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『ミライあっぷでーと!』
注意書き⚠️
・下手っぴ注意報
・緑黄
・学パロ(?
太陽が傾く放課後。
中庭では、部活動へと向かう生徒が行き来している。
校舎の壁に寄り掛かり、その様子をただぼーっと見つめていた。
📢「あれ、すち、部活行かんの?」
🍵「今日休むの」
🍵「バスケの授業で突き指しちゃって…」
そう言って差し出した右手の人差し指と中指は、
丁寧にテーピングされている。
📢「うわ、痛そ」
📢「平気なん?」
🍵「直ぐに治ると思うし、大丈夫!」
これ以上心配をかけさせまいと、
ガッツポーズを作ってみせた。
その時。
🍵「え?」
いきなり誰かに腕を引っ張られた。
👑「……っ」
あ、この人…。
確か、同じクラスの、
みことくん、だっけ…?
🍵「…何?」
👑「ご、ごめんなさい…」
申し訳なさそうに、掴まれた腕を離される。
と、そのまま背を向けて走って行ってしまった。
📢「誰?知り合い?」
🍵「同じクラス、だったと思う」
📢「へぇー」
📢「俺、すちとクラス違うから分かんな__」
🍵「な、何!?」
突然後ろから大きな物音がした。
びっくりして振り返ると、
さっきまで立っていたところに、植木鉢が粉々になって散乱していた。
📢「危なっ…」
上を見上げれば、
3階からこちらを見下ろす生徒が数人。
3階から落ちたそれに当たっていたら、
と想像するだけでゾッとする。
もしみことくんが引っ張ってくれなかったら、頭へ直撃していただろう。
🍵(…あれ、?
そういえば、なんで腕引っ張ったんだろう。
まるで、そこに落ちるって分かってたみたいな…。
🌸「みーこと!」
🌸「今日の放課後、駅前のカフェ行こー!」
👑「うぇ…でも、、」
👑「あそこのオーナー、入院してるんやなかった、?」
🌸「何言ってんの!?」
🌸「入院してないから笑」
👑「ぁ、…」
やってしまった、と言わんばかりに口元を手で覆い隠して、
彼は気まずそうに目を逸らした。
『本日未明、〇〇市でカフェを営む40代の男性が、
刃物で刺され、怪我をしました。
容疑者は、職業不詳の30代男性で、
その場で通報され、逮捕されました。
尚、被害者である男性は事件直後に病院へ運ばれ、治療されました。
命に別状は無いとの事ですが、
現在は入院中で、暫くは様子を診るそうです。』
…カタンッ
🍵「……っ」
まだ眠たい目を擦ってテレビを付ければ、流れてきたこのニュース。
画面に映し出されたのは、俺もよく知ってる、駅前のあのカフェ。
思わず、手にしていた箸を落としてしまった。
“あそこのオーナー、入院してるんやなかった?”
昨日の言葉が脳内に響き渡る。
この一瞬で、眠気は何処かへ吹き飛んだ。
🍵「未来が分かるの?」
👑「……へ、?」
朝、急いで学校へ行き、
教室に入るとすぐに彼の席へ向かった。
単刀直入な質問に、当の本人は案の定戸惑っているようだった。
🍵「朝のニュース、見た?」
🍵「あそこのオーナー、入院したって、」
👑「っ、……」
あの話題を口にすれば、分かりやすく顔を顰めた。
👑「…なんのこと、?笑」
🍵「当ててたじゃん、昨日の植木鉢とかも」
🍵「人の未来が見えるの?」
未来が見える。
すちくんにそう言われた瞬間、血の気が引く感覚がした。
今まで誰にも言ってこなかった。
俺自身、よく理解してなかったし、
寧ろ、こんなもの信じてくれないだろうって思ってたから。
👑「…、えっと、、っ」
だから、なんて答えようか、
なんて答えるのが正解なのか、
分からなかった。
🍵「もし見えるなら、俺の未来も見て欲しい、!」
👑「……ぇ、?」
予想外の要求。
すちくんは俺の向かいの席に座って、机に頬杖をついた。
🍵「俺ね、将来は絵に関わる仕事に就きたいんだけど」
🍵「絵だけで生きていくって、絶対大変じゃん?」
🍵「成功できる人だって、ひと握りくらい、」
すちくんは、どこか遠くを見つめて、淡々と話し続ける。
🍵「だから、数年後の俺が何してるのか、教えて欲しいんだ」
一通り話が終わったのか、こちらに視線を向けて、優しく微笑んだ。
👑「……っ、!」
この人になら、教えてもいいかなって
そう思えた気がした。
👑「…確かに、俺、未来見えるけど、、」
👑「なんでも好きに見える訳やないし…」
机の上で、指を弄ばせながらゆっくりと話す。
🍵「そうなの?」
👑「…うん、」
👑「自分とか、家族とかの未来は見えんし…」
👑「決められた瞬間の未来とかは分からんし…」
思い返せば、今まで見てきた未来で、自らの意思で見えた例がない。
全てが、勝手に脳内に流れ込んで、焼き付いた。
🍵「…すごいじゃん、!」
👑「え、?」
自由自在に見れないならいいや、とか
案外不便だね、とか
もっと言われると思ってた。
🍵「未来分かること自体がもうすごいじゃん!」
🍵「いつか俺の未来見えたら教えてね、?」
👑「ぁ、え…?」
どんどん話が進んでいくこの状況に、
取り残されるしかなかった。
🍵「おはよー、みこちゃん」
👑「え?」
👑「ちゃ、ちゃん…?」
あれから1週間程が経った。
教室に入って開口一番、俺に声をかけてくれる。
でも、一度も呼ばれたことの無い呼び方に、今日は少し困惑した。
🍵「こっちの方が友達って感じするでしょ?笑」
👑(友達…
なれたんだ、昨日と今日で。
友達、という言葉を口の中で反芻して、少し嬉しい気持ちになった。
みこちゃんと仲良くなってから、一週間が経った。
定期テストが近づいているため、2人教室に残って勉強していた時。
👑「…すちくんの未来、見えた」
🍵「え、?」
みこちゃんが小さく呟く。
突然のことに、ペンを動かす手が止まった。
🍵「…ほんと、?」
👑「うん、…」
👑「…有名な絵師さんになって、」
👑「綺麗な女の人と結婚して、」
👑「子供もおる…」
机の上に広げられた教科書をじっと見つめながら、みこちゃんは話す。
🍵「…へぇ、笑」
俺の未来って、そんな感じなんだ。
まだあまり実感は湧かないけれど……。
🍵「…そうなんだ、」
校舎の間に覗く夕日を、カーテンの隙間から眺める。
今日は特段、明るく見えた。
目の前にいきなり広がった光景。
テレビでも、ネットでも、雑誌でも評判の、
所謂 “ 神絵師 ” さん。
有名になって、老若男女に人気で。
俺の知らない、女の人と結婚して。
子供もいて。
幸せそうで。
俺の、知らない、手の届かない人になって。
窓の外を見つめたすちくんに、
何故だか、目を奪われて。
ほんのり雪が舞う、薄暗い帰り道を、街灯の光に沿って、ただ一人歩く。
ザシュ、ザシュ……
と、靴が雪を踏む音が響くだけ。
辺りに人はいなかった。
👑「…遠い」
あの通りの未来になれば、すちくんは遠い存在になる。
なんだか、心にぽっかりと穴が空いたみたいで、
テンポよく外気に溶け込むだけの白い息に、見とれていた。
次の日。
朝から曇り空。
ただでさえ既に落ち込んでいるのに、
もう何かをする気力もなくなってくるこの天気。
すちくんは今日も朝から話しかけてくれた。
🍵「…今日、なんか元気無い?」
👑「…、そんなことないよ、?笑」
下がる気分を悟られないよう、笑って見せる。
🍵「なんか悩んでるんだったら、相談乗るよ?」
心配そうに、俯いた俺の顔を覗き込む。
そうやって優しくしてくれるから、
いつか、すちくんが遠くに行っちゃうのが嫌だって
思ってちゃうのに。
ただの友達のはず、なのに。
なんでこうも離れたくないって思うんだろう。
👑「…俺の知らない、遠くの世界に行っちゃうんかなって、、」
ポロッと口から零れた本音。
すちくんは、一瞬驚いた顔をして、またすぐに笑顔になった。
🍵「何それ、笑」
🍵「そんな心配しなくても、」
🍵「俺はずっとみこちゃんのそばにいるよ」
確信しているかのようにこちらを見つめる、真っ直ぐな紅い瞳。
すちくんのその言葉に、
心が満たされると共に、胸が高鳴る感覚を覚えた。
👑「ん〜、、」
🍵「…どうしたの、?笑」
ここのところ、よくみこちゃんが俺を見て、唸るようになった。
👑「…いや、」
👑「最近、すちくんの未来が見えんくなったんよね…」
🍵「そうなの?」
🍵「なんでだろうね」
👑「…んぅ、、」
目を細めてこちらを見つめる姿が、
なんだか愛おしく思えた。
🍵「みこちゃんが見えない未来って、自分のだけだよね」
👑「あとは、家族とか……」
👑「……ぁ、//」
みこちゃんが小さな声を漏らして、黙り込んだ。
その頬は、ほのかに桃色に色づいている。
🍵「え、どうしたの?」
👑「……っ、//」
👑「なっ、なんでもあらへんよ!/」
🍵「えぇ?気になるじゃん!」
🍵「何ー?」
少し騒がしい昼休み中の教室。
俺たちの会話は、きっと、誰の耳にも入っていないはず_____。
五年後____。
🍵「…みこちゃーん、、」
ソファで寛いでいたら、後ろから抱き締められた。
👑「ぅわあ!?」
🍵「疲れたぁ……」
🍵「みこちゃん癒して〜…」
すちくんの左手が、俺の左手に重なった。
薬指には、お揃いのリングが銀色に輝いている。
すちくんは俺の肩に頭をぐりぐりと押し当てながら、弱った声を出した。
どうすればいいか分からない俺は、
とりあえず、頭を撫でてあげた。
👑「ぁえ……」
👑「えっと、、」
👑「よしよし、?」
🍵「………」
それなのに、要求してきた張本人は何も言わない。
👑「……?」
👑「すちく…、」
少し不安に駆られ、声を掛けようとした瞬間。
左頬に柔らかい何がが当たった。
びっくりしてすちくんを見ると、
満足したように微笑んでいた。
🍵「……ん、ありがと笑」
🍵「これで夜までなら頑張れそう」
👑「夜……、?」
言葉の意味を理解するのに、時間がかかった。
けれど、頭が追いつくより先に、
見えてしまった。
👑「……!?///」
👑「すっ、すちくんの破廉恥!!//」
🍵「え?」
羞恥心から、力任せにクッションを投げ付ける。
きっと、今の俺は耳まで赤く染まっているだろう。
なにが見えたかは、
誰にも言えない秘密____♡
コメント
1件
え やばいほんとに好き何ですけど! コメするのも忘れて2周してしまったぜ✩