその笑顔の意味を理解した。
カニは好きか、と聞いてきたときのソレだったからだ。(怪獣8号SideB参照)
「ふっ副隊長!私ちょっと友だちと待ち合わせしてて…」
「ナンパちゃうねん」
あれよあれよと隊長室に連行された。
隊長室には、猫耳をつけた亜白が待機していた。
「めっメイド喫茶のアルバイトにようこそにゃん…てめぇらにはこの私を手伝って、もらう、にゃん…」
新人三人組は絶句する。
亜白の声は終盤につれて小さくなっていく。
耐えられなくなったのか、亜白は無言で猫耳を外すと机に叩きつけた。
素とはいえ、防衛隊第3部隊隊長の腕力に恥じらいが乗った最高の一撃は見事なまでに机を粉砕する。
それでも猫耳は壊れませんでした。
Q.なぜでしょう。
A.知りません。
「ふーーーーっ。…ここは保科の猫耳で行こう。」
「なんでやねん」
隊長すみませんwwと、大爆笑をこらえて身をよじっていた保科に唐突に飛び火した。
真面目な顔で猫耳を差し出す亜白に全員身の危険を感じて距離をとる。
「笑ってる場合ちゃう!総員撤退!!」
「あんたが一番笑ってるだろ!!」
「ここは副隊長が…」
「そうっす!ここは副隊長が猫耳つけるべきです!!」
「お前ら後でしばくからなぁぁぁぁ」
後ろにもはや殺気レベルの覇気を感じて振り返る。
「つけろ」
「隊長!やめて下さい!!一歩間違えばセクハラですよこれぇぇぇ」
無事装着(絶望)
「くっそ…アノすみません亜白隊長写真連写するのだけやめてもらっていいですかいたたまれないです」
「かわいい」
「えっと、亜白隊長の趣味ですよね」
その間にこっそり逃げようと画策していた新人三人組を保科がひっ捕まえる。
「な…何でしょう副隊長…」
「おおお俺すっごく行きたいケド今日は予定があるんだよナァ〜(棒)」
「友達と待ち合わせしててッ!!」
「だからナンパちゃうわ!!」
保科はにやりと笑う。
「亜白隊長と僕の猫耳見たからにはお前らも手伝ってもらわなあかんなァ。特にお前ら、率先して僕のこと売り飛ばしたやろ」
先の亜白と同等の、殺気よりの殺気(?)が保科(猫耳付き)から立ちのぼる。
新人三人組は抱き合って震えるしかなかった。
「いらっしゃいませご主人様〜」
ちらしに違わず、とってもピンク(カフカ談)な店内。
3分の2男の子で構成された世にも珍しいメイド喫茶が爆誕した。
亜白、保科、さっきほど巻き込まれた新人三人組+なぜか第1の鳴海が召喚されていた。
理由は長谷川のとてもとても強い希望である。
あの人も大変なんやろなぁと思いつつ二つ返事で了承した。
ちなみにこの件に関して本人の要望はすべて薙ぎ払っている。
主に保科が。
「なんでボク様がメイド何ぞやらねばならんのだッ!!」
「え〜知りませんよぉ〜。それより猫耳つけてんだからちゃんと語尾ににゃんつけなあかんで、鳴海隊長。」
「お前もついとるだろうが!!」
「これはこれは失礼しました…にゃん」
もはやカオス。
揉める犬猿(猫耳付き)を横目に、亜白は虚無でおかえりなさいませ〜を繰り返している。
先ほど、新人三人組が保科が見てない時に亜白を厨房に立たせた結果、オムライスを作ろうとして大型銃器で卵ごとキッチンを吹き飛ばし、これはあかんという結論に全員がたどり着いたためである。
「亜白隊長だ…えっ本物…?」
一日限りで開店した、おそらく世界で一番強いメイド喫茶。
一人目の客が興味本位でインターネット世界に公開すると秒でバズり、開店からものの十分で待ち時間210分の、ユ●バやディ●ニーに肩を並べる大行列を記録している。
一体この世界の人々の情報収集能力はどうなっているのか。
とんでもない賑わいを見せる反面、厨房は大混乱に陥っていた。
「え!?“超萌え萌え♡虹色Aセット”が3だっけ!?」
「バカねおっさん!!それは4よ!”夢色♡パンケーキ”が3!!」
「追加注文です!猫耳にゃんこに挟まれてチェキ♡…これ注文するとこ間違えてやがる!!副隊長!鳴海隊長!」
「おっさんは皿洗いに徹しなさいよ!!みじん切りもできないんだから!!」
「了!…いやっ…えーっと…了解、だ、にゃん…」
「そこで照れてどうすんのよバカ!!バカおじさん!!」
「2人とも落ち着いて!!…だ、にゃん…」
「こんな誰も見てないとこで語尾ににゃんつけてどうすんのよあほ共ぉぉぉぉぉ」
知らない人が見たら一旦フリーズする謎会話を遮るように保科が顔を出す。
「ごめんお前ら…ホール変わって…人多すぎて死ぬわこれ」
後ろから割り込んできた鳴海も頷く。
犬猿2人が結託するほどホールは荒れているのだろうか。
三人は顔を見合わせて、了解にゃん!!と叫ぶ。
やっと交代という名のつかの間の休息を得られた猫耳犬猿達。
ふと見やった厨房の壁に貼り付けられたメニュー票の中に、”猫耳にゃんこに挟まれてチェキ♡”があるのを見つけてぞっとするのであった。
コメント
2件
この時間に投稿したのにいいねついてる... 睡眠時間取ってない同志!?
いやもう、この第1話、笑いが止まりませんでした😂「人手不足からも」守るって…確かに!って思わされましたよ。メイド喫茶を守ることが国民を守ることだという謎理論には思わず「上手い!」と膝を打ちました。保科隊員が猫耳つけさせられるシーン、本当に可哀想だけど面白すぎます。鳴海隊長も巻き込まれてて「当然だろ」って思いました(笑)。厨房でキッチン吹き飛ばす新人三人組とか、保科の「なんでやねん」がツボすぎて…次の話が待ち遠しいです!