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僕にはずっと片想いしている人がいる。
名前も、学年も知らない先輩で、何時も昼休憩になると独りでずっと廊下に設置されたピアノを弾いている
知らない曲だが、その人が奏でる寧色は繊細で美しく、儚かった。
僕は毎日それを聞きに学校へ行っているような物だった
ある日、クラスメイトに聞いみてみた
「いつも廊下でピアノを弾いている先輩を知りませんか?」
「ゴーゴリ君?六年生の子だよね?」
「そうですか。ありがとうございます」
どうやら彼は六年生らしい
今は2月、あと一ヶ月で会えなくなるのだろうか。
そうなる前に思いを伝えたい。僕の物にしたい
でも、話したことも無いのにどうやって?
結局僕はゴーゴリ先輩に思いを馳せたまま、離れ離れになってしまった。
中学こそ、ゴーゴリ先輩と同じ学校へ行きたかったが、両親に無理矢理有名私立を受験させられ、また会えないでいた
自力で生活することを条件に好きな所へ行かせて貰えた。勿論、ゴーゴリ先輩の通っている学校だ。
入学式が終わり、学校沿いに植えられている桜並木を見ていた
ふと周りを見ると何も無い所に影がある。
飛び降りか
自分とは関係無い人間、別に過干渉する訳でも無いし放って置こう、そう思っていた。
その姿を見るまでは
切れ長い睫毛、艷やかな唇、燦々と照らす日光を反射する白銀の髪。そして、瞳の十字傷
先輩だ。間違いなく、ゴーゴリ先輩だ。
何かしようにも周りには何も無く、僕自身にも彼を受け止められる程の力は無い。
ただただ、ドンという轟音と共に生気のない瞳で横たわる先輩を見つめていた
もう脈はなく、恐らく即死だろう
複雑な心情に其の場を立ち去ろうとするが、ゴーゴリ先輩の胸ポケットに何か手帳らしき物が入っていて覗き見してしまった。